ギフテッドの小学生たちがNASAすら気づかなかった「アナフィラキシーショックの特効薬が宇宙で有毒化する現象」を実験で突き止める

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カナダに住むギフテッドの子どもたちが設計した実験により、アナフィラキシーショックの特効薬であるエピペンが、宇宙空間で有毒物質に変化してしまう可能性があることが示されました。NASAすら気づいていなかったエピペンの危険性を発見した子どもたちへのインタビュー映像も、YouTubeで公開されています。

Useless in space? uOttawa helps elementary students make startling discovery about EpiPens | About us
https://www.uottawa.ca/about-us/media/news/useless-space-uottawa-helps-elementary-students-make-startling-discovery-about-epipens

EpiPens don’t work in space? NASA didn’t know — but Canadian students did | Globalnews.ca
https://globalnews.ca/news/9503732/epipens-dont-work-in-space-canadian-students/

Elementary schoolers prove EpiPens become toxic in space — something NASA never knew | Live Science
https://www.livescience.com/elementary-schoolers-prove-epipens-become-fatally-toxic-in-space-something-nasa-never-knew

アナフィラキシーショックとは、アレルギーのある食物を摂取したり昆虫にかまれたりすることで発生する重篤なアレルギー反応です。抗原に接触することで肥満細胞からヒスタミンやその他の媒介物質が遊離し、短時間で気管収縮による呼吸困難や血流から組織への体液漏出などが引き起こされ、時には死に至るケースもあります。

そんなアナフィラキシーショックの特効薬として使われている注射薬がエピペンであり、薬剤に含まれるアドレナリン(エピネフリン)が肥満細胞からの原因物質放出をブロックすることで症状を短時間で改善させます。

そんなエピペンについて、カナダのセント・ブラザー・アンドレ小学校で「Program for Gifted Learners(ギフテッド学習者用プログラム)」に参加する9~12歳の子どもたちは、「エピペンは宇宙でも機能するのか?」という疑問を持ちました。そこで、エピペンを宇宙空間まで飛ばして分子構造の変化を調べる実験を設計し、11歳~18歳の子どもたちが設計した科学実験アイデアを実現に移すNASAの国際プロジェクト・Cubes in Spaceに応募したとのこと。

Cubes in Spaceはセント・ブラザー・アンドレ小学校の子どもたちが応募した実験アイデアを採用し、実際にエピペン溶液やアドレナリン溶液を入れたキューブが宇宙空間に打ち上げられました。以下の動画では、セント・ブラザー・アンドレ小学校の子どもたちへのインタビューや実験結果について説明されています。

“NASA didn’t know”: Ottawa elementary school students make breakthrough discovery with an EpiPen – YouTube
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真剣な表情で先生の話を聞く小学生たち。いずれもギフテッドとして特殊な教育プログラムを受講しており、今回のエピペンに関する科学実験を設計しました。


エピペンはアナフィラキシーショックの特効薬として全国の小学校にも用意されていますが、子どもたちはエピペンが宇宙でも機能するかどうか疑問に思ったとのこと。アドレナリンとエピペンの溶液はこの小さなキューブに入れられ、ロケットと高高度気球に載せて宇宙空間まで運ばれた後、地球に帰ってきました。


サンプルの分析に協力したオタワ大学の化学教授であるPaul Mayer氏は、「Cubes in Spaceの一部として、2つのキューブが学生によって組み立てられました。1つはロケットに、もう1つは高高度気球に乗せられ、キューブに収められた純粋なアドレナリン溶液とエピペン溶液のガスクロマトグラフィー質量分析を飛行の前後で実施しました」と述べています。


Mayer氏は、「科学における最初のパートは、正しい質問をすることです。子どもたちは素晴らしい質問をしました」と述べています。


これが分析に使われたガスクロマトグラフ質量分析計です。分析の結果、宇宙に送られたアドレナリンは純度が87%に低下し、残る13%は有毒性のある安息香酸誘導体に変化していったことが判明しました。安息香酸はクランベリーやシナモンなどに含まれているほか、食品防腐剤としても使用されていますが、高用量で摂取すると人体に有害だとされています。


アドレナリンの変化は宇宙線との相互作用によるものだと考えられており、Mayer氏は「この結果は宇宙でのエピペンの有効性に疑問を投げかけるものです」とコメントしています。


インタビューに答えた小学生のAntonio Lucifero君は、「科学者が何年間も研究を続けても発見していなかったことを小学生が発見したのは、とてもクールです」と述べました。


子どもたちはこの結果を受けて、宇宙空間でエピペン溶液を保護するカプセルの設計に取り組んでおり、2023年6月にはアメリカ・バージニア州にあるNASAの研究施設であるラングレー研究所を訪れる予定だそうです。


ギフテッド学習者用プログラムの教師を務めるDeborah Quail-Blier氏は、「私たちは皆驚き、興奮していました」「生徒たちはとても前向きです。彼らは人々が月やその先に行き、火星を植民地化することを早くも視野に入れています」と述べています。


Mayer氏は、「子どもたちは自然科学者です。好奇心旺盛で質問もします。私たち大人は、子どもたちが科学的なプロセスに参加しやすいよう配慮し、その後は邪魔をせず、子どもたちに探求と学習をさせるだけでいいのです」と述べました。

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