アマゾンが「新ハードウェア」を続々と発表 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2021/9/23~9/30】

INTERNET Watch

1. 美術館・博物館のデジタルトランスフォーメーション

 美術館や博物館が所蔵する作品を自宅にいながらにして、デジタル技術によって楽しむことができるようになっている。コロナ禍では営業が自粛されたり、時間枠での予約制になったり、場合によっては休館になる施設もあった。また、予定されていた海外作品を借りることができず、あえなく中止となった企画展もいくつかあった。そのようななか、美術館や博物館はそれぞれがデジタル技術の利用に乗り出している。これまでもVRで館内を閲覧できるようにしたり、動画で作品を開設する企画はいくつもあった。そして、ここのところ増加傾向にあるとみられるのが画像のデジタルダウンロードだ。国内外の施設では多くの作品をダウンロードできるようにしている。もちろん、商用利用が制限されていることが多い。

 最近報じられているだけでも、大阪市立東洋陶磁美術館(美術手帖)、シカゴ美術館(美術手帖)、メトロポリタン美術館(美術手帖)などがある。作品を鑑賞するだけでなく、Zoomの背景にするような利用方法も提案している。

 また、東京で開催された企画展「生誕260年記念企画特別展『北斎づくし』」の会場を3Dカメラで撮影して、ストリートビュー的な演出で観覧できるコンテンツもある(INTERNET Watch)。

 従来の美術館や博物館のイメージは「実物」を観覧することに意味があり、さらに作品によっては権利上、インターネットでの配信も難しい事例もあったようだが、人が展示室に集えないような社会環境を背景に各施設でデジタルトランスフォーメーションが進んでいる感がある。収蔵作品を見てもらえなければ存在意義が半減するということだとも言えよう。

ニュースソース

  • 国宝《油滴天目 茶碗》もダウンロード可能。大阪市立東洋陶磁美術館が収蔵品画像のオープンデータを公開[美術手帖
  • ゴッホ、スーラにモネも。シカゴ美術館が所蔵する5万点の作品画像がダウンロード可能[美術手帖
  • Zoom背景にも使える。メトロポリタン美術館所蔵の名作をダウンロードしよう[美術手帖
  • 「冨嶽三十六景」の全景展示をご家庭で。特別展「北斎づくし」の特設バーチャル会場が公開中[INTERNET Watch

2. アマゾンが「新ハードウェア」を続々と発表

 アマゾンがハードウェアの新製品を発表している。

 まず、Echo Showシリーズの新製品「Echo Show 15」は5.6インチフルHD(1080p)のディスプレイを搭載たスマートディスプレイ(ケータイWatch)。「Astro」はカメラやディスプレイ、車輪などを備えた新しいタイプの家庭用ロボット(Impress Watch)。「Halo View」はカラーの有機ELディスプレイを搭載するフィットネスバンド(ITmedia)。「Blink Video Doorbell」はシンプルな防犯カメラで、1080pでの録画ができる(ITmedia)。「Ring Alarm Pro」はWi-Fiルーターを内蔵する新しいホームセキュリティシステム(CNET Japan)。「Amazon Glow」は子どもがビデオ通話ができる家庭向けのデバイスで、没入型プロジェクション、センシング技術、ビデオが組み合わされている(TechCrunch日本版)。「Amazon Smart Thermostat」はユーザーが在宅しているかどうかに応じ、好みの温度に自動調整する(CNET Japan)。

 いずれも基本的にはスマートホーム的な用途を想定したデバイスが中心ということができそう。この段階では日本での発売が決まっていない商品もあるが、いずれこうした機器が家庭に普通に存在する時代が訪れるのか。また、これを契機として、各社が同じようなセグメントでの競争が激化するのか。

ニュースソース

  • Amazon、スマートディスプレイ「Echo Show 15」を発表[ケータイWatch
  • アマゾンの家庭用ロボ「Astro」登場。潜望鏡カメラや家族の見守りも[Impress Watch
  • Amazon初の画面付きフィットネスバンド「Halo View」は80ドル[ITmedia
  • EchoやFireデバイスにも対応した約50ドルのドアベル「Blink Video Doorbell」[ITmedia
  • アマゾン、ルーター内蔵ホームセキュリティシステム「Ring Alarm Pro」を発表[CNET Japan
  • アマゾン、家族の見守りサービス「Alexa Together」を発表[CNET Japan
  • アマゾンが子供向けのインタラクティブな小型プロジェクター内蔵ビデオ通話デバイス「Amazon Glow」を発表[TechCrunch日本版
  • アマゾンの「Alexa」対応サーモスタット、約6700円で11月発売へ[CNET Japan

3. メディア各社が取り組む「NFT」

 日本のメディア各社でもNFTに取り組む動きは活発である。

 電通などが加盟する社団法人のオタクコイン協会「ネジネジ」「ブニブニ」といったマンガの擬音語をモチーフにしたNFTアートである「マンガ擬音NFT」を先着3300人に配布するキャンペーンが好評のうちに終了したと発表した(ITmedia)。

 セクシー女優の三上悠亜さんのNFTプロジェクト「your NFT」の詳細も発表された。オープンシーとラリブルというNFTのマーケットプレイスでオークションが10月1日から8日まで開催される(NFT LABO)。

 大手出版社の集英社は人気漫画「ONE PEACE(ワンピース)」の活版印刷作品をNFT化して販売開始する(INTERNET Watch)。

 そして、NFTマーケットプレイスへの参入も活発である。SBIホールディングスはNFTマーケットプレイス「nanakusa(ナナクサ)」を運営するスマートアプリを買収した(coindesk)。

 デジタルメディア専門媒体でもNFTに関する興味深い記事を掲載している。Media Innovationではブロックチェーン事業に注力するアクセルマーク株式会社の尾下順治取締役会長へのインタビュー(Media Innovation)や「CRYPTO TIMES」の編集長で株式会社ロクブンノニの代表取締役である新井進悟氏のインタビュー(Media Innovation)を掲載している。

ニュースソース

  • 「マンガの擬音語」をNFTアート化、先着制で配布 応募相次ぎ約1時間で締め切り 「ネジネジ」「ブニブニ」など3300種類[ITmedia
  • 三上悠亜、NFTの最高落札者にディナーデートも[NFT LABO
  • 集英社が人気漫画「ワンピース」をNFT化、ブロックチェーンで美術品としての新たな価値を訴求[INTERNET Watch
  • SBI、NFTマーケットプレース運営会社の買収を発表[coindesk
  • NFTでエンタメの価値を引き出す、Jリーグとのコラボにも取り組むアクセルマーク尾下氏に聞く[Media Innovation
  • NFTとは何か、メディアとして最前線で仮想通貨を追ってきたCRYPTO TIMES新井編集長に聞く[Media Innovation

4. 中国が暗号資産を全面禁止に

 中国人民銀行が中国国内での暗号資産(仮想通貨)に関連する事業活動を全面的に禁止すると通知したことが報じられている(ITmedia)。記事によれば、「仮想通貨取引の誇大宣伝活動が増加し、経済的および財政的秩序を混乱させ、ギャンブル、違法な資金調達、詐欺、マネーロンダリングなどの違法行為が増えて人々の財産の安全を深刻に危険にさらしている」というのがその理由だ。具体例として、「ビットコインとイーサリアムを具体例として、法定通貨と同等の地位はなく、通過として使うべきではない」と述べている。なお、これまでも報じられてきているように、中国政府は政府による仮想通貨である「デジタル人民元」を推進しようとしている。暗号資産の技術(ブロックチェーン)を否定するということではなく、政府により管理されていない通貨を禁止するという意味だろうか。

ニュースソース

  • 中国、暗号資産を全面禁止 「関連サイトやアプリは迅速にシャットダウン」[ITmedia

5. 10月10日・11日は「2021年デジタルの日」

 来る10月10日・11日は初めての「デジタルの日」である。「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」の実現を目指し、「社会全体でデジタルについて振り返り、体験し、見直し、共有し合える定期的な機会」というのが創設の趣旨である。なお、今年のテーマは「#デジタルを贈ろう」である。

 公式ウェブサイト「デジタルの日ホームページ」では、「祖父母にタブレット端末を贈ったり、子どもとプログラミング教室に通ったりと、身の回りの人たちと一緒にデジタルを知り、触れる機会を作ること」を提案している。これに合わせて、さまざまな企業や業界団体がイベントを企画している(INTERNET Watch)。業界団体ではさまざまな情報を発信し、オンラインショッピングサイトでは限定商品などが用意されている。

ニュースソース

  • 10月10日・11日は「2021年デジタルの日」、参加型イベントやECサイトのセールをチェック 業界団体によるセミナーやオンラインの親子プログラミング体験も[INTERNET Watch

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