全米広告主協会、 ヘイトスピーチ 対応プログラムを作成:「教育的努力が人々を動かす」

DIGIDAY

全米広告主協会(The Association of National Advertisers、以下ANA)が8月第4水曜、オンラインヘイトスピーチへの対応およびその撲滅を図る姿勢をさらに押し進め、新たな教育プログラムを作成した旨を発表した。

同協会が展開する運動の一環である同教育プログラムはこのたび、消費者保護を目的とする非営利機関、米商事改善協会(Better Business Bureau、以下BBB)と共同で新たなウェブサイトを開設した。同サイトは36の動画トレーニングモジュールとリソースライブラリーを擁し、スペイン語版も備えており、ソーシャルメディアにおけるヘイトスピーチの報告方法や有害コンテンツの周知方法など、さまざまな情報を網羅している。

業界におけるヘイトスピーチとの闘いに寄与

2年目を迎えたこのイニシアチブ、「エンゲージ・リスポンシブリー(Engage Responsibly)」はANAと責任あるメディアに向けた世界同盟(Global Alliance for Responsible Media)が共同実施している。同プログラムは、ブランドからプラットフォームに至るまで、各種業界におけるヘイトスピーチとの闘いに寄与するべく、仏飲料メーカー、ペルノ・リカール(Pernod Ricard)から提供を受けた資金をもとに立ち上げられた。

「ゴールに至るための重要な道標にすべて、予定どおり到達できており、極めて順調に進んでいると考えている」と、同イニシアチブを管理監督するANAのグループEVP、ビル・タッカー氏は話す。「調査結果によれば、人々はもっと行動を起こしたいと思っている。何かをしたいと思っているのだが、そのやり方を必ずしもわかっているわけではない、というのが現状だ」。

両団体が期待するのは、消費者および中小企業(SMB)の従業員が学ぶための補助的な役割を果たせることだと、タッカー氏は言い添える。提供する素材はすべて、自分に何ができるのか、人々が理解するための手助けを目的としており、適切な方法は環境によっても、ソーシャルプラットフォームの種類によっても違うと、氏は話す。たとえば、TwitchからYouTubeまで、プラットフォームごとに異なるヘイトスピーチの報告法に関するガイダンスも提供しているという。

「報告がもっとも重要な要素のひとつなのは確かだが、それについて知り、理解し、いかに有害かを学ぶことも、行動を起こすことと同じくらい重要だ。教育的努力が人々を動かす理由はそこにある」と、タッカー氏は話す。

健全なオンラインエコシステムの創造に必要

教育を目的とするこの新サイトは今後、600万人の会員および90以上の支部を持つBBBのSMBネットワークへと発展することになる。両組織はさらに、第4四半期中にオグルヴィ(Ogilvy)と共同で広告キャンペーンも展開し、企業および消費者にさらに働きかけていく。

名誉毀損防止同盟(The Anti-Defamation League)によれば、アメリカ人の40%が人種、宗教、性同一性を理由にオンラインヘイトスピーチを受けたことがある。そして、その内20%睡眠や集中力への悪影響を経験し、13%が精神衛生上の深刻な問題に悩まされたと報告している。

ピュブリシス・メディア・エクスチェンジ(Publicis Media Exchange)のグローバルデジタルスタンダーズ部門EVP、イエール・コーエン氏は米DIGIDAYの取材に応え、オンラインハラスメントとヘイトスピーチはますます身近な問題になりつつあり、それゆえに、広告主、代理店、プラットフォームによる、互いの垣根を越えたなおいっそうの協力が重要だと指摘する。

「こうした数字はこの先、さらに増えていくことが予想されており、業界には、現在および未来の世代のために、より健全なオンラインエコシステムの創造に寄与する新たなメカニズムが求められている」と、コーエン氏は話す。

[原文:ANA creates an educational program to target online hate speech

Antoinette Siu(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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