TikTok とマスビューティは最高に相性がよい【Glossy&ローンチメトリックスリサーチ】

DIGIDAY

ローンチメトリックス(Launchmetrics)のGlossy独占データによれば、マスプロダクトへの興味とバイラリティを促進する究極のプラットフォームが、TikTokである。

安価な製品やデュープが注目を集める

7月の1カ月間で、マスビューティブランドおよびその製品全体でもっとも話題になったのは、メイベリン(Maybelline)のスカイハイマスカラ(Sky High Mascara)、ニックス(Nyx)のベアウィズミーハイドレーティングコンシーラーセラム(Bare With Me Hydrating Concealer Serum)、レブロン(Revlon)のオイルアブソービングボルカニックローラー(Oil Absorbing Volcanic Roller)、エッセンス(Essence)のラッシュプリンセスマスカラ(Lash Princess Mascara)、ミラニコスメティック(Milani Cosmetic)のカラーフェティッシュマットリップスティック(Color Fettish Matte Lipstick)だった。これらのブランドは、メディアへの影響の価値を表すローンチメトリックス独自の指標となるMIVによってランク付けされた。MIVは、インフルエンサー、印刷メディア、セレブリティ、公式サードパーティパートナー、ブランドのメディアチャネルの影響を追跡するものである。

「2022年に人気を博したドラッグストア化粧品ブランドをみると、手頃な価格でメイクができるという選択肢を提供しているおかげで、多くの化粧品がソーシャルチャネルを通じてバイラリティを獲得できていることが顕著に表れている」と、ローンチメトリックスCMOのアリソン・ブリンゲ氏は述べている。

当然ながら、手頃な価格の美容製品、さらには美容の「デュープ(dupe:高額商品と同様の効果を低価格で得られる商品)」が注目を集めている。特にTikTokのようなトレンドに大きく左右される環境では、顧客はつねに安価な製品を試したいと考えている。だが、近い将来に起こりうる不況による経済的な懸念もまた、消費者行動の変化を浮き彫りにしている。Glossyの以前の報告によると、「デュープ」に加えて、Googleのデータでは「buy 1 get 1(ひとつ買うともうひとつ無料になる)」の検索件数が2021年から前年比で60%増加したことが判明した。また、プロモーションコードの検索も2倍に増えている。

メイベリンのスカイハイマスカラは今年、群を抜いて好調で、ブランドのMIVは791万ドル(約10億5500万円)に達している。このマスカラは、2021年1月にハッシュタグ#skyhighmascaraとともに初めて発売された際、TikTokで大々的に話題となり、5億4700万ビュー以上を達成している。英国の新聞インディペンデント(Independent)によれば、あまりの人気で英国での発売は3カ月前倒しされ、英国内ではスーパードラッグ(Superdrug)でのメイクアップ製品の売り上げ1位となっている。またローンチメトリックスによると、このマスカラ(ローズ色のチューブで、トゥーフェイスド(Too Faced)のベターザンセックス(Better Than Sex)と外観が似ている)は、MIVの54%がYouTube上のプレースメントのみによるものだった。

売れる共通点はTikTokで話題になること

ランキング上位5製品では、TikTokが最大の共通するテーマとなっている。MIVに基づく人気商品第2位は、ニックスプロフェッショナルメイクアップのベアウィズミーハイドレーティングコンシーラーセラムだ。ミケイラ・ノゲイラ氏(@mikaylanogueira、TikTokのフォロワー数1310万人)といったTikTokのスーパースターが絶賛するレビューを投稿している。2021年10月に投稿したオリジナルの動画レビューで、ノゲイラ氏は次のように語った。「これは、もう断然これまで使ったコンシーラーで一番美しいもののひとつ。たくさんのコンシーラーを使ってきたけど、まさに衝撃的。本当にすごく気に入ったし、実際に流行るだけの価値がある」。この動画には、2200件以上のコメントと46万件以上の「いいね!」が付いた。

TikTokが美容の発見の場となっているのは驚くことではない。最近の業界イベントで、Googleのエグゼクティブは、発見するという目的では若い消費者はグーグル検索やマップではなく、インスタグラムやTikTokに目を向けるようになっていると述べている。アナスタジア・ナッシュ氏(@Stazzylicious、TikTokのフォロワー数47万5000人)が6月20日にTikTokに投稿した動画は、まさにこの行動の変化を指摘している。その動画は14万5000の「いいね!」と78万ビュー以上を獲得している。

こうした製品の発見は、3位のレブロンのオイルアブソービングボルカニックローラーのケースでも顕著で、あぶらとり紙よりも使いやすく、余分な皮脂を吸収できるとしてTikTokerの注目を集めた。一方、エッセンスのラッシュプリンセスマスカラはAmazonベストセラー第1位とされており、26万1000件以上のレビューと同サイトの5つ星のうち4.5を獲得している。プライムデーの期間中は、4.99ドル(約660円)から3.99ドル(約530円)に割引されていた。このドラッグストアブランドは2001年にドイツでローンチされ、2008年に米国に進出、アルタビューティ(Ulta Beauty)、CVS、そして最近ではTarget.comで販売されている。2月にはターゲット(Target)の300店舗以上で展開される予定だ。

ソーシャルメディアを軸に戦略転換するブランドも

D2Cとソーシャルメディアのアプローチは、上記のすべてのブランドでうまくいっている。特にミラニコスメティックスは、通常のローンチ戦略から方向転換を図ったことで、その成果を目にしている。同ブランドのカラーフェティッシュマットリップスティックは、MIVで5位にランクインしている。2019年以降、同ブランドは従来のメディアチャネルから離れ、ソーシャルメディアを通じて顧客に情報を提供し、製品のローンチを行うことを選択した。アルタビューティ、ターゲット、ウォルマート(Walmart)、ウォルグリーン(Walgreens)で販売されているミラニは、多様な消費者を対象とすることで知られている手頃な価格のブランドだ。6月にGlossyが報じたように、このブランドの戦略は功を奏しており、ニールセン(Nielsen)のリップ、アイメイク、フェイスメイクアップのカテゴリーの売上データでは、ミラニは4月23日までの12週間で9位にランクインしている。同ブランドが2021年2月にTikTokに参加して以降、2022年にローンチした製品のうち4つがバイラルとなった。同ブランドは、その手頃な価格が、TikTokにいるコスト意識の高い若い視聴者と交差していると評価している。カラーフェティッシュマットリップスティックは、無報酬のTikTokの投稿が注目された後、週平均売上が328%成長したという。

「ミラニは、消費者が品質を犠牲にしなくても厳しい時代に懸命な選択ができるように、社会的な話題性と成長トレンドを継続していく構えだ」と、ミラニのCMOジェレミー・ローウェンスタイン氏は以前Glossyのインタビューに答えている。「ミラニを愛用する女性たちは妥協したくないのだ」。

[原文:Launchmetrics x Glossy research: TikTok and mass beauty are a match made in heaven]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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