サプライサイドの注目も集めつつある「 アテンション指標 」:「CPAなどを相互補完する役割を果たすだろう」

DIGIDAY

広告運用の成果向上を求めて業界各社が飽くなき追求を続けるなか、バイサイドおよびデマンドサイドの企業にとって実効性のある測定ソリューションとして、「アテンション指標」が定着しつつある。広告効果の改善とメディアバイイングの効率化が期待できるという触れ込みのツールだ。

この指標はいまや、セルサイド・サプライサイドの注目も集めるまでになった。SSPのパブマティック(Pubmatic)は、独占契約を結んだアテンション指標ベンダーのアデレード(Adelaide)が開発したアテンション指標「AU」を、自社が提供するサービスに1〜2カ月をかけて取り入れている。

アデレードが提供するAUは、プロキシ経由のアクセスを判定する機械学習アルゴリズムを採用し、広告がユーザーのアテンションを獲得する可能性の高さと、その後の影響度合いを測定するツールだ。

微妙なニュアンスも踏まえた広告ごとの品質スコア

アデレードほか、アテンション指標ベンダーによると、当該のアルゴリズムは、何百というメディア品質シグナル、視線計測とアウトカムのデータを評価して、「配信された広告ごとに、高精度ながら微妙なニュアンスまで反映した品質スコア」を生成できるという。

コルゲート・パームオリーブ(Colgate Palmolive)北米プログラマティック広告事業担当のジェフ・ジアチェッティ氏が述べているように、セルサイドの企業がアテンション指標を活用したツールを提供できれば、広告主ブランド各社にとっては選択肢が増え、サプライパス最適化戦略における新たな手法を手に入れるチャンスが広がる。

「DSPを介したプログラマティックのアクティベーションでは、ここ2年間で、アテンション指標によって定性的な広告効果の測定が可能であることが明らかになってきた」と指摘するジアチェッティ氏はいま、コルゲート・パームオリーブがパブマティックのプラットフォームを介してアクセスする広告在庫に同指標を適用できるよう取り組んでいる。「サプライサイドが提供する広告在庫についてもアテンション指標による効果測定が可能になるなら、大いに期待できる」。

「広告パフォーマンスにとって、また消費者のブランド体験を最大化するという当社のビジョンの実現にとって、サプライパス最適化がきわめて重要であると認識している」とジアチェッティ氏はいう。「アテンション指標を広告取引のバイサイド、セルサイド両方で活用できる可能性が見えてきた」。

「サプライチェーン2.0」の構築

パブマティックのアドレッサビリティ部門担当バイスプレジデント、ピーター・バリー氏は、効果測定指標をめぐる動きを、「サプライチェーン2.0」の構築に向けた前進ととらえている。

「1社のデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を通じて指標の普及を図ろうとすると、多くのメディアバイヤーがそのDSPを利用していないという課題に直面する。そのためツールの適用範囲が限られ、せっかくのビジネスチャンスを無駄にする恐れがある」とバリー氏はいう。「当社の強みは150社を超えるDSPと取引があることで、サプライサイドでの指標の採用を推進すれば、どのメディアバイヤーにも利用してもらえる環境が整う」。

指標の利用拡大については、アデレードの創業者兼CEO、マーク・グルディマン氏も、広告在庫のキュレーションを改善する重要な一歩として注目している。「SSPがアテンション指標を導入し、プログラマティック取引への応用の最適解を模索しはじめた。SSPは、得意分野であるキュレーションや、広告主各社のニーズに応える形でカスタマイズされたマーケットプレイス構築の取り組みにアテンション指標を活用しようとしている」。

アテンション指標がほか指標の相互補完に

バイサイドでアテンション指標を利用する主な目的は、効果の高い広告枠を選定して入札するためだとグルディマン氏はいう。また、パブマティックのバリー氏は、サプライパスにおけるバイサイドとセルサイド両方にアテンション指標が導入・活用されれば、最終的には広告主のメディア予算支出の効率化が図れると予想する。

「アテンション指標は、CPAなど、パフォーマンスを評価するほかのKPIと相互補完する役割を果たすだろう。広告主ブランドにとっては投資収益率が向上し、コスト削減につながるはずだ」とバリー氏はいう。

一方、コルゲート・パームオリーブのジアンチェッティ氏は、ブランド側の観点からいえば、SSPへのアテンション指標導入効果を評価するには時期尚早だと指摘する。「今後、アテンション指標の市場浸透を見はからって、当社の事例を紹介するケーススタディを作成したいと考えている」。

[原文:PubMatic adopts Adelaide’s attention metrics to create ‘supply chain 2.0’

Michael Bürgi(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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