インハウスエージェンシー が主流になるなか、外部エージェンシーとの関係性も変化

DIGIDAY

自社エージェンシーと外部エージェンシーをめぐる構図は、「敵か味方か」ではなくなったようだ。

このほど全米広告主協会(Association of National Advertisers、以下ANA)は、ANAのグループEVPであるビル・ダガン氏による(広告主企業の)自社エージェンシー、つまりインハウスエージェンシーに関する最新の報告書を発表した。マーケターの82%が自社内のエージェンシーを持っており、これは2018年の78%から増加していることがわかった。(ANAは5年ごとにこの調査を実施している)。

ダガン氏は、マーケターが近年インハウスエージェンシーを増やしているものの、ほとんどが外部のエージェンシーとも連携していると指摘している。「インハウスか外部かではなく、インハウスと外部のエージェンシーの両方を起用することが主流となっている」と同氏は述べた。

インハウスとの共同が重要に

インハウスエージェンシーが主要なプレーヤーになっているという評価を下しているのはダガン氏だけではない。「インハウスは一過性のものでも、トレンドでもない」とフォレスター(Forrester)のバイスプレジデント兼主任アナリストであるジェイ・パッティソール氏は語る。「マーケティング開発と制作をインソーシングすることは、マーケティングのリソースを管理するモデルのひとつであり、顧客の獲得と維持を促進するためのコンテンツのニーズに対応する効率化戦略だ」。

同氏は続けて、「これはエージェンシーの仕事のやり方に大きな影響を与えている。エージェンシーは広告制作のどの分野で収益を上げるかに関して、特定の分野に集中したり、もしくは範囲を狭めたりすることで、インハウスとアウトソースされたマーケティングパートナー間のより協力的なダイナミックを生み出している」と語った。

そうした事実を踏まえ、マーケターや検索コンサルタント、業界アナリストたちは、「インハウス対エージェンシーという考え方を変える必要がある」と話す。インハウスを争いの原因であり、存続の脅威と見るのではなく、インハウスとどのように協力して働くかにフォーカスすべきだと言う。現在のマーケターのコンテンツニーズを考慮すると、協力関係に集中することで、内部チームと外部チームの両方に利益をもたらす可能性がある。

「インハウスは何らかのかたちで(外部)エージェンシーに悪影響を与えるものだ、という見方を変える必要がある」とマーケティングコンサル企業R3の代表であるグレッグ・ポール氏は言う。「インハウスとエージェンシーがマーケティングのさらなる発展のために共同で働くことができないという考え方は、事実ではなく有害だ。インハウスチームとそれをサポートするエージェンシー間には、多くのよいパートナーシップがある」。

同氏はさらに、「エージェンシーにとっての課題は、価値を提供できるほかの分野を見つけ、新たな収益源を生み出すことだ」と付け加えた。

それぞれの専門知識や経験を組み合わせる必要がある

一方で、「インハウスチームを怒らせないように新しく事業価値を見つけることは、エージェンシーにとって難しい課題になるだろう」と、ブランドコンサルタント会社メタフォース(Metaforce)の共同創設者であるアレン・アダムソン氏は指摘する。というのも、インハウスのエージェンシーが助けを必要とすることを認める可能性は低いからだ。

「(外部エージェンシーは)『我々の方がよい仕事ができる』と言うのではなく、ブレークスルーとなるコンテンツをインハウスチームが制作するのを支える必要がある」と同氏は述べ、「これを達成するには難しいバランスを取る必要がある」と付け加えた。

インハウスが主流になっても、それが(多少脆弱な)指定広告代理店(AOR)の関係を置き換えるわけではない。マーケティングコンサル企業アークアドバイザーズ(Ark Advisors)の共同経営者であるアン・ビロック氏は、「必ずしもAOR関係からの脱却ではない」と述べている。「インハウスのエージェンシーは通常、コマーシャルやほかの動画アセットの制作経験や専門知識がない」。

「マーケターはソリューションを求めており、それにはマーケティングチャネルごとの専門知識と各マーケティング分野における専門知識や経験を組み合わせる必要がある」とパッティソール氏は言う。「最も成功している広告主は、インハウスチームと外部チームを組み合わせて、それぞれが価値のある協力的な役割を果たすようにしている」。

[原文:Marketing Briefing: As in-housing becomes a mainstay, marketer mindsets on in-housing vs. agencies needs to change

Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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