スーパー・リーグ 、いよいよ「 メタバース広告 」の販売へ:アドテクベンダー勢と提携して

DIGIDAY

ゲーミング/eスポーツエンターテイメント企業、スーパー・リーグ・ゲーミング(Super League Gaming)はいくつか戦略的提携を完了させ、メタバース内に有する広範なインベントリへの広告出稿をアドテクベンダー勢に認めた。この動きから見えてくるのは、ゲーム内広告ツールが真のメタバース広告への進入車線として機能し得る可能性だ。

スーパー・リーグのメタバース広告パートナーには、ヴェナタス(Venatus)、エーペックス・モバイル(Apex Mobile)、DAC、タルモント・アドヴァイザーズ(Talmont Advisors)などがいる。これらパートナー勢はいずれも各々の地域にフォーカスする企業であり、彼らを介することで、スーパー・リーグは全世界の主要ブランドに自身のイベントリを提供できることになった。もっとも、提携の発表は2022年2月第4金曜だったが、いくつかは数カ月前からすでに動き出していた。スーパー・リーグは2022年1月だけで30以上のキャペーンを実施したと、ヴェナタスのCEOロバート・ゲイ氏は話す。

スーパー・リーグのCEOアン・ハンド氏は、具体的な数字を挙げ、オーガニックおよびインオーガニック(無機的な)成長により、同社の月間プレイヤー数が7500万人に達したと語った。そして、それにより「ほかに類を見ない、価値あるインベントリと、なかでもとりわけさまざまなメタバースゲーミングプラットフォームへのリーチ」が形成されたと、氏は言い添えた。

「それらゲームを実際に制作するパブリッシャーを除けば、その規模のリーチを有していると断言できる企業は、決して多くない」。

「Facebookの初期と似た存在」

複数のプラットフォームをまたいだ非連続的なインオーガニック成長は実際、近年のスーパー・リーグの拡大を後押しする主要因のひとつとなっている。スーパー・リーグ・ゲーミングは2014年、eスポーツトーナメントプラットフォームとして創業したが、一連の合併を経て、持株会社へと生まれ変わっており、同社に関心を持つ企業は、ロブロックス(Roblox)やマインクラフト(Minecraft)といったメタバースプラットフォームをはじめ、ゲーミングコミュニティに多数存在する。このスーパー・リーグの拡大は、eスポーツ企業勢の収益源多様化促進において合併および買収がいかに重要であるのかを明確に示している。

2018年、スーパー・リーグは世界最大のマインクラフトサーバーホストコミュニティ、マインハット(Minehut)を獲得。さらに2021年、同社は150を越えるロブロックスエクスペリエンスにおいてブランドとユーザーを繋げる、メタバースにフォーカスするアドテク企業、ブロックスビズ(Bloxbiz)を買収している。ブロックビズはこの買収以前からヴェナタスと事業を行なっていた。結果、両社の関係はこの数カ月でさらに深化し、ヴェナタスはブロックスビズを通じ、米玩具メーカーのハズブロ(Hasbro)や仏ファッションブランド、パコ・ラバンヌ(Paco Rabanne)といったブランドをはじめ、さまざまな広告主へのブランドセーフティなメタバースエクスペリエンスの提供を考えている。「ゲーム数が150以上もあるというだけでなく、すべて質も高い。我々は自らの立ち位置を完全に把握している」とゲイ氏。「ハズブロから話があれば――実際、すでにロブロックス内での広告について話をしている――安全だと断言できる」。

スーパー・リーグがロブロックスおよびマインクラフトで提供するサービスは、ほかのプラットフォームにおけるゲーム内広告と似ているとも言える。両者とも内存型であり、バーチャルスペース中に登場するビルボード、といった形態を取る。ただし、ロブロックスがメタバースプラットフォームという役目を引き受けている以上、スーパー・リーグのメタバースインベントリにおける広告も同じくメタバース内広告であり、それはつまり、それらがユーザーのバーチャルエクスペリエンス内に現れるのではなく、その側に並行する形で存在することを意味する。多くの識者はメタバース胎動期とソーシャルメディア初期の類似性を指摘しており、同じ類似性が広告スペースにも存在すると、ブロックスビズのCEOで共同創業者のドロズドフ氏は確信している。ドロズドフ氏とゲイ氏はいずれも、彼らのメタバース広告サービスがゆくゆくは、従来のウェブサイトにおけるバナー広告と変わらないものになると見ている。「ブランド勢は絶対に、ロブロックスをFacebookの初期と同じような存在と捉えたほうがいい」とドロズドフ氏。「ロブロックスはたんに広告を打つ場というだけではない。ブランドプレゼンスを確立できる場でもある」。

若年ユーザーにリーチできる好位置

事実、一部のブランドはすでに、ブランド名を冠したアセットを既存のエクスペリエンスに投入するか、同プラットフォーム内にブランド独自の世界を構築し、ロブロックス内にプレゼンスを確立しつつある。スーパー・リーグの広告インベントリはメタバースへの参入を考えているブランドにとって、ほかよりも敷居が低いと、ドロズドフ氏は確信している。「一定期間にリーチできる人数について、我々は有望な見込みを伝えられる」。

メタバースが具体化し、マインクラフトやロブロックスといったプラットフォームのユーザーベースの年齢層が広告主にとって垂涎の18~34歳に固まるなか、スーパー・リーグと同社のパートナーらは自身のプラットフォーム上でそれらのユーザーにリーチできる好位置に付けている――そしてブランド勢は早くもそれに注目している。この持株会社モデルはこれまでのところ、スーパー・リーグに好結果をもたらしている。「我々にとって、これは2022年度の最重要戦略的ドライバーのひとつだ」とハンド氏。「圧倒的リーチ数を武器に、ほかのもろもろを如才なく活用して、このグローバルインベントリを売り切る術を見つけることが、極めて重要となっている」。

[原文:Why Super League is partnering with ad tech vendors to sell its holdings in the metaverse

Alexander Lee(翻訳:SI Japan、編集:長田真)

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