ボックス・メディア を去り、非営利報道機関「キャピタルB」を設立した編集長は何を考えたのか?

DIGIDAY

2020年5月、警官によってジョージ・フロイド氏が殺害されたあと、多くの報道機関やジャーナリストが、黒人に対する報道をいかにして改善できるかを熟考していた。これらのジャーナリストのなかには、当時ボックス・ニュース(Vox Media)のニュース部門 Vox.com の編集長兼シニア・バイスプレジデントだったローレン・ウィリアムズ氏もいた。

同氏と、元同僚で非営利報道機関ザ・トレース(The Trace)の編集長だったアコト・オフォリ=アタ氏は、それぞれの報道室を離れ、1月31日に正式に発足した非営利報道機関「キャピタルB(Capital B)」を設立することを決めた。

「もし私が、ボックス・メディアのCEOであるジム・バンコフのところに行って、『何か違うことをしたい』と言っていたら、彼はその瞬間に耳を傾けて、話し合ってくれただろうと、本当に思う。でも、私はそれをしなかった」と、ウィリアムズ氏はDIGIDAYポッドキャストの最新エピソードのなかで語った。

ウィリアムズ氏とオフォリ=アタ氏が自分たちで設立することを選んだ理由のひとつは、非営利路線が正しい道だと信じていたからだ。キャピタルBは有料会員プログラムを運営しているが、資金源として移ろいやすくなる可能性がある広告主やサブスクライバーではなく、主に寄付提供者に資金を依存することで、特定のオーディエンスにとって重要な問題を優先的にカバーすることができる。

このビジネスモデルは、キャピタルBにアトランタ支局がすでに存在し、今年後半には2番目のローカルニュース・アウトレットが追加される予定である。これは、より多くのローカルニュース支局を立ち上げることで、組織が全国報道を強化することも意図している。

「新しい報道室を立ち上げるには、ジャーナリストを雇うしかない。このようにして、コストを大幅に削減し、プロセスに効率性を追加することで、次の目標に向けて迅速に対応できるようになる」とウィリアムズ氏は言う。

本記事では、会話の要点をいくつか紹介する。内容は、わかりやすくするために若干の編集を加えてある。

Subscribe: Apple Podcasts | Stitcher | Google Play | Spotify

黒人のための報道の重要性

「もし黒人ジャーナリストが無視され、黒人コミュニティの報道における扱い方に対する彼らの批判が無視されるなら、つまりもし黒人コミュニティが今後も継続して劣悪に報道されるなら、我々は黒人と黒人オーディエンスの信頼を失うだろう。そして、我々の国で起こっていることについて誤った記録が残ることになる。そして、人々を失い、人々はニュースから切り離されてしまう。それは民主主義に深刻な影響を及ぼす。ニュースビジネスでお金を稼ぐことや、ニュースビジネスのサステイナビリティについての会話よりも重要だ。人々の命・生活であり、将来、我々がどのように歴史を振り返るかがかかっている」。

ニュース配信と読者におけるレプリゼンテーション

「ジャーナリズムのダイバーシティ、報道室に黒人を増やすこと、レプリゼンテーションを確保することに関する議論では、しばしば『どんな意見が世に出されるか』が議論の中心になる。しかし、それはほんの一部だと本当に感じている。情報が交換されることもとても重要だ。情報を持っていない人に情報を届けることの重要性は、一連の議論のなかで失われる傾向がある。よくあるディスカッションでは(黒人の)物語を語ることを尊ぶだけで、誰にその情報が届けられているかは重んじられていない」。

地方と全国のニュース報道をミックス

「早い段階で我々が決めたことのひとつは地元のニュース編集室に、州議会担当の記者を配属するということだった。現在、アトランタのニュース編集室で州と地方の政治記者を探している。彼らは州レベルと地方レベルの政治をカバーすることになる。そして、我々は全国政治記者も雇おうとしている。今年は(今年の米国の中間選挙の文脈で)ジョージア州が非常に重要な州になるので、この2人の記者が非常によく協力することになるだろう」。

メンバーシップ・モデル

「いくつかの理由から、読者がサポートする何らかのプログラムを持つことは重要だ。ひとつは、主要な個人ドナーや財団の資金提供者以外の、大きな収入源になる可能性がある点である。それをしなければ資金を得られる大きな可能性を無駄にすることになるだろう。また、地元のニュース編集室がサポートされること、特に地元のサポートを得ることはとても重要だと思っている。メンバーシップは我々がそれを実現する方法のひとつだ」。

[原文:Why Lauren Williams left Vox to create news nonprofit Capital B

Tim Peterson(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

Source

タイトルとURLをコピーしました