持続可能性 の主張はどこまで信頼できるのか?:テックプラットフォームを活用するカルトビューティとヴェレダ

DIGIDAY

持続可能性への取り組みは、ビューティブランドにとってますます大きな懸念となっている。クリーン小売業者のクレド(Credo)は、使い捨てのマスクとワイプを廃止し、2023年6月までに消費者からの再生プラスチックやほかの持続可能な素材を50%使用することをブランドパートナーに義務付けることを2020年に約束した。この1年ほどで空の容器を回収するプログラムは、セフォラ(Sephora)と非営利団体パクト(Pact)とのパートナーシップなどを通じてさらに普及している。

サードパーティ認証の高まる重要性

しかし、グリーンウォッシュすることなく、持続可能性を伝えることは、引き続き課題となっている。持続可能性マーケティングプラットフォームのプロヴェナンス(Provenance)とリサーチ会社のロンドンリサーチ(London Research)の新しいレポートによると、英国のビューティ購入者の83%がビューティ業界は自社製品の影響についてもっと透明性を持つべきだと回答した。ビューティブランドの持続可能性の主張が非常に信頼できると回答したのはわずか16%だった。

「クリーン」「無毒」「オーガニック」「残虐フリー」などの謳い文句と同様に、ブランドの環境保護に関する主張は消費者から疑問視されている。定義は企業によって異なる可能性があるため、第三者機関によって精査されていない主張を消費者が数値化して理解することは難しい。クリーン認証に関しては、環境作業部会(EWG)の承認スタンプはヨーロッパでは依然としてゴールドスタンダードである。

英国ヴェレダ(Weleda UK)のマネージングディレクターであり、英国サステナブルビューティ連合(U.K. Sustainable Beauty Coalition)の議長を務めるジェイン・スターランド氏は、ビューティブランドは消費者にもっと透明性を提供する必要があると述べている。「『持続可能』や『ネットゼロ』などのバズワードは異なる解釈ができるので、ブランドは用語を明確に定義して、購入客が十分な情報に基づいた選択を行えるようにしなければならない」。

ロンドンリサーチとプロヴェナンスが米国と英国の1500人に聞いたところ、回答者の85%が持続可能性に重点を置いた製品を購入する際に独立した検証者を信頼する、と答えた。ソーシャルメディアのインフルエンサー、ブロガー、または広告と比較して、購入者が独立した検証を「非常に信頼できる」と答える可能性はほぼ3倍である。

持続可能性と認証を担当するテックプラットフォーム

プロヴェナンス、コンペアエシックス(Compare Ethics)、グリーンストーリー(Green Story)のようなのテクノロジープラットフォームは、持続可能性のデータと認定を集約して顧客への教育を強化している。ビューティブランドからデータを収集している数少ないプラットフォームのひとつであるプロヴェナンスは、フェアトレード(FairTrade)やB Corpなどの認証から消費者が理解できるデータを提供する。プロヴェナンスはまた毎年データをチェックして、主張が正確で最新であることを確認してもいる。主にマッシュ(Mashu)やオリジン(Origin)などの小規模なブランドと連携している持続可能性プラットフォーム、コンペアエシックスはB Corpなどのサードパーティの検証も考慮している。また、自社独自の10カテゴリーアルゴリズムを使用して、労働者の権利や製造を含む多くの持続可能性カテゴリー全体でブランドがどこに該当するかを判断している。一方、グリーンストーリー持続可能性プラットフォームは、パタゴニア(Pangaia)やスレッドアップ(ThredUp)などのファッションブランドと協働しており、ライフサイクル評価を実施し、材料の調達から生産、使用、廃棄までの製品を評価するものだ。

プラスチックフリーの固形スキンケアブランドSBTRCT(サブトラクト)の創業者、ベン・グレイス氏は、英国の男性用スキンケアブランド、ブルドック(Bulldog)で10年の経験があり、2020年にSBTRCTをローンチした。「2007年、ブルドッグでは原材料が天然かオーガニックなのかにフォーカスしていた。つい最近までプレミアムビューティ分野では倫理観は忘れられていたこともあった」と同氏は語る。「現在は環境だけではなく、サプライチェーンと労働者にも焦点を当てている。つまり、非常に幅広い認証と認定が必要とされているのだ」。

「倫理的または持続可能なビジネス慣行に対するB Corp認定などの第三者による検証は、グリーンウォッシュが蔓延するなかで差別化を目指す企業にとっていまや不可欠だ」とスターランド氏は述べている。H&Mが使っているヒッグ(Higg)インデックスなどの検証フレームワークがグリーンウォッシングの疑いで調査されているいま、第三者の検証はこれまで以上に強固でなければならない。

プロヴェナンスを利用するカルトビューティ

カルトビューティ(Cult Beauty)はm英国のeコマース小売業者の1社で、2019年以降取り扱う製品群全体で持続可能性に重点を置いている。カルトビューティの創業は2007年だが、同社がプロヴェナンス以前に持続可能性で提携していたのは包装会社のロビンソン(Robinson)だけだった。ロビンソンはカルトビューティと協働して、カルトビューティのサプライチェーンからプラスチック製のパッケージを排除した。

カルトビューティはeコマースの製品ページでプロヴェナンスを使って、多くのカテゴリーにわたり検証済みのバッジまたは証明ポイントを表示している。これには、ビーガン、黒人所有、カーボンニュートラルなどがある。カルトビューティの持続可能性・社会的責任の責任者であるアリシア・ヒッキー氏は次のように述べている。「当社の製品の50%には今では何らかを説明する証明ポイントがついている。2024年までにもっと数値を上げることを目指している。ビーガンは成長しているカテゴリーだ。アワーグラス(Hourglass)は赤い口紅からカルミンを除去するための大規模なプログラムを実施していた。カルミンは粉砕したカブトムシから得ていたからだ。また、ジョーラブス(Jo Loves)など複数のブランドはカーボンニュートラルだ」。

カルトビューティは同社のコンシャスビューティエディットの売上が1.7倍になったことを受けて、プロヴェナンスとより深い統合を展開する予定がある。また、消費者が証明ポイントをクリックした後にカートに追加された製品が27%増加したことも判明している。

ヴェレダのサステナビリティへの取り組み

創業100年のヴェレダは持続可能性に向けて積極的な取り組みを行っている。持続可能性年次レポートと、バイオダイナミック農法などの包括的な企業持続可能性戦略を支援している。また、UEBT(生物原料の流通に関する倫理組合)の認定を受けており、真実原価計算を行っている。真実原価計算とは原材料や労働力などの企業のコスト、自然環境や社会環境への企業の影響を計算するものである。製品レベルではヴェレダの化粧品はすべてネイトゥルー(Natrue)認定を受けているが、これはすべての成分がナチュラルでオーガニックであることを意味する。同社は2021年10月にプロヴェナンスとの連携を開始した。

スターランド氏は次のように述べている。「製品レベルまたはブランドレベルの原料調達証明ポイントは、これらの認証情報が第三者によって検証され、根拠のないマーケティングの主張ではないことを消費者が一目で確認するのに役立つものであり、これによって顧客からの信頼を高めることができる」。

[原文:Cult Beauty and Weleda are using tech platforms to solidify sustainability claims

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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