ショート動画 にゲーマーも注目。恩恵を受けているのはホラーゲーム?

DIGIDAY

ショートフォーム動画はいま、最も熱いメディアチャネルのひとつだ。ゲームインフルエンサーらは無論それを自覚しており、TikTokやYouTubeショートといったプラットフォームに群がる人数は増加を続けている。彼らのファンの目も当然そちらに移るなか、ショートフォーム動画コンテンツに対するゲーマーの姿勢の把握は、マーケター勢にとって必須だ。

そこで米DIGIDAYは、ショートフォーム動画に対するゲーマーの最新姿勢をより深く理解するべく、ゲーム会社に特化したソリューションを提供するゲームサイト(Gamesight)の協力を得て、移り変わりつつあるゲーマーの動画消費傾向に関する同社独自の調査報告書から、重要な点を抜粋した。

ゲームサイトは、YouTubeで最も人気の高い30のゲームを、動画の平均時間に対する視聴回数といった指標をもとに分析し、全ゲームジャンルそれぞれにおいて最も成功しているタイトルを同定した。同社のデータによれば、「エルデンリング(Elden Ring)」や「マインクラフト(Minecraft)」といった看板作を含め、著名なゲームがYouTubeにおける総ゲーム視聴数の80%を超えている。

「2023年、ショートフォーム動画の閲覧数の上昇はコンテンツ生成の総数ともども、安定状態にある」と、ゲームサイトのデータアナリストであるクリスチャン・マセニー氏は話す。「全コンテンツの40~50%程度で止まっており、おそらくその辺りで落ち着くものと思われる。つまり、いまは分析するのに格好のタイミングということだ――いわゆる線香花火的な一時的盛り上がりはもうないだろう」。

今回、ゲームサイトはYouTube動画をショート(2分未満)、ミディアム(2~8分)、ロング(8~20分)、エピック(20分超)の4つのジャンルに分類した。以下がその分析結果の一部だ。

上記のグラフはYouTubeショートのゲームクリエイターによる、ショートフォームコンテンツの平均視聴回数(AVV)の割合を示すものだ。クリエイターは視聴回数によって、マイクロ(10万回未満)、ミッド(100万回未満)、マクロ(1000万回未満)、メガ(1000万回超)の4つのカテゴリーに分類されている。

上記データで明らかなとおり、ショートフォームコンテンツはマイクロクリエイターの視聴回数の大半を占めており、クリエイターのカテゴリーが上がるにつれて、ショートフォームコンテンツの視聴割合は着実に小さくなっている。これは小規模クリエイターがショートフォーム動画の特性である高発見性の恩恵にあずかりやすいからであり、一方で大規模クリエイターは、ロングフォームコンテンツで既存の固定ファン層を惹きつけることができる。

「ショートフォーム動画には運の部分がある、一気に爆発するかどうかは運次第だ。それに、ショートフォームならば同じ予算でより多くの弾を撃てる」とゲームサイトのCEOアダム・リーブ氏は話す。「みんなアルゴリズムの話ばかりするが、実際のところ、ようは人間の性質が鍵だ。 誰もが当たり前にスクロールしており、目に止まるものがあれば見る」。

ショートフォーム動画による恩恵の程はゲームのジャンルによって変わる――とはいえ、ホラーゲームの数字はほかジャンルのそれを圧倒している。上記のグラフはコンテンツの長さでグループ分けした、ホラーゲームコンテンツの平均視聴数を表したものだ。ショートフォームのホラーゲームコンテンツの平均視聴回数70万回は、ロングフォームのホラーゲームコンテンツの平均視聴回数30万回を遙かに上回っている。

「大半のホラーゲームの場合、誰かがゲームをやり切るのを見ていても楽しくはない。スローな展開が多く、いわゆるビルドアップの時間も長い。ホラーもので盛り上がるのは、誰かがあまりの恐怖に取り乱したり、縮み上がったりするのを目にする瞬間だ」とリーブ氏は言う。「それを見て笑い、それで満足して各々の現実世界に戻る。誰かがそこに到達するのを20分もかけてじっと見守るというほどのものではない」。

ホラーゲームコンテンツでは有意な数字が出ているが、ショートフォーム動画は視聴数増を狙うゲームクリエイターにとって、万能の特効薬ではない。動画の長さとエンゲージメントの関係性はやはりジャンルに大きく左右される。

上記のグラフは一人称シューターとPvP(対戦型)動画コンテンツの平均視聴回数をコンテンツの長さごとに追ったものだ。シューティングゲームに加えて、ソーシャルゲームとスポーツゲームもロングフォームコンテンツでの視聴数が多いことがわかる。

注目すべきは、上記ジャンルでもロングフォームよりも長いエピック、つまり20分を超えるコンテンツになると、反対に視聴数が下がる点だ。

「ロングフォームからエピックに行くと、いきなりガクッと落ちる。理屈では説明しがたい奇妙な数字で、じつに面白い」と、マセニー氏は話す。「本気で話を聞きたいと思うクリエイターがいれば普通、10分や15分、その人の言葉に耳を傾ける。それなのに、それよりも長い動画となると急に、『そんな時間を投資している暇はない』と言い出すのだ」。

[原文:How gamers’ engagement with short-form video is changing

Alexander Lee(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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