「市場のほとんどの商品は サブスクリプション の必要はない」:クラウドペーパーのライアン・フリッシュ氏が語る、サブスクビジネスの現状

DIGIDAY

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クラウドペーパー(Cloud Paper)は、より多くの人々、そして企業にその商品を試してもらおうとしている。

同社は竹をベースとした、木材を使用しないトイレットペーパーを製造している。同社が2019年に創設されたとき、共同創設者のライアン・フリッシュ氏は、同社の目標が企業のオフィスやホテルなどの企業に商品を販売し、B2Bパートナーシップによって成長することだと語った。最初の大きな取引はシアトルのWeWork(ウィーワーク)だった。しかしそのあとにパンデミックが起き、オフィスの建物が封鎖された。その結果としてクラウドペーパーは、消費者向けのビジネスに転換することを余儀なくされた。

それから2年後、同社は前年比で成長を続けている。しかし同社はもう、トイレットペーパーをほかの企業に供給することのみに特化した会社ではない。「現在も当社の売上の大部分を占めているのは、消費者向けの販売だ」と、フリッシュ氏は米モダンリテールのポッドキャストで語った。

クラウドペーパーの基礎的な構想は、環境に配慮したトイレットペーパーを作ることだった。フリッシュ氏は次のように述べている。「トイレットペーパーは何十年も前からあまり変わっていない。そして特に、サステナビリティの観点からはまるで変化しなかったと言っていい。ほかの家庭用品と比べても大幅に遅れている」。このような背景から、同社は、竹が豊富に存在し、簡単に再生できることから、竹を原料として使用することを決定した。

また同社は、消費者向けのビジネスが最初に市場に進出するとき、リピーターを獲得するために、サブスクリプションのみにすべきだと判断した。この賭けは、コロナウイルスによりトイレットペーパー買い占めが引き起こされたあとでも、うまくいっているようだ。同社は2020年に売上を大きく伸ばしたが、在庫が安定してからは大きな変動はなかった。「実際のところ、事態が『平常』に戻ってから大きな変化はまったく経験しなかった」とフリッシュ氏は述べている。

しかし、サブスクリプションビジネスは健全なものであっても、フリッシュ氏はそれが万能のモデルであることには疑問を感じている。同氏は、多くのサブスクリプション企業が現れては消えていくのを目にしており、それはたいてい、商品がビジネスプランと合わないのが理由だった。「誰もがサブスクリプションボックスや、サブスクリプション販売の商品を立ち上げようとしている」。と、同氏は述べている。「しかし、市場のほとんどの商品はサブスクリプションをする必要はないというのが、初期の段階での我々の考えだった」。

同氏にとって幸いなことに、トイレットペーパーは現在のところサブスクリプションに適しているようだ。

対談のいくつかの要点を以下に紹介する。この内容は明瞭化を考慮し多少の編成を加えている。

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企業の顧客を獲得チャネルとして活用することについて

「我々の最初の顧客は、実はWeWorkだった。当時、我々が働いていたのがWeWorkだった。ちょうどそれは、同社が肉を使用しないポリシーを発表した数カ月後だったと思う。WeWorkは、変革の最前線に立つため、劇的なステップを踏んでいた。そのため、木材を使用しないペーパーを自社施設で試験導入することに強い関心を抱いた。そこで、それについての話し合いを要望してきた同社から受けた相談は、当社の商品を置くトイレの個室用に4インチ(約10.2センチメートル)四方のプラカードを設置し、「WeWorはは木材の使用をやめた、なぜそれが重要なのか」と書いてほしいということだった。これが、商業施設を獲得チャネルとして活用するきっかけとなった」。

クラウドペーパーが需要の増加に対処する方法

「倉庫を何度か拡張した。そして、当社はますます多くのスペースが必要になっている。その理由のひとつは、トイレットペーパーに関するCovid騒動の衝撃の影響もあるかもしれない。常に十分な在庫を持ちたいという気持ちがあり、そのためにはさらに多くの容積が必要だった。それから、当社は今でもB2Bチャネルに強く注力している。企業レベルのB2Bクライアントをサポートできるようなインフラを整えたいと考えている。これらのクライアントは当社の商品に強い関心を抱き、迅速な対応を望んでいる。クライアントを12週間待たせたり、商品の出荷を止めたりするようなことはしたくない。常に即時対応できるようにしておきたいのだ。そのために、これらの先行投資を行い、迅速に対応できるようにしている」。

ほとんどのビジネスにとってサブスクリプションが適していない理由

「当社はD2C企業として操業してきた時期の大部分において、サブスクリプションのみで販売を行ってきた。これは、我々がこのアイデアをテストすることを強く望んでいたためだ。もちろん、自社の商品をサブスクリプション制にすることは誰もが望むところだろう。誰もが定期購入ボックスや定期購入の商品を発売したいと考えているはずだ。しかし、当社は初期の頃から、市場のほとんどの商品はサブスクリプションの必要はないと考えていた。多くのブランドはサブスクリプションを強要しようとしている。我々はこう考えた。トイレットペーパーは日々のルーチンのなかで使用される商品で、日常的な必需品だ。そして、ほとんどの人々はそれについて考えることはない。多くの人は、選択肢を与えられると、考えないことを選ぶだろう。そこで、適切な時期にトイレットペーパーが配達されれば、それについて考える必要はなくなる。当社はこのアイデアをぜひ試してみようと思った」。

[原文:‘Most products out there don’t need to be subscription’: Cloud Paper’s Ryan Fritsch on the state of subscription businesses]

CALE GUTHRIE WEISSMAN(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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