RTFKTの共同創業者ベンワ・パゴット氏は、8月上旬にローンチされるナイキとの初のアパレルドロップの舞台裏で活躍中。2020年1月創業以来、RTFKTは複数のデジタルウェアラブルプロジェクトを発表。有名なのは、2021年11月にローンチした2万点の「クローン」アバターで構成されるプロジェクト、クローンXだ。
デジタルファッションブランドのRTFKT(アーティファクト)の共同創業者ベンワ・パゴット氏は、8月上旬にローンチされるナイキとの初のアパレルドロップの舞台裏で活躍中だ。2020年1月の創業以来、RTFKTは複数のデジタルウェアラブルプロジェクトを発表してきた。このブランドが手がけたもっとも有名な大規模な仕事は、2021年11月にローンチした2万点の「クローン」アバターで構成されるアバタープロジェクト、クローンX(CloneX)で、これは現在も進行中である。
RTFKTが昨年12月にナイキ(Nike)に買収されると、ファッションにおけるNFTプロジェクトの一大ブームが起きた。現在は、コンバース(Converse)やジョーダン(Jordan)のように独立したひとつのブランドとして設定されている。ナイキと知識やリソースを交換しながら、クリエイティブディレクションやNFTのロードマップを含め、RTFKTはブランドの完全なコントロールを維持している。そのためRTFKTは、ナイキのプロジェクトだけでなく、独自のプロジェクトにも取り組んでいる。
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RTFKTはナイキのフィジタル領域でのいくつかのドロップのほかに、同ブランドのクローンの商業権をリリースしたが、これはつまり、NFTホルダーはクローンをコントロールし、ブランドを作り、その制作物から収益を得ることができるようになるという意味だ。以下ではパゴット氏に、商業的コントロールを解放することがブランドにとって次のステップとなるのはなぜか、また成功するプロジェクトを立ち上げることはコミュニティを引き込み、つながることであるという理由について話を聞いた。
ーー最近の下げ相場は、ファッションのNFTプロジェクトにどう影響するか?
「次のステップに進んでいくための健全な場となるだろう。この1年半は開拓時代のゴールドラッシュのような熱狂にあった。現在が弱気相場にあるということは、これまでよりもクオリティの高い新規プロジェクトを実際に立ち上げて実現するチームを強化することになる。この状況が人々に教えているのは、本当に自分の金を費やしたいものは何か、どのコミュニティの一員になりたいのか、もう少し意識しようではないか、ということだ。クリエイターやブランド、コミュニティの関係性や、業界を改革する可能性はまだある。(不景気を)経験するのはよいことだ。いずれにしても、思いつきのプロジェクトに何百万も費やすようなやり方はいつまでも続かないからだ」。
ーー長続きするNFTのプロジェクトやブランドをどのように構築しているか?
「未来のブランドは、自分たちのために行うことや、自分たち独自の製品や流通だけに頼るべきではないという信念を常に持っている。それはコミュニティに対してあなたが与えられるものや、コミュニティがあなたから得るものをさらに活用するには、どうやってコミュニティをエンパワメントすればよいか、ということに尽きる。クリエイティブなエコシステムと、クリエイティブで協力的なコミュニティを育成すれば、たとえ大きなチームがあったとしても、自分たちだけでは決してできないレベルまでブランドを押し上げることが可能となる。今週、私たちのコミュニティが作り上げたコンテンツの量と質は、私たちだけでやっていたならとてもじゃないが無理なものだった。いま私たちの役割は、人々がすべての3Dファイルを活用し、さらに前進することができるように、引き続き人々が互いにつながるのを助け、いくつかのツールや教育を提供していくことだ」。
ーーブランドはいま、NFTプロジェクトで何に専念すべきなのか?
「第一に重要なのは、人々が同じコミュニティに属していると感じられるようにして、一緒に何かを行ってもらうようにすること。あなたがきっかけをつくらなくても、人々が率先して組織化するようになれば、それは健全な状況であるというかなりよい兆候だ。
次のステップは、PFP(プロフィール画像コレクション)の枠を超えてどう進んでいくかだ。なぜならほとんどのPFPが2Dだからだ。2Dはすばらしい芸術スタイルだが、特にゲームやインタラクティブな体験について考え始めると、かなり限界がある。ブランドなのかペルソナなのかに関わらず、いずれ重要な存在になりたいなら、3Dはあなたやあなたのコミュニティが将来に向けて習得する必要があるメディアだ。いったん3Dになれば、クラフトマンシップに注力し、クリエイティブになるために必要なものを人々に提供しながら、さまざまなフォーマットをすべてカバーする。そのあとは、どうすれば何かをするための空間をみんなに提供できるようになるのか、と考えるようになる。ブランド、PFPプロジェクト、コミュニティは、自分たち独自のスペースも持ちたいと思うようになるか、あるいはほかのプラットフォーム上に体験したり遊んだりするためのスペースを持ちたいと考えるようになるだろう。クリエイティビティ、コミュニティ、ブランド、3D、商業権利などが組み合わさったとき、アバター経済の始まりとなる。PFPプロジェクトを行っているブランドは、PFPを越えて世界を構築していく必要がある。世界を構築するモードが、とても大きな次のステップだからだ」。
[原文:RTFKT’s Benoit Pagotto: Quality and community are key in NFTs’ evolution]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)
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