持続可能性を伝えるための裏付けに重要な インパクトレポート :ヴェスティエール・コレクティブの事例

DIGIDAY

どのブランドも自社がサステナブルであると主張している現在、その認定が希薄であったとしても、環境にとってより良い選択であるという自社の主張を実際に裏付けることがブランドにとってはますます重要になっている。

こうした主張の裏付けが、インパクトレポートや持続可能性レポートの形で提供されるようになっている。パンガイア(Pangaia)、オールバーズ(Allbirds)、パタゴニア(Patagonia)といったブランドは、定期的なマーケティング戦略の一環として、自社の環境認証を向上させた方法についてのデータを記載したレポートを定期的に作成している。また、消費者の支出が減少しているにもかかわらず、今年は70%以上の企業がサステナビリティへの支出を増やしている

ヴェスティエール・コレクティブのインパクトレポート

フランスのラグジュアリー再販プラットフォーム、ヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)はそのような企業の最新の1社だ。中古品購入と新品購入の影響を比較したインパクトレポートを6月20日に発表した。同社やほかの再販業者は、中古品の購入のほうが新品の購入よりも二酸化炭素への影響が少ないという事実を頻繁に宣伝しているが、このレポートではそのような主張が数字で裏付けられている。ヴェスティエール・コレクティブの算出によると、中古品の購入は同じものを新品で購入するよりも影響は90%低いという。

このレポートは、ヴェスティエール・コレクティブの2回目の年次レポートであり、業界としての再販の一般的な影響だけではなく、同社の運営における具体的なデータについても詳しく掘り下げている。たとえば、このレポートによると、同社のパッケージは98%がリサイクル可能で、63%はリサイクル素材とオーガニック素材で作られているという。

これらのレポートが機能するためには、記載されている影響だけではなく、方法論も明確にすることが重要である。たとえば、ヴェスティエール・コレクティブは、53ページのレポートの最後の8ページを割いて、どのようにしてさまざまな結論に至ったかを詳しく説明している。世界各地での生活賃金を計算した方法から、水の使用量や二酸化炭素排出量などの異なる要因に普遍的な値を割り当てる方法まで細かく述べられている。

このレポートの作成には多大な投資と外部からの協力を要した。ヴェスティエール・コレクティブは数社の外部組織と協力してレポートをまとめた。これには、データを収集したボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)がある。また、投資者のケリング(Kering)は環境への影響に金銭的価値を割り当てるシステムを提供した。コンサルティング会社、プライスウォーターハウスクーパー英国(PricewaterhouseCooper U.K.)の持続可能性チームがレポートの構成を担当した。ヴェスティエール・コレクティブは、Eメールで7.6万人の顧客にアンケートを送り、外部企業のコーポレティブ・ムー(Cooperative Mu)に持続可能性への取り組みの監査を依頼し、カルチャーアンプ(Culture Amp)という社内ツールを作成して、従業員を調査して社内の幸福度を測定した。

ヴェスティエール・コレクティブの共同創業者ファニー・モワザン氏は次のように述べている。「再販が成長するなか、社会経済的影響測定を導入して当社はリードしている。このレポートは、他社のレポートと出来栄えを競うようなものではなく、当社のビジネスのあらゆる側面を対象にした透明性を実践したものとして作成された」。

このレポートは、インスタグラムやEメールなどのチャネルを通じて同社の既存顧客全員に宣伝される。顧客が小売全体において支出を減らしている現在、ヴェスティエール・コレクティブの目的は、同社の購入が手頃な価格であるということだけではなく、ポジティブな効果もあることを既存の顧客に再確認することである。

小規模なブランドにも可能なレポート作成

ヴェスティエール・コレクティブのレポート作成には多大な協力があったが、小規模なブランドでも同じようなことはできる。6月21日に公開されたGlossyポッドキャストのエピソードで、カナダのアパレルブランド、フランク・アンド・オーク(Frank and Oak)の最高ブランド責任者、エリザベス・デ・グラモン氏は、今月初めに同社のサステナビリティ取り組みに関する17ページのレポートをまとめた作業について語った。彼女は社内の異なる3チームの支援を受けながら、ほとんど1人で作業したという。

「私はプロジェクトを主導したが、その多くはサプライチェーンに関係するものだったので、調達チームから重要なインプットがあった」とデ・グラモン氏は語った。「調達チームは、すべてのサプライヤーを監視し、サプライヤーが行っていることや認証を維持しているかなどを確認する上で非常に重要だ。それから、当社の運用チームに、発送している荷物の数、電気自動車で配送されている荷物の数、最大のインパクトが見られる地域についての情報を提供してもらった。最後に、マーケティングチームからレポート自体についての意見をもらい、見栄えが良く、データを明確に伝えており、すべてがブランドに基づいていることを確認した」。

ヴェスティエール・コレクティブとフランク・アンド・オークはどちらもB Corp認証を受けている。これは、既存のビジネス慣行と二酸化炭素への影響に関して大量の文書と資格条件が必要な認証である。

オールバーズとパンガイアの取り組み

オールバーズは、年次レポートのほかにも、二酸化炭素排出量を数値化してを全製品に追加している。また、持続可能な材料科学の最先端を常に歩んでいる企業として、パンガイアの年次レポートは同社のマーケティングの定番となっている。

パンガイアの最高インパクト責任者、マリア・スリヴァサバ氏は、1月に「我々はデータの優先順位づけに注力してきた。これには製品の大部分(2021年は製品の83%)に対して行っているライフサイクル評価が含まれるが、それに限定されてはいない。また、その結果をウェブサイトで公表している」とGlossyに語っている。

[原文:Fashion brands are relying on flashy impact reports to communicate sustainability

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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