見当違いの推測:ゼネラルミルズのペットフードの売上不振が同業界の低迷を示唆するものではない理由

DIGIDAY

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ゼネラルミルズ(General Mills)のペットフード部門にとって、前の四半期(第1四半期)は厳しい時期だったが、同社の失速は業界全体の低迷を示唆しているわけではないと、専門家は語っている。

2018年にブルーバッファロー(Blue Buffalo)を、2021年にタイソンフーズ(Tyson Foods)のペット用おやつ部門を買収したゼネラルミルズは、2023年度の第2四半期における同社のペット部門の売上高が前年同期とほぼ変わらず、合計5億9300万ドル(約783億円)だったと発表した。アナリストはこの数値が6億7200万ドル(約887億円)に迫ることを予測していたと、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は述べている

決算発表において、ゼネラルミルズのCEOを務めるジェフ・ハーメニング氏は、ペット部門の売上が「一部の主要な小売業者における、在庫削減という予想外の逆風」に加えて、第1四半期から持ち越された生産能力や顧客サービスの問題によって妨げられたと語った。「結果として、当社の全チャネルの小売売上高は、当四半期に1ケタ台後半という高い伸びを示したが、純売上高はほぼ横ばいとなり実質的に変化しなかった」と、同氏は述べている。

ペットフードの売上は伸長

しかし全体として、ペットフードの売上高は成長している。2022年12月初め、オンラインのペット小売業者のチューイー(Chewy)は、同社の第3四半期における純売上の83%はフードやヘルスケアなどの非裁量支出カテゴリーによるものだと発表した。市場調査企業のパッケージドファクツ(Packaged Facts)によるペットフードに関する最新の調査によれば、米国のペット所有者は2021年に400億ドル(6兆4300億円)近くを犬と猫のフードに費やしており、この数値は2020年よりも15%増加している(2020年はすでに2019年よりも14%増加していた)。

ゼネラルミルズがペットフードで苦戦しているのは、「確実に企業固有の要因が強いものだ」と、ガートナー(Gartner)のディレクターアナリストを務めるブラッド・ジャシンスキー氏は米モダンリテールに語った。「ペットフードは非常に安定した市場だ。パンデミックの前にも大幅に成長し、パンデミックの最中に多くの人々がペットを飼いはじめたことから、さらに成長しつづけてきた」と、同氏は述べている。

同様に、ウェドブッシュセキュリティーズ(Wedbush Securities)で普通株調査のマネージングディレクターとしてペトコ(Petco)とチューイーを担当しているセス・バシュム氏は、ペットフードへの需要が「極めて堅調だ」としている。「この業界で売上が弱まっているのは消耗品以外の分野、特に自由裁量の耐久消費財だ。ペットフードは明らかに業界の成長を推進している」と、同氏は米モダンリテールに述べた。

全体として、ペットフードの売上はインフレによって増加し、2022年11月は前年同月比で価格が15.7%も上昇した。経済全体では前年からの価格上昇率が7.1%であるのに比べると、この数値は2倍以上だ。12月9日の決算発表で、チューイーのCEOを務めるスミト・シン氏は、第3四半期に「チューイーは数量と価格が増加し」、「2023年の第3四半期にも同じ結果になることを期待している」と語った。

スーパープレミアムという格式

ブルーバッファローは、処方された療法用の材料、高タンパク質、目的に応じた栄養を含むフードを提供しているスーパープレミアムブランドだ。ゼネラルミルズにとって、「単に供給するだけではなく、適切な価格で供給するという面において、明らかに課題が存在する」とジャシンスキー氏は述べる。「マージンを確保するためには、ただ材料を見つけようとするのではなく、材料を手頃な価格で見つけなければならない」。

パッケージドファクツによれば、ペット所有者の29%は2022年1月、ペットフードの価格のインフレによって「大きな困難」に直面したと回答している。しかし、ペット所有者はインフレにもかかわらず支出を切り詰める可能性は低いことが、データから示されている。「多くのペット所有者は、ペットのための支出を惜しまない。この商品群は、非常に信頼できるであるため、ゼネラルミルズやブルーバッファローが悩んでいるのは、おそらく、商品の在庫を維持できないことだろう」と、ジャシンスキー氏は述べている。

ゼネラルミルズのビジネスを阻むもうひとつの要因は競合だと、パッケージドファクツでペット市場アナリストを務めるデビッド・ラミス氏は米モダンリテールに語った。ブルーバッファローは専門店として操業を開始したが、マスマーケットに移行した後、「自然とスーパープレミアムであるという格式の一部を失ってしまったと、私には思われる」と、同氏は述べている。「スーパープレミアムのブランドは次々と市場に参入しているため、競合もますます激しくなってきている」。

生フードや冷凍フードも急成長

ブルーバッファローのビジネスの大きな部分を占めるのがドライフードだ。しかし、特に生や冷凍のペットフードも人気が上昇しており市場調査企業のフューチャーマーケットインサイツ(Future Market Insights)によれば、冷凍フードのカテゴリーは2032年に230億ドル(約3兆400億円)に達する見込みだ。冷蔵ペットフードブランドで、セーフウェイ(Safeway)やウォルマート(Walmart)などの小売業者と提携しているフレッシュペット(Freshpet)は、第2四半期の売上が前年比34.4%増だったと述べている。ペットスマート(PetSmart)は2022年前半、ノムノム(Nom Nom)と独占パートナーシップを結び、ペトコはジャストフード・フォー・ドッグス(JustFoodForDogs)と共同で開発したホールハーテッド・フレッシュ・レシピ(WholeHearted Fresh Recipes)という商品ラインを発売した。グルテンフリーなどペット用の特別なフードでアピールしているパウフーズ(PawFoods)などのD2Cブランドも出てきている。

生のペットフードのカテゴリーは「いまだ市場のごく小さな部分にすぎないが、急激に人気となりつつある」と、ラミス氏は語る。このカテゴリーの位置づけについて、「ゼネラルミルズは、生のフードという特徴と両立できるような、たとえば一口大にカットされたフリーズドライのフードなど、市場のほかの大きなトレンドを取り入れるなど、従来のブルーバッファローとは多少異なる何かを行う必要があるかもしれない。しかし、スーパープレミアムが注目される多くの場合、この生フードの流行についてだ」。

ゼネラルミルズは次の四半期に備えて、ドライドッグフードやおやつの生産能力を拡張し、新しい配送センターを活用して、既存の倉庫の容量を拡大すると述べている。同社のCEOは決算発表において、全体として「当社は会計年度2023年の後半を迎えるにあたり、ペットについて純売上高の2ケタ成長を回復することを期待している」と述べた。

[原文:Barking up the wrong tree: Why General Mills’ disappointing pet food sales don’t signal an industry slump]

JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via PawFoods

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