ストリートウェアの世界に美容分野が参入: ComplexCon ×ビューティアクティベーション の最新事例

DIGIDAY

最新のストリートウェアやスニーカーのドロップをフィーチャーした何百ものブースが並ぶなか、今年のComplexCon(コンプレックス・コン)にて存在感を示していたのは、メイクアップとスキンケアだ。

11月19・20日にカリフォルニア州ロングビーチで開催されたComplexConでは、アーバンディケイ(Urban Decay)、トピカルズ(Topicals)、デュー(Dieux)などの美容ブランドがブースを構えた。ストリートウェアのコンベンションではまだめずらしいカテゴリーだが、美容ブランドはこの機会を利用して、新製品のドロップやソーシャルシェアに適した活動を提供し、ストリートウェアの世界と美容のますます深まる関係性に入りこもうとしている。

美容ブランドの参加が少ない利点を活かす

「ComplexConは私たちにとって、ビューティがまだ殺到していない空間だ。私たちはここに根を下ろし、このスニーカーマニア文化において成功する最初のブランドのひとつになりたいと思っている」と、アーバンディケイのブランドパートナーシップ&カルチャー・アシスタントバイスプレジデントのカイラ・ライト氏は述べた。「私たちは片足にピンヒール、もう片足にハイトップを履いている」。

ComplexConのスポンサーとして、アーバンディケイはポップアーティストのロビン・アイゼンバーグ氏とのアイシャドウパレットのネイキッド(Naked)のコラボレーションを祝うために、同イベントでは2回目となるブースを出展した。そのブースはアイゼンバーグ氏によるペインティングと大きなカスタムの壁画をフィーチャーし、ARの要素も取り入れている。ユーザーが壁にあるQRコードを読み込むと、アイゼンバーグ氏のアートワークを特徴とする「スペースインベーダー」がテーマのゲームにアクセスすることができる。また、キャンペーンのハッシュタグを付けてインスタグラムにスコアを投稿した人は、アイゼンバーグ氏のプリントとアーバンディケイのメイクの仕上げ用ミスト、オールナイター(All Nighter)のサンプルが入った無料のギフトバッグをもらうことができ、そのプリントの裏に「ゴールデンチケット」があったラッキーな当選者には、パレット本体がプレゼントされた。

スキンケアブランドのデューの共同創業者でCEOのシャーロッテ・パレルミノ氏も、このイベントでの同社のブースについて同じような思いを抱いていた。ブースには、無料のオーラ写真やリーディングのために来場者が長い列を作っていた。「私たちがComplexConを選んだのは、美容ブランドをあまり多く見かけないから。それに、これはショッピングと発見をテーマにしたコンベンションだから」と、彼女は述べた。

カラフルで楽しく魅力的なイメージでZ世代にアピール

参加する美容ブランドにとって重要なのは、ハイプビースト(ストリート系のファッション愛好家)の群衆とその美学に文化的にマッチしていることだ。2年連続でこのコンベンションに参加したスキンケアブランドのトピカルズは、雑貨屋をテーマにした明るいポップアップを選び、同社の全製品と、メイクアップブランドのルナマジック(Luna Magic)やスレッド(Thread)を紹介した。写真を撮るためにブースに立ち寄ったセレブリティやインフルエンサーには、ストリートウェアのファッションインフルエンサーであるアレイリ・メイ氏、ミュージシャンのトリニダード・ジェームズ氏、リアリティ番組「Life of Kylie(ライフ・オブ・カイリー)」のスター、双子のジョーダン・ウッズ氏とジョディ・ウッズ氏などがいる。

「トピカルズは単なるブランドというよりも、女性たちのコミュニティのためのものだ」と、創業者でCEOのオラミド・オロウェ氏は言う。

アーバンディケイとポップアーティストのアイゼンバーグ氏とのコラボレーションは「楽しくてカラフルで魅力的なもの」という点で、ライト氏いわく「完全にZ世代のもの」だった。

「パワフルな女性のエイリアンを描くのが大好き」と語るアイゼンバーグ氏は、ブース近くでファンに挨拶をしていた。ビューティインフルエンサーたちは、アーバンディケイのパレットを使って、彼女の絵のキャラクターに似たルックを作っていたとアイゼンバーグ氏は話す。「自分のアートをメイクアップという形でこのよう見ることができるとは思ってもみなかった」。

このコラボとComplexConのブースは、アーティストなどの新しいタイプのインフルエンサーとともに「異なる道を探索」して、「美容の空間から外に踏み出す」というアーバンディケイの進行中の戦略の一部であると、同社のPRおよびブランドパートナーシップ・マネージャー、エマ・ヘルナンデス氏は述べている。

ストリートウェアのブランドと同様に、参加した美容レーベルはこのイベントを未公開の製品のドロップに利用している。デューは11月末に発売される新しいアイクリームをユーザーに試してもらい、トピカルズは11月22日に発売されたアイマスク、フェイデッド(Faded)のプレビューにこのイベントを利用した。

ストリートウェアの世界でスキンケアへの関心が高まる

ここ数年、シュプリーム(Supreme)やオフ・ホワイト(Off-White)などのブランドが美容製品をローンチするなど、ビューティはストリートウェアの世界との結びつきを深めてきた。ComplexConでは、KNCビューティ(KNC Beauty)レブロン(Revlon)も例年、アクティベーションのスポンサーになっている。

参加した美容ブランドの創業者たちは、ストリートウェアの世界では男性も含めスキンケアへの関心が高まっていると語る。

パレルミノ氏は、ファレル・ウィリアムス氏のストリートウェアに隣接するスキンケアブランド、ヒューマンレース(Humanrace)に言及し、「数年前にこの会話を始めたファレル氏に感謝したい」と述べた。2016年に初めて開催されたComplexConの文化ディレクター兼開催委員長を務めたウィリアムス氏自身は今年は参加しなかったものの、彼のファッションブランドであるビリオネアボーイズクラブ(Billionaire Boys’ Club)は会場入り口近くの目立つ出店場所をキープしていた。ビリオネアボーイズクラブとヒューマンレースのPR担当者は、ヒューマンレースが今後のComplexConに登場する可能性があると語っている。

デューの共同創業者マルタ・フリードマン氏は、多くの熱心な男性来場者が新しいアイクリームを試すために同ブランドのブースに立ち寄るのを見かけたと話す。ブースでは、デューの共同創業者たちやほかの担当者が、同ブランドの25ドル(約3460円)のカルト的人気のアイマスクの無料セットを配布し、新しいアイクリームに関する質問に答えていた。フリードマン氏によると、このイベントは、男性のオーディエンスにブランドについて教えるよい機会だったという。

現在の同ブランドの品揃えについて言及したフリードマン氏は、「男性はルーティンを持つことを、ある意味怖がる。3、4種類の製品を実際に目にすれば、自分にも何とかできそうだと感じるかもしれない」と話した。

また、美容ブランドの創業者たちにとって、このイベントはほかのカテゴリーのブランドとつながる機会ともなった。

「ストリートウェアの世界への進出となった」とフリードマン氏。「コラボレーションのために目をつけているファッションブランドがいくつかあるので、それを具体的に実現しようとしている」。

[原文:AR, aura photos and alien art: Inside ComplexCon’s interactive beauty activations]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

Source

タイトルとURLをコピーしました