揺らぐ Twitter の企業文化、失われた透明性:「かつては素晴らしいカルチャーがあった」

DIGIDAY

11月5日、計3700人のTwitter社員が解雇された。このことは多くのTwitter従業員にとって一時代の終わりであり、解雇された者のなかには10年以上勤務した者もいた。この日が、イーロン・マスク氏が最近買収した同社に解雇された人々にとって悲しい日であったことは間違いないが、残りの半分の人々はどう感じているのだろうか。

Twitterが二度と以前と元通りにはならないことは確実だ。そんななかで、まだ雇用されている人たちは留まるべきなのか、去るべきなのかという疑問が湧いてくる。マスク氏はすでに「休息日」に別れを告げ、リモートワークの方針を撤回し、スタッフをフルタイムでオフィスに復帰させることを決定した

パーパスフル・カルチャー・グループ(Purposeful Culture Group)の社長兼CEOで創設者のS・クリス・エドモンズ氏は、「彼は7500人のスタッフを抱える会社の半分を解雇した、それは大きな影響を与えるだろう」と述べている。「このことで色々な問いかけが再度、重要になってくる。同社の戦略とは何か。会社として何を促しているのか。存在理由が何であり、これらの変化がどのようにゴールに導くのか。そしてこれらの項目を、どのようにコミュニケーションするのか、といった問いだ。そこに形式化された戦略があるようには見えない」。

「明らかにしないといけないのは、(会社が)どこに向かっているのか、(どんな価値観や使命を)支持するのか、どのように運営するのか、ということだ」と彼は続けた。

失われた透明性

先週末のニュース以来、Twitterの従業員は匿名の職場コミュニティプラットフォームであるブラインド(Blind)で、会社の将来に対する懸念を表明している。「かつては素晴らしい文化を持っていたが、未来については分からない」と同社の機械学習エンジニアは述べた。あるソフトウェアエンジニアは、「最近のマネジメントの変化は、人々が解雇されたり辞めたりすることによる多くの不確実性とストレスを引き起こしている」と書いている。別の人は「マスク氏が就任して以来、すべてが予測不可能で、マネジメントもコミュニケーションも悪い」と話した。

Twitter従業員の一人は、「Twitterの重要な価値のひとつは透明性である。カレンダーはすべて(ほかの人が見えるよう)開いていた。かつては、技術責任者のカレンダーを見て、彼がその日どこで昼食をとっているかがわかった。通常、文書はオープンで閲覧可能だった。プロジェクトは、誰が作業を開始したのか、誰が担当者で、誰が指揮系統のなかにいるのかを知ることができた。こういったことが全部なくなった」と匿名でビジネス・インサイダー(Business Insider)に語っている。

以前であればTwitterの従業員たちはブラインド上で、「Twitterには素晴らしいコラボレーションの文化があり、働く人が優先される。私はそれが非常に気に入っている」や「給料は素晴らしい、カルチャーも素晴らしい」などの発言をしていた。現在Twitterでは、従業員が「#LoveWhereYouWorked(#元勤務先が大好きだった)」のハッシュタグを使って、会社での思い出に残る時間を共有している。

勤務時間の増大

ビジネスインサイダーは「マスク氏がCEOに就任して以来、Twitterの従業員は通常よりもはるかに長時間に渡り勤務しており、彼のチームは、スタッフたちに大きな仕事を厳しい期限で割り当てている」と報じた。また、CNBCはTwitterの管理職が一部スタッフに週7日12時間勤務を指示していると報じ、ニューヨーク・タイムズは週末にオフィスで眠る管理職もいると報じた。

10年以上にわたってTwitterのスタッフたちと仕事をしてきた経験のある、元カーディナル・ヘルス(Cardinal Health)のコーポレートマーケティングおよびブランド部門の責任者であるケイディー・ブリッジス氏は、「残った人たちは(自分が首にならなかったことへの)罪悪感を持っていると思う」と述べた。「彼らはおそらく、自分たちが次に解雇されるのではないかと考えているだろうし、たとえそうでなくても、仕事量が大幅に増加することは確実である」。

従業員の理解

「これらの(Twitterに残った人々)は、自分たちがこれからどこに向かっているのか、新しい会社が何を体現していくのか、を知りたいと思うだろう」と語るエドモンズ氏。また、企業文化の観点から、マスク氏が成功するためには本能だけで行動するのではなく、意図的でなければならないと述べている。「形式化されたビジョン、ミッション、価値観がなければ、人々にやる気を与えるのはかなり難しい」。

優れた文化を持つ組織とは、従業員が尊敬され、価値を認められていると感じる組織であると、エドモンズは教えている。「50%以上のカットをすると、解雇された人たちはもちろん敬意を感じないだけでなく、解雇されなかった人たちも敬意を感じないだろう」と述べた。

これにはブリッジス氏も同意している。現在の有能な人材は、将来が不透明であったり、日々に恐怖感を持つことは職場に求めてはいないと述べる。これは究極的には仕事で成果を発揮することができなくなるからだ。今日のほとんどの企業はその逆を行なっている。企業での成功を確実にするために従業員たちが何を求め、何を必要としているかを従業員に尋ね、これまで以上に従業員の福利厚生を優先している。

「そのような人々の多くは、自分の価値を本当に理解してくれる会社での次の仕事を見つけるまでしか、(今の)会社にいないかもしれない」とブリッジス氏は述べた。「人を商品のように扱うべきではない。そうすると職場の人間性が失われる」 。

結局、残った従業員は新しい社風に適応するか、完全に去るかの選択を迫られることになる。トップが変われば誰もが決断を迫られることだが、Twitterとマスク氏の場合はそれがより顕著になる。さらに、トップの変更があった場合、最初の数カ月をかけて従業員がどのように動いてきたか、何を望んでいるかを知り、全体的な評価を行ってから大きな変更を行うことが多い。

「リーダーは、自分が(会社経営において)何を重視しているかのシグナルを出す」とブリッジス氏は述べた。「リーダーが顔を合わせる時間と結果を重視するならば、結果が実際にどのように達成されたとしても、(顔を合わせることと結果を出すこと)がこの企業で報われる行動となる。もし、リーダーが最終結果だけでなく、リスクテイク、勝利、失敗、包括性など、どのように達成したかに価値を見出すなら、社員はその行動を模範とすることに集中するだろう」。

いずれにしても、企業文化を早期に形成し、従業員が望む場所にあるかどうかを判断できるようにすべきだと彼女は言う。

[原文:Twitter’s company culture? ‘Used to have an amazing culture, unsure of future’

Cloey Callahan(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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