ワシントンポスト、人気 ニュースレター を多角展開:「ファーストパーティデータを充実させるための近道に」

DIGIDAY

ワシントンポスト(The Washington Post)が「ザ・セブン(The 7)」という短いニュースレター(オーディオ版もある)を発表してから1年、同誌は今秋にポッドキャスト形式に加え、ワシントンD.C.、メリーランド、バージニア地域の人々を対象としたより具体的な地方版を配信する予定だ。

「ザ・セブンのフランチャイズ化を開始し、ワシントンD.C.を皮切りに、より多くの地域に特化する予定だ」とワシントンポストのキュレーションとプラットフォームの責任者であるコリーン・オリア氏は述べた。ザ・セブンの昨年のローンチはアメリカン・エクスプレス・ビジネス(American Express Business)がスポンサーとなっていたが、今回の新しいローカル版にはローンチスポンサーはついていない。

ザ・セブンは、ワシントンポストのその日のトップ記事のうち7つを取り上げ、読むのにも聞くのにも3分しかかからないように設計されており、ザ・ポストのニュースレターのなかで最も急速に成長している。オリア氏によると、同ニュースレターの購読者は約90万人いるという。同氏によると、ザ・セブンは「強力な」オープンレートと「高い」完読率を持っている。しかし同氏は具体的な数字は言及しなかった。

「人々の朝や毎日の習慣に合わせる」

地方版の第1弾は「ザ・セブンDMV」と呼ばれ、本日公開された(DMVはワシントンD.C.、メリーランド、バージニアの頭文字をとった通称)。ワシントンポストのメトロ(Metro)部門が主導し、編集者のマイク・シーメル氏がザ・セブンチームの協力を得て監督する。DMVのニュースレターには、メトロのデスクからのコンテンツに加えて、スポーツ、ライフスタイル、エンターテインメントの記事など、地元の読者向けのその他の記事が含まれる。毎週平日の午前7時(東部標準時)に発行され、同時にフラグシップニュースレターも発行される。

「DMVは非常に忙しい地域だ。人々は多忙な生活を送っている。我々のミッションのひとつは、人々の朝や毎日の習慣に合わせることだ」とオリア氏は言う。「目的は、DMVのオーディエンスに関するニュースレターを作成すること。つまり、彼らの学校、通勤、税金だけでなく、応援しているスポーツチーム、食事や買い物に行く場所、週末や夜に見るエンターテイメントなども伝えていく予定だ」。

ザ・セブンDMVはニュースレターとしてのみ提供される。この点ではワシントンポストのウェブサイトとアプリでテキストとオーディオ形式でも提供されるザ・セブンと異なる。

ポッドキャスト版の制作予定も

ザ・セブンのオーディオ版で「強いエンゲージメント」が見られたことから、ワシントンポストはこの秋、同ニュースレターのポッドキャスト版も制作する予定だとオリア氏は述べた。ワシントンポストはテキスト読み上げ技術と統合されており、ユーザーは音声で聞くことができる。ザ・セブンのオーディオ版は同紙で最も人気があり、ほかのオーディオ記事の3倍ものユーザーが、クリックしてこのオーディオコンテンツを聴いている、と同氏は述べた。ワシントンポストの広報担当者によると、1日に2000人以上がこの音声版を聞いているという。

ポッドキャスト配信はまた、ワシントンポストのオーディエンスがスマートスピーカーやポッドキャストのプラットフォームからザ・セブンを聴くことができるようになることを意味する。また、ポッドキャストにはホストを配置することで、ニュースに「パーソナルなタッチ」を加えることができると同氏は述べた。

ザ・セブンDMVの広告枠は、メインのニュースレターであるザ・セブンで提供されている広告ユニットを反映したものとなる。傾向としては、提供スポンサーに加えて、1つから2つの広告が掲載される。ワシントンポストはこれらのユニットの価格を明らかにしなかった。

ニュースレターが持つ重要性

ザ・セブンは、定期的なペースでワシントンポストのプロダクトを消費してもらう習慣を生み出そうとする同社の取り組みの、不可欠な部分である。このアイデアは、読者がザ・セブンでワシントンポストのニュースをより早く、より簡単に消費できるようにすることで、同社が提供するニュースに戻ってくることを促すものである。

「Eメールでのニュースレターは、多くの人にとってパブリッシャーのウェブサイトの顔となっている。かつては自宅に届けられていた紙面が、今ではメールマガジンになっている」とEメールマーケティング・プラットフォームであるリブインテント(LiveIntent)の企業コミュニケーションおよび業界関係担当シニア・バイスプレジデントであるアダム・バーコウィッツ氏は述べている。

ニュースレターを読んでもらえるかどうかはプラットフォームのアルゴリズムによって決まるわけではない、と同氏は付け加えた。「ウォールドガーデン(大手テック企業による囲い込み)に代わるものだ。ユーザーはログインしているので個人と結びついており、エンゲージメントが高い」と述べた。リブインテントはパッチ(Patch)、ガネット(Gannett)、メディアニュース・グループ(MediaNews Group)、マクラッチー(McClatchy)などのローカルパブリッシャーと連携している。

また、ニュースレターは「アイデンティティ主導の時代」の要であるとも述べた。パブリッシャーたちはEメールを通じてファーストパーティデータを構築することができ、それによって「オーディエンスにアクセスすることを可能とするための土台を形成」し、サードパーティクッキーがなくなったときに広告主がターゲットとしているオーディエンスを見つけることができるだろう。

「ニュースレターは、ファーストパーティデータを充実させるための近道である。それはこれからの時代にとって重要なことだ」と述べた。

[原文:Why The Washington Post wants to expand a daily newsletter into a podcast, local version

Sara Guaglione(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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