Shopify、越境EC支援の新機能「マーケットプロ」導入:マーチャントの国内売上減への対応策にも

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Shopify(ショッピファイ)は、流通取引総額(GMV)、すなわち同社がホストするマーチャントの取引総額が急速に落ち込むなか、グローバル展開への取り組みに力を注いでいる。

eコマースプラットフォームである同社は、Shopifyマーケットプロ(Shopify Markets Pro)という新しいプレミアム有料機能を立ち上げ、国際市場へのさらなる展開をめざしている。このツールは165カ国以上で使用できると、同社は述べている。これは2021年11月にはじめて運用開始したShopifyマーケット(Shopify Markets)のアップグレード版だ。この新機能は、海外での売上や、それに関連するコンプライアンス、国際的な関税、通貨換算、配送などの複雑な作業を、マーチャントに代わって管理してくれるものだ。

来年は欧州全体で利用可能に

Shopifyのアドミン(Admin)内に構築されたマーケットプロは、Shopifyの既存のパートナーであるグローバルe(Global-e)との統合が拡大したものである。グローバルeは、買い手と売り手が国際的な取引を行えるようにするための、エンドツーエンドの越境ソリューションだ。

同社のグローバル展開戦略は、同社が採用や、サポート、販売の部門で大規模なレイオフを発表した数カ月後に発表されたものだ。同社は7月26日、総社員数の約10%を削減した。カナダの首都オタワを本拠とする同社は、マーチャントの国内売上額の成長の減速にも対処している。同社の前年比のGMV成長率は、昨年の第2四半期には40%だったが、今年の同時期には11%に減少した。しかし、同社を追跡している専門家は、同社の取り組みを称賛し、今回の新しい機能によってマーチャントが国際的な販売をはるかに行いやすくなると語る。

Shopifyの商品ディレクターを務めるロヒット・ミシュラ氏は、米モダンリテールのインタビューで次のように説明している。「実際の取引は、その取引の金融債務を負うマーチャントオブレコード(商品またはサービスを最終顧客に販売する法人)のソリューションプロバイダとのあいだで行われる。これにより、マーチャントにとって国際的な販売を拡大することが、運用上非常に簡単になり、外国為替のリスクヘッジや、関税の遵守と申告などを心配する必要がなくなる」。

買い手の手数料、税金、関税などの料金はチェックアウト時に事前に計算される。販売者はShopifyマーケットプロを使用する場合、6.5%の取引手数料を支払う必要がある。この機能は当初、米国のShopifyベンダーのみが利用可能だが、同社は来年、カナダや、英国、欧州全体でマーケットプロを運用開始する予定だ。

Shopifyは、貨物配送の大手であるDHLなどのパートナーとのあいだで、マーチャント向けの高速国際配送料金も交渉したと、ミシュラ氏は付け加えている。マーチャントは国際市場向けの配送料率を現地通貨で設定でき、さらにマーチャントは、国際価格設定によって異なる市場の商品価格を簡単にカスタマイズできる。「現在、Shopifyのマーチャントは優れた国際配送ソリューションを、手頃で管理しやすいコストで提供することができる」と、同氏は述べている。

国内販売と同じくい単純でわかりやすい仕組み

Shopifyは過去3年間、マーチャントが越境コマースを簡単に行えるよう取り組んできた。同社によると、米国でShopifyマーケットを利用しているマーチャントは、平均で14カ国に販売しているという。

同社は第2四半期に、Shopifyペイメンツ(Shopify Payments)とShopifyシッピング(Shopify Shipping)をフランスで立ち上げ、決済が組み込まれたShopify POSをイタリアで開始した。同社のプレジデントを務めるハーレイ・フィンクルスタイン氏は最近、同社が海外への販売を国内販売と同じくらい単純明快なものにするために投資していると語った。また、同社のShopifyマーケットは開始以来、好調に導入されているとも付け加えた。

同氏は次のように述べている。「Shopifyマーケットは、第1四半期に開始されてから好調なエンゲージメントを獲得している。現在では10万を大幅に超える数のマーチャントが、ローカライズされた体験を買い手に提供している。当社の販売・マーケティング活動のチームは、引き続きグローバルでの契約数の拡大を推進し、世界中のマーチャントが利用できる機能セットを拡大し続けていく」。

ミシュラ氏によれば、Shopifyのマーチャントが昨年自国外で販売した商品は250億ドル(約3兆5800億円)を超える。同社のマーチャントは、昨年、欧州での越境販売の売上額が39%増加したと報告していると、同氏は付け加えている。

eコマース開発代理店のネタリココマース(Netalico Commerce)の創設者であるマーク・ウィリアム・ルイス氏は、Shopifyマーケットプロは、海外販売に関する懸念を大幅に減らすことができると語る。「当社には、グローバルeの以前のバージョンを利用しているマーチャントが数多く存在する。グローバルeによってShopifyマーケットのすべての機能を使用できるが、グローバルeはそれだけでなく国際的なマーチャントオブレコードとして機能し、海外への販売を行うときに会計やコンプライアンスの多くの問題を大幅に簡素化できる」と、同氏は付け加えている。

同氏によると、これまでは、ほとんどの越境コマースに対するShopifyの解決策は、別のShopifyストアを設置することだった。しかしこの方法では、マーチャントが数カ国より広い範囲に展開すると、管理が極めて複雑になることがあったと、同氏は述べている。実際にShopifyは、マーケットプロを使えば、販売者は150カ国以上へのグローバル展開を一夜にして行えるとしている。

多言語にも対応

「これはShopifyにとって賢明な方法だ。これを正しく利用でき、マルチマーケットの知識を持つマーチャントは、長期的にShopifyとともに成長するだろう」と、eコマースソフトウェアソリューションプロバイダのショップウェア(Shopware)でグローバル市場開発ディレクターを務めるベン・マークス氏は述べている。

Shopifyは9月14日、マーケットプロだけでなく、販売者用のShopifyトランスレート・アンド・アダプト(Translate & Adapt)という無償アプリも公開した。これはShopifyマーケットやShopifyマーケットプロとともに動作するもので、マーチャントがカスタマージャーニーを迅速かつ正確にローカライズするのに役立つ。このアプリは手動でも自動の両方で、販売者のオンライン店舗をさまざまな言語に翻訳できる。

マークス氏によれば、マーチャントオブレコード機能により、国際的な販売や配送に強い関心を持つ小規模なマーチャントにとって、より取引を行いものになる。「ロジスティクスやコンプライアンスのサポートがあっても、越境販売を効果的に行うには、翻訳や通貨換算以上の作業が必要になる。マーチャントは、主要市場と同じように、ニュアンスで顧客を理解し、顧客と関わる必要がある」と、マークス氏は付け加えている。

Shopifyの既存のマーチャントが拡大し、さらに新規の大規模マーチャントが、大規模な国際的な越境コマースを求めて同社のプラットフォームを検討するなか、国際市場はShopifyにとってますます重要になりつつあると、ルイス氏は語る。

「越境販売は、コンプライアンスが非常に複雑だ。たいして問題を抱えていない小規模なマーチャントなら監視の目をくぐることができるだろう。しかし国際的に成長すると、国際的なコンプライアンスの十分な専門知識を早急に身に着ける必要がある。さもないと、何がわからないかもわからない状況に陥ることになるだろう」と、ルイス氏は述べている。

[原文:Shopify introduces new features to help businesses sell internationally]

VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Shopify

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