Cookie廃止を再延期させた Google 、業界も対応を先延ばし:マーケターは「病院に行きたがらない患者」に

DIGIDAY

ChromeにおけるサードパーティCookieを使ったトラッキングの停止。業界人が覚悟してきたこの措置は、実行に長い時間がかかっており、結果的に対応を先延ばしにしてきた企業たちが得をする形になっている。

サードパーティーのCookieの廃止が延期された、という発表から1週間も経たないうちに、広告会社の幹部がこれを口実にCookie廃止後の移行計画を遅らせているということが明らかになった。

公平を期すために言えば、それはある程度理解できる。問題が遠ければ遠いほど、その問題に取り組もうとする人は少なくなる。特にマーケターに関してそれが顕著だ。簡単に言えば、締め切りが延長されると緊急性が減ってしまうということだ。それはCookieをめぐるGoogleの今回の決定をめぐる言説が明らかにした。

必要が出てくるまでは「先送り」

デジタルメディアコンサルタント企業TPAで英国責任者を務めるダン・ラーデン氏は、「私たちはいくつかの会議でこの例を見てきた。人々の態度が「これから、(ユーザーのトラッキングに関して)得られるデータが減ることに、どのように適応していくか」についてフォーカスするものから、「(Cookieによる)データがまだ使える間に、活用するために何ができるか考えよう」へと逆行してしまっていると述べた。「これらの両方を行うことは非常に賢明なアプローチだが、リソースの問題だと捉えると、(Cookieの活用)には時間制限があることがわかっている今、需要側でそちらが短期的に優先されることもあるのは理解できる」と続けた。

(廃止されたあとに備えて)サードパーティーのCookieが存在しない前提で業務を行うよりも、存在しているうちに利用する方がいいという考え方が、業界の常識になっているようだ。昨年、GoogleがサードパーティーCookieを許可したときもマーケターたちの考え方は間違いなく同じだった。これは驚くことではない。

しかし、それが賢いやり方だからではない。マーケターたちがCookie廃止後の移行を遅らせることが結果的にどう働くかは、まだ判断ができない。現状として、サードパーティーのCookieからの移行は、マーケターにとっては病院に行きたがらない患者の様相を呈している。どうしても医者に見てもらう必要が出てくるまでは先送りにするだろう。

現状の経済危機はその決意を強化している。サードパーティーCookieの代替を考える際に、新しいリーチや頻度の基準を定義するために必要なオーディエンスのセグメンテーションの種類など、考慮すべき点がたくさんあることを考慮すると不思議ではない。

広告業界全体における緊急性の欠如

「今のところ、真剣に考えているアドテクベンダーは(Cookie廃止に向けて)計画を進めていくと思う。彼らの生き残りはまだそれにかかっているからだ。しかし私は、Cookieがなくなることをあまり心配しない広告主がいるのではないかと少し懸念している」と、ヨーロッパのあるパブリッシャーのデジタル責任者は、匿名を条件にDIGIDAYに語った。「iOSはすでに多くの市場で彼らのリーチの半分以上を占めているので、彼らはすでにソリューションとパートナーシップを模索しているはずだが、(Cookie廃止に係る)タイムラインがCMOの平均的な在職期間を超えて拡大している現在、私たちがその切迫感を感じるかどうかはわからない」。

もしこれが本当なら、サードパーティーCookieに代わる有効な代替手段を見つけるのは遅くなる可能性がある。マーケターが提供するこれらの代替プロダクトに対するサポート、そしてさらに重要な知識は限られている。

「セルサイドでのSDAがいい例だ。パブリッシャーはこれをもっと多くテストしたいと思っている。しかし、マーケター側は確信がない。今回の(Cookie廃止の)延長のタイミングも悪かった。Googleが廃止延期を発表する前は、SDAを支える機運はゆっくりではあるが高まっていた。小規模なテストが行われ、初期のフィードバックは良好だった。実際、より大きなテストに、より多くのメディアの資金が投入されるように見えた。Googleの遅れが必ずしもそれを変えたわけではないが、それを押し進めたわけはない。

IABテックラボ(IAB Tech Lab)のプロダクト担当シニアディレクターであるベンジャミン・ディック氏はこう語る。「将来廃止される予定のデータ通貨(Cookie)を使わないための、商業的なインセンティブが欠けている。そのため、(Cookieからの移行が)長期的な意思決定に依存することになるが、これは私たちの業界が得意としていることではない。それにもかかわらず、SDAに対する市場の反応は概ね良好である」。

いまだにCookie依存の状況

誤解のないように言っておくと、緊急性の欠如はマーケターだけの問題ではない。それは広告業界全体に浸透している。少なくともサードパーティーのCookieに依存しているように思われるソリューションが、どれだけあるかを見れば明らかだ。問題がどんどんと先延ばしにされることを見越しているかのようだ。

法律事務所リード・スミス(Reed Smith)のパートナーであるニック・スワイマー氏は、「未だ基本的にCookieに依存しており、ほかの革新的な自社ソリューションを持っていないような新しい広告ネットワークが現れている。今一緒に仕事をしている大手のパブリッシャーのひとつも、Cookie廃止に対応した未来仕様のものではなく、基本的にCookieに依存したテクノロジーを構築する大手広告ネットワークを起用している」と語った。

[原文:‘Lack of commercial incentive’: Google’s third-party cookie delay is a flip to procrastinators

Seb Joseph(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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