2023年、 ソーシャルメディア の最新トレンドは?:消費者が変化をどう牽引するかに着目

DIGIDAY

消費者インテリジェンス企業、トークウォーカーと顧客エンゲージメントプラットフォーム、コロスが先頃、2023年度ソーシャルメディアトレンドのトップ10を予想。それらの変化を消費者がどう牽引するかに注目した報告書を発表した。主なテーマには、ソーシャルコマースの課題や、メタバースへの賭けなどが挙げられる。

分散型プラットフォーム、Cookieの死、予測分析――これらは2023年を支配する主要トレンドのほんの一部に過ぎず、それらを動力源とするソーシャルチャネルも同様だ。

消費者インテリジェンス企業、トークウォーカー(Talkwalker)と顧客エンゲージメントプラットフォーム、コロス(Khoros)が先頃、2023年度ソーシャルメディアトレンドのトップ10を予想し、それらの変化を消費者がどう牽引するかに注目した報告書を発表した。両企業とも、各々が有する消費者インテリジェンスおよびソーシャルメディア関連データを分析した。主なテーマにはほかに、ソーシャルコマースの課題や、メタバースへの賭けなどがある。

「ブランドと業界には、Cookieのない未来に向けてするべきことが、まだまだたくさんある」と、レイザーフィッシュ(Razorfish)のEVPでトップのロブ・シルバー氏は、米DIGIDAYに語った。

プラットフォームに起きる主要な変化

ソーシャルメディアに関しては、プラットフォームに起きるいくつかの主要な変化に、同報告書は注目している。誤情報の拡散は今後も起きるだろうが、トークウォーカーによれば、消費者はフェイクニュースと信頼できる情報源との見分け方に習熟しつつある。つまり、2023年、消費者はより高い誠実さおよび透明性に関してさらに高い基準を求め、ブランドおよびソーシャルネットワークには然るべき対応が必要になるだろう。

これを受けて、たとえば分散型ネットワークに向かう動きは、なおいっそう魅力的なものになるだろう――加えて、同技術は結果的に、ユーザーが自分のデータおよびプロファイルをより適切に管理できるようになる可能性をもたらす。また、利益が分散型ネットワークの巨大ソーシャル企業に行かず、コンテンツクリエーターが収益増という恩恵を享受する、という流れも生じうるだろう。

「クリエーターは大半の従来型ソーシャルプラットフォームの核にいるが、彼らの存在および成長は現在、厳しいコミュニティガイドラインと低価格な報酬モデルのせいで、ますます困難なものにされている」と、ピュブリシス・メディア(Publicis Media)のイノベーション部門VPジェシカ・バーガー氏は指摘する。

メタバースは引き続き話題の中心に

分散化に関しては、メタバースが2023年も引き続き話題の中心になるだろう。トークウォーカーの予想では、この先数カ月さらに多くの大手企業がメタバース界に参入し、ピュブリシス、サムスン(Samsung)、電通、マイクロソフト(Microsoft)といった先駆者に続くことになる。必然的に、挑戦者のなかには大きく伸びるところもあるだろうし、敗れて消えていくところも出てくるだろう――そして消費者は、それらのどれが自身の現実世界の活動と最も共鳴するのか、見極めることになる。

マーケティングの未来に関しては2023年、予測分析がなおいっそう大きな攪乱分子になると、予想される。これは新たなトレンドではないものの、結果予測におけるビッグデータの利用が、ソーシャルリスニングをはじめとするほかのAI機能と共にソーシャルメディアになおいっそう深く統合されるだろうと、トークウォーカーは見ている。

予測分析機能を有するマーケターは、現時点では半数にも満たない。だが、特定のトレンドや話題、キャンペーンなどが今後見せるパフォーマンスの予測能力に対する需要がなおいっそう高まるなか、2023年、状況が大きく変わる可能性もある。

そのほかのハイライト

  • 2023年、我々はCookieの終わりの始まりを目撃することになるが、その移行は容易ではないだろう。トークウォーカーのAIプラットフォームによる消費者感情の分析結果によれば、オンライン上全体でCookie終焉への言及数が上昇しており、怒りの検知数も増えている。これはつまり、人々がプライバシー問題に関する不満を募らせており、「劇的な変化を、それも早く」欲しいと思っている証だと、報告書は指摘している。レイザーフィッシュのシルバー氏はこう言い添える。「現在、ブランド勢が模索している新たな解決策が複数登場しており、リテールメディアネットワークのようなクローズドループエコシステムへの大きな移行が起きているのは間違いないが、恒久的なファーストパーティデータソリューションに向かって一気に動いているブランドはいないに等しい。どこも依然として、ターゲティングおよび効果測定ではサードパーティCookieへの強い依存から離れられないでいる」。
  • 多感覚的な体験がなおいっそうソーシャルメディアに入ってくるだろう。オーディオ体験から完全没入型環境まで、さまざまな感覚に対応するコンテンツタイプやフォーマットがソーシャルプラットフォームで増えると予測している。ブランド勢は消費者との繋がりを目指し、新たなフォーマットにおけるさらなる革新を求めることになるだろう。
  • ソーシャルコマースは浮き沈みを経験することになるだろう。ソーシャルショッピングは依然、少なくとも米国では、不確実な位置にある。それに比べて、中国ではソーシャルで購入するSNSユーザーが多く、2023年にはソーシャルコマースが全eコマースの14.3%を占めることになると、同報告書は予想している。生活費の高騰が進むなか、消費者は出費をより抑えられる新たなショッピングチャネルを探すことになるだろう。トークウォーカーのCMOデビッド・ロウ氏は、こう言い添える。「米国はわずか4.9%と、ソーシャルコマースに関して大きく水をあけられているが、この先同分野の成長は間違いなく上向きになると、我々は見ている」。
  • サステナビリティと環境が、消費者にとってさらに大きな焦点となるだろう。2023年、サステナビリティに積極的なブランドはますます伸びる一方、グリーンウォッシングをしているところは、相当な反発を経験することになると、同報告書は予想している。消費者とブランドが使う環境関連のキーワードが今後、ますます同一化すると、トークウォーカーのAIは分析している。これは結果として、消費者が購買の意思決定をする際に、双方が環境問題に対してアクションを起こすきっかけになる可能性がある。「消費者は自分も何かしたいと思っているが、その経験がファストファッション買収のように完璧なものでないと、それを簡単に諦めてしまう」と、ピュブリシス・コマース(Publicis Commerce)のCOO、エイミー・ランジ氏は話す。

[原文:Here are the trends likely to have the biggest impact on social media channels in 2023

Antoinette Siu(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)


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