もし核戦争で自滅しなければ人類はどんな未来を迎えるのか?

GIGAZINE
2022年06月29日 23時00分
動画



日本は2008年をピークとして人口が減り続ける人口減少社会にさしかかっていますが、世界的には人口は増え続けており、記事作成時点での世界人口は79億5400万人だとされています。人類の歴史からすれば未曽有の発展を遂げている現代社会ですが、それさえもほんの序章に思える人類の展望と現代人が担っている未来への責任について、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがアニメーションで解説しています。

The Last Human – A Glimpse Into The Far Future – YouTube
[embedded content]

気候変動や政治的な対立など、現代には問題が山積しているので、つい人類の終末はすぐそこだと思ってしまいがちです。


しかし、歴史を振り返ってみると、人類は常に「もうすぐこの世が終わる」と信じていました。


そこで、「もし人類の歴史が終わらないとすれば、どのような未来が待っているのだろう?」というのを考えてみるのが、このムービーのテーマです。


未来を占うには、まず過去を知る必要があります。現生人類が誕生したのは、今からおよそ20万年前です。


家族を超えた大きなグループで協力しながら生きていくという、他の動物にはない能力を持っていましたが、手に入る食料は少なく自然環境は過酷だったので人々は短命でした。


そのため、人口が200万人に達するまでに15万年間、つまりこれまでの人類の歴史の4分の3が費やされました。


人類の暮らしは少しずつ改善されていき、食料が安定して手に入るようになる農業革命などの転換点を経て、紀元前1万年ごろに人口は400万人を突破。その後も加速度的に人口は増えていき、産業革命により1800年には10億人に達しました。


そして、10億人の人口はたった120年で2倍、その後の50年でさらに2倍になり、今日では約80億人になりました。


これまで約1170億人の人間が生まれ、約1090億人が死んだと考えられています。計算すると、現代に生きている人類はこれまで生まれてきた人類の約7%。これは、人類発祥から15万年の間に生まれては死んだ人々と同じ数とのことです。


生活水準はかつてないほど向上し人類は長生きになりましたが、同時に出生数は少なくなりました。国連の推計によると、人口は2100年にピークを迎え、出生数は年間1億2500万人になるとのこと。


そこから先はどうなるのかをシミュレーションするため、Kurzgesagtは3つのシナリオを描きました。1つ目は、人類が地球から出ないケースです。


哺乳類の平均的な「種としての寿命」は100万年程度で、人類の近縁種であるホモ・エレクトスは約190万年生存しました。また、哺乳類の中には1000万年の間繁栄した種もあります。


仮に人類の歴史が100万年続くとすると、残された時間は80万年。それまで毎年1億2500万人生まれるとすると、今後生まれてくる人類の数は100兆人にもなります。


つまり、今生きている人類は、これから生まれてくる人類の0.008%にしかなりません。


もっと繁栄する未来も考えられます。最も成功した哺乳類と同じ1000万年が人類の寿命だとすると、人類の総数は1200兆人になります。ひょっとすると、太陽の寿命が近づくまで人類はまだ5億年間は地球上に住み続けられる可能性もあります。


2つ目のシナリオは、太陽系に進出したケースです。


人類は月を見上げながらこれまでの20万年間を過ごしましたが、既に月面着陸に成功しています。ひょっとすると、太陽系の他の惑星に移住したり、宇宙空間に居住可能なコロニーを建造したりすることもできるかもしれません。


仮に地球に住めなくなっても、小惑星には豊富な水やその他の物資が眠っており、太陽も数十億年はエネルギーを供給し続けます。そのため、地球と運命を共にするよりはるかに多くの生活基盤を構築し、桁違いに人口を増やすことができます。


人が多いということは、医療技術を発明する科学者や、社会問題に取り組む専門家や、おもしろいゲームを作る開発者もたくさん活躍するということです。


ひょっとすると、人類は進化によって別の種になったり、あるいは遺伝子操作によって意図的に進化したりするかもしれません。


太陽系に進出することのメリットの1つが、避難先があることです。もし1つの惑星が居住不可能になっても、別の星や居住地に逃れることができます。


そのため、超新星爆発やガンマ線バーストなど、太陽系自体が丸ごと破壊されるような事態が起きない限り、人類は生存し続けられます。


3つ目のシナリオは、太陽系を飛び出すというものです。


太陽系は広大ですが、天の川銀河の中に数十億もある恒星系の1つに過ぎません。もし未来人が1000億の星を植民地にして、そこで100億年は生存し、それぞれの星で毎年1億100万人が生まれると想定すると……


人類の人口は途方もない数へと増えることになります。


この数字はいくらでも増やせます。天の川銀河はいずれアンドロメダ銀河と合体するので、人類の生存に使える物資やエネルギーも倍増します。


ひょっとすると、未来人は恒星を丸ごとエネルギー源にしたり、ブラックホールを利用してエネルギーを調達したりする技術を手にしているかもしれません。


さらに、他の銀河に版図を広げる可能性もあります。


Kurzgesagtは結論として、「現代に生きる私たちはこれまでの人類史の中で最も発展しており、信じられないような可能性を手にしています。私たちがこれからすることは、まだ生まれてきていない人にとって重要になります。もし私たちが今を台無しにしてしまったら、途方もない数の人々が未来を失うことにもなりかねないからです。そう考えると、遠い未来に思いをはせることや、これからの1日1日をどう過ごすかがいかに大切なことかも分かってきます」とまとめました。


この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました