Facebook からTikTokに乗り換えたヘルスケアブランド、その理由とは?:「トラッキングできないFacebookはもはや、効率的な顧客獲得ツールではない」

DIGIDAY

腸の健康に特化したヘルスケア企業スーパーガット(Supergut)は、ソーシャルメディア戦略を刷新し、TikTokを主たるプラットフォームに切り替える。

新戦略を成功させるべく、同社はFacebookからTikTokに資金を移行させ、TikTok用の短尺動画広告にマーケティング費を投じていくという。

TikTokにフォーカスする理由

スーパーガットは2020年にムニーク(Muniq)の名で創業し、2022年前半に改名した。当初はFacebookと有料広告にフォーカスするソーシャルメディア戦略を展開し、糖尿病といった慢性疾患に苦しむ人々へのリーチに成功した。同社のプロダクトを購入した顧客数は、すぐさま1万人に達した。だがその成功は長続きせず、そこでスーパーガットは、クリエイティビティについて課題のあるFacebookを離れ、TikTokに焦点を絞ることにした。

「TikTokのオーディエンスは、完璧さよりもリアルさを好む。宣伝だけでなく、それに魅了され、そこから学びたいと思っている」と、スーパーガット創業者/CEOマーク・ワシントン氏は、FacebookとTikTokのオーディエンスの違いについて語る。

TikTokを介して、同社はZ世代の女性、家族により良い食事を、と考えている多忙な親、腸の健康に関心がある、あるいはすでに投資を始めている「腸意識の高い」ミレニアル世代を狙っている。「TikTokのデモは若年層向けではあるが、健康に関する最新トレンドを学び、掘り下げたい人々にも開かれている」とワシントン氏は話す。

ソーシャルメディアの主流が写真とグラフィックイメージから、バーティカル(縦型)動画にフォーカスするTikTok、インスタグラムのリール(Reels)、YouTubeショート(YouTube Shorts)に移行しているなか、スーパーガットはその時流をしっかりと捉えている。今後は、ハッシュタグ#GutTokを利用して人々に自社プロダクトを紹介し、腸の健康関連の最新話題についての会話に従事させ、マイクロバイオーム関連の科学的知識を共有させたいと、考えているという。

広告費に関しては、ワシントン氏によれば、スーパーガットは2022年前半、有料メディア予算の85%をFacebookとインスタグラムに、15%をほかのデジタルチャネルに投じた。7月以来、同社は広告費の40%をTikTok広告に割いている。ただし、ワシントン氏が具体的な数字の明言を避けたため、TikTok広告の予算がどの程度なのかは、定かでない。

追い風となったTikTokでのトレンド

腸の健康にフォーカスする飲料ブランド、ポッピー(Poppi)と同じく、スーパーガットの目標は、腸の健康、スーパーガットのプロダクト、腸の健康に関する科学的知識に関する情報をもっと、できるだけ早く欲しい、と思っている消費者を惹きつけることにある。従来の説明書き付きの写真ではなく、高価値な動画コンテンツを創造し、人々がエンゲージしてくれる確率の最も高いソーシャルの場に上げることが、スーパーガットの戦略だ。

Facebookの広告プロダクトは、iOS 14の発表後、劇的なまでに一変した。iPhoneユーザーはアプリのトラッキングを拒否できるため、Facebookはもはや、信頼の置ける効率的な顧客獲得ツールではなくなったと、ワシントン氏は見ている。

「我々にとっては、その『危機』が意識とリソースをオーガニックなコンテンツに切り替える良い機会になった。究極の目標は、独自のマーケティングディストリビューションチャネルの構築と、インフルエンサーおよびポッドキャストの充実であり、後者の2つはすでに実を結び始めている」と氏は話す。「腸の健康がちょうどTikTokで話題になりつつあったことも、我々にとって追い風になってくれた」。

実際、Z世代はすでに腸の健康に関する会話を、ハッシュタグを付けるだけでなく、自ら牽引することで盛り上げ、実のあるものにしている。

「TikTokはスーパーガットにとって、腸の健康という、いま非常な盛り上がりを見せているものに真正なかたちで取り組み、同時にオーディエンスと楽しみを共有するための、格好の場だ」と、コンテンツマーケティングエージェンシー、マニフェスト(Manifest)のストラテジー部門ディレクター、ジニア・シェムベッカー氏は評する。「従来のマーケティング手法を離れるなかで、同社はクオリティが高く、引き込み力があり、手軽に共有できるコンテンツの創造に成功し、そこに新たな価値を見出している」。

[原文:Why health care brand Supergut traded Facebook for TikTok

Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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