「提携したい コンテンツクリエーター の探し方は変わる」:レアグローバル・タレントマネジメントCEO、アシュリー・ヴィラ氏

DIGIDAY

Glossyではファッションと美容業界がどのように潜在的な不況に備えるかについての記事をシリーズで掲載している。経済が悪化したときに、企業がどのように製造や資金調達、小売経営を計画するのかを掘り下げていく。

アシュリー・ヴィラ氏は、タレントマネジメントエージェンシー、レアグローバル(Rare Global)のCEO兼パートナーだ。同社はミシェル・ファン氏、ジェン・イム氏、クロエ・モレロ氏、ニコル・コンチリオ氏などのメガインフルエンサーをクライアントとして抱える。ヴィラ氏はパンデミック初期の不確実で不安に満ちた日々においてクライアントらを導いた。潜在的な不況が差し迫っているいま、ヴィラ氏はパンデミックのインフルエンサーマーケティングへの影響や、不況により業界がどう変化するかについて語ってくれた。

ーー景気後退がインフルエンサーマーケティング業界に影響したことは以前にもあったが、これはどのようにして起こるのか?

「パンデミックの初期には誰もが恐怖を感じていた。ロックダウンの最初の週にブランドは取引から手を引こうと躍起になっていた。予算が削減された。その時点までに契約がまとまっていなければ、それが決まる可能性は低かったということだ。ブランドは契約を取り消そうとして不可抗力条項に頼ったり、妥協しよう、などと言っていた。当時は思いも寄らない、とんでもないことが多く起きていた。状況はそれぞれのブランドで異なっていたが。

我々は現状を知ろうと関与しているブランドすべてと話し合った。「それは有効な取引か?」「この取引は実行できるか?」と尋ねて、我々が気にかけていることを示した。話し合いのあとで成立直前の取引から手を引いたのは、1ブランドだけだった。

我々の態度は、話し合っていこうというものだった。ブランドにとって実際に意義があるように、成果物を含めたこともあった。取引の実現のために多くの交渉をした。私は取引をまとめられるタイプなので、そうしたいと思っていた。そして、契約が締結したなら、それが履行されてクライアントが支払いを受けることを確認したいと思うのだ。

パンデミックによってマーケティング業界全体がひっくり返った。インフルエンサーマーケティングはその最後のピースであり、『予算に余裕がある。インフルエンサーマーケティングをやってみよう』という感じだった。1年経って、予算が回復し始めて賢明なブランドはそれに注力していた」。

ーークライアントは仕事や制作したコンテンツに関して日常業務を変えたのか?

「3カ月経ってから、我々は、クライアントが望んでいるもの、そして彼らの視聴者が見たいと望んでいるものを評価しようとした。クロエ(・モレロ氏)が、オーディエンスから望まれているコンテンツの種類についてアンケートをしたことも覚えている。

ビューティに注力している大勢のクライアントのために、我々はテクノロジーや金融などの新規バーティカルの導入を開始した。食品は特にジェン(・イム氏)にとっては大きな分野になった。我々はビューティだけではなく複数のバーティカルに拡大するよう推し進めている。クロエ(・モレロ氏)と私がパンデミック以前に、ビューティだけではなくライフスタイルブランドになるための戦略を立てていたのがその例だ」。

ーー不況の場合、ブランドが不安になり、パートナーシップを撤回するようなことがまた起こると思うか?

「そうは思わない。なぜならブランドはもう経験済みだからだ。また起こっても、それほどショックではない、と思えるだろう。支出は変わるだろうが、それに対して事前にもっと検討したり計画したりできる。また、パンデミックによって、ある意味この業界がパンデミックに対して強いことが証明された。なぜなら、ブランドは(インフルエンサーを活用することが)オーディエンスにリーチする唯一の方法だと気づいたからだ。

たとえば、パンデミックのある時点では(インフルエンサーに頼ることが)撮影できる唯一の方法だったときもあった。MACがエレン(・V ロラ氏)にコンタクトして、(MACのリップスティックの)ルビーウー(Ruby Woo)を再ローンチするための成果物を撮影するように彼女に依頼したことがあった。なぜならMACは撮影スタジオや写真家を手配できなかったからだ。MACは、ロラ氏にアセットの制作だけではなく宣伝も行うように依頼しなければならなかった」。

ーー 一般的にはそれもコスト効率の向上につながると思う。インフルエンサーと協力しているブランドにはほかに費用効果の高い戦略はあるか?

「マネジメント会社として我々はパンデミックの際にブランドに連絡を取り、金銭面以外でどのように彼らを支援できるか尋ねたので、状況は興味深いものだった。良好な関係を築いているブランドに対して、予算がなかったとしても、我が社が協働を続けたいと思っていることを伝えたかった。その例には、クライアント数人がトゥーフェイスド(Too Faced)のためにインスタグラムライブを無料で提供したことがある」。

ーーインフルエンサーマーケティングは不況によってどのように変わると思うか?

「 ああ、なんてことだ、不況だ、というようなことにはならないだろう。おそらく(不況の影響は)じわじわと積み上がっていくと思う。皆が不況について話し意識し続けるので、いきなりロックダウンされたときのような不意打ちはないだろう。

だが、ブランドは予算を綿密に検討して、提携したいコンテンツクリエーターのタイプについて熟考するようになると思う。とりあえずやってみよう、という態度ではなく、ROIとEMVの分析に役立つデータプラットフォームに頼ることになるだろう。ブランドはそのようなプラットフォームを活用して、どのクリエイターがそのブランドをすでに気に入っているかを把握することができる。ブランドは旬のTikTokユーザーを獲得したいと思っているが、実際にそのブランドに関して投稿した人、実際にそのブランドに自然な共感や愛情を持っている人を見つけることが重要だ。ブランドはそのようなクリエイターを起用して、入手したデータを使ってパートナーシップを促進できるかもしれない」。

[原文:Rare Global Talent Management CEO Ashley Villa on influencer marketing in a recession

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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