Meta 、新しい広告枠をFacebookとインスタグラムに導入:プロフィールページにも広告掲載へ

DIGIDAY

メタ(Meta)は今月、いくつかの新しいタイプの広告を追加で展開した。広告主のデジタル動画マーケティング予算からより多くの収入を獲得し、ホリデーシーズンを前にオンライン買い物客にリーチすることが目的だ。

同社のグローバルビジネスグループ(Global Business Group)の幹部数名は、10月3日にニューヨーク市マンハッタンのハドソン・ヤード地区の高層ビルにあるオフィスで行われたプレスイベントで、インスタグラムおよびFacebookの新しい広告製品を複数発表し、プラットフォームの縦型動画製品であるリール、インスタグラムの探索ページ、およびユーザーの個々のプロフィールに広告チャンスがあることを指摘した。この広告在庫は10月4日からアメリカで展開されている。

これにより、インスタグラムとFacebookアプリのほぼすべてのページに広告枠が設置されることになり、理論的には同社の広告価格を押し下げることができる。これによって、Appleのトラッキング防止施策の変更がFacebookとインスタグラムの広告のパフォーマンスを妨げていることに関して、広告主が納得しやすくなるだろう。同社の幹部はプレスイベントでこの新しい在庫の広告価格を明らかにしなかった。

Appleが2021年4月にApp Tracking Transparency(ATT)を開始した後、一部のメディアバイヤーは、特に第4四半期にFacebookとインスタグラムの広告のCPMが増加したと報告した。

「Facebookは、単一の戦略のみでしか単価をコントロールできなくなった最適化CPM(Optimized CPM)入札戦略を導入したことで、自ら問題を生み出してしまった可能性があるのでは、と思う。これは彼らのプラットフォームの利益を改善したと推測するが、購入者の選択肢を減らしている」とブランドテック・メディア(Brandtech Media)のパートナーであるウィル・ハインズ氏は述べた。

新しい広告フォーマット

新しい広告フォーマットはいくつかのカテゴリーに分けられる。

インスタグラムのプロフィール内広告:ユーザーがクリエイターの個人プロフィールのフィードをスクロールすると、その特定のプロフィールに関連する広告が表示される。パブリック設定の成人ユーザーのプロフィールのみが対象となる。クリエイターは初期段階では、プロフィールに掲載する広告主を管理できない。

インスタグラムの発見(Explore)ページの広告:「Discoverページ」とも呼ばれるExploreタブには、写真や動画のグリッドに広告が表示されるようになった。これらの広告は、ほかのすべての広告が購入されるのと同じオークションを通じて配置される。

インスタグラム上の複数広告主の広告カルーセル:ユーザーがリンクをクリックしたり、購入したりして広告にエンゲージした後、コンテンツが類似しているブランドや製品の関連広告がカルーセルで配信される。、これは、「買い物をしたい」気持ちを持った人々を取り込むことを目的としている。メタは現在、広告主がほかの特定の企業と並んで表示されるのをブロックしたり許可したりするためのコントロールを提供しておらず、カルーセル内の広告が重複しないよう機械学習に頼っている。またこのフォーマットには、広告主がどの広告と一緒に表示されたかを確認するための、個別のレポートも用意されていない。

Facebookリールのポストループ広告:ユーザーが最初にひとつのリールの視聴を終えると、動画を再開するのではなく、代わりに4秒間の広告が再生される。

Facebookリールの下部にある広告カルーセル:リールを視聴中、動画クリエイターの名前とキャプションの下にひとつの広告主からの広告カルーセルが表示される。ユーザーはカルーセルのボタンをクリックすることで、動画に登場するブランドや製品の詳細を知ることができる。

ARをフィード内広告やストーリーに統合:スナップ(Snap)が長年にわたって駆使してきたアプローチを真似て、メタは広告主に、スマートフォンのカメラを使って自分の部屋にある製品の3Dレンダリングを表示させるなど、拡張現実を広告に利用できるようにした。

ソーシャルコマースでつまずいたメタが広告への投資を拡大

第4四半期のキャンペーンは、ほとんどのブランドがコンバージョンの促進を目的としている。しかし、今年初めにインスタグラムとFacebookで行っていた、ファネルのボトル部分、コンバージョンに焦点を当てたソーシャルコマースの取り組みから後退した後、メタは買い物客にアピールするためにほかの手段に投資している。

メディアバイヤーのリールへの不満

メディアバイヤーによると、特定の層の視聴者をターゲットにすることに関しては、リールは依然として苦戦を強いられており、縦型動画予算を消費するためにクライアントがメタのプラットフォームを利用する最終的な理由はスケールであるという。

メディアバイイング代理店のメディア・トゥー・インタラクティブ(Media Two Interactive)の最高経営責任者であるセス・ハーグレイブ氏によると、「(リール上の)ターゲティングアルゴリズムの有効性はまだ疑問である。可視性を促進するアルゴリズムの成功という点では、TikTokが優位に立っているようだ。そのためリールの最大の魅力は、メタが抱えるユーザー利用によるオーディエンス規模になる」という。「メタのリーチは明らかにTikTokよりはるかに大きく、より上の年齢層に偏っている」。

今回の新しい広告枠で、メタの幹部は単なるオーディエンスではなく、広告効果を重視しているようだ。これまでの文脈を考えると懐疑的な見方もある。

「広告ユニットとしてのリールの目的が(中略)パフォーマンスを向上させることだとすれば、リールがそれを実現するのを見たことはない」とヘインズ氏は述べた。

クリエイターが持つ収益源を増やす

イベント中、メタのアメリカ州グローバル・ビジネス・グループのバイスプレジデントであるナダ・スターラット氏は、この広告在庫はクリエイターがリールからより多くの収入を得る機会を与えるものであると主張した。

動画にポストループ形式とカルーセル形式の両方の広告が掲載されているFacebookリールのクリエイターとメタは収益を分配し、その割合はメタが45%、クリエイターが55%となる。これらのフォーマットはインスタグラムリールではまだ利用できない。メタの広報担当者によると、プロフィール内広告についてはベータ版の公開中にさまざまな収益シェアモデルを実験する予定だが、現時点では詳細は決まっていない。

Facebookリールでは、クリエイターたちはメタのブロックリストを使用して、特定の広告カテゴリがポストループ広告と動画下部の広告カルーセルの両方でコンテンツに表示されないようにすることができる。しかし、プロフィールフィード内の広告については、クリエイターによるコントロールはまだ利用できず、広告はホームフィードで通知されるのと同じ方法でユーザーに表示される。

[原文:The Rundown: Meta to put new ads all over Facebook and Instagram, including on user profiles

Kayleigh Barber(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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