植物由来ナゲットのシミュレート、新商品プロモでゲティールと提携:高速配達 アプリ「マーケティング」パートナーとしての可能性

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

プラントベースの(植物由来の原材料を使用した)チキンナゲットを開発・製造しているシミュレート(Simulate)が5月初め、新たにビーガンチキンの商品ラインであるテンダーズ(Tenders)を発売したとき、新しいマーケティング戦略として、この商品をほかのチャネルより早く、高速配達アプリのゲティール(Getir)で独占販売することを決めた。

この商品ドロップは、無料配送とともに4.99ドル(約634円)の割引価格でテンダーを宣伝するもので、同社がニューヨーク市の地域に配送を広げるための手っ取り早い方法だった。同社のコミュニティ・リードを務めるアンドリュー・ワッツ氏は、同社はまだ、オリジナル商品であるナゲットとともに、テンダーズを販売するための陳列棚のスペースを確保しようとしている段階であると述べている。「そこで当社は、ゲティールで発売し、ニューヨークとボストンに存在する最大のファン層からフィードバックを受けることを決めた」とワッツ氏は語った。

新商品プロモーションに活用

実際に、新興ブランドにとって高速配達アプリはもっとも注目すべき新しい配送チャネルとなってきた。リセス(Recess)、スウォーン(Swoon)、クラウドペーパー(Cloud Paper)などのブランドはすべて、今年になってゴーパフ(Gopuff)、ゴリラズ(Gorillas)、そして廃業したフリッジノーモア(Fridge No More)など各種のプラットフォームで販売を開始した。これらの企業は、15分配達アプリでの販売を推し進めたいくつかの要因として、その例として、即時に販売できる点と、大都市における注文に対してマイクロ調達ができる点の2つを挙げている。現在、これらの配達アプリはより多くのブランドに対して、新しい商品やサービスをデビューさせるためのクリエイティブなマーケティングチャネルとしてアピールしようと試みている。

日持ちのしない食品のブランドにとって、即時配達は特に魅力的だ。冷凍食品にとってダイレクト販売は高価であるため、シミュレートの戦略は、創設当初から、チェーン店の小売業者や地元の食料品店を通じて販売することだった。同社は200を超えるターゲット(Target)の店舗でテンダーズを販売する準備中だが、前評判を高めるための手段としてゲティールとのコラボレーションを使用した。

「また、ニューヨークやボストンのインフルエンサー数人と協力し、ゲティール上でのプロモーションを行い、コンバージョン率の向上を達成した」とワッツ氏は述べている。ワッツ氏によると、シミュレートは1週間の独占発売期間に800ユニットを販売し、「ゲティールではじめて販売を開始してから、350%以上の継続的な売上増が見られた」。

シミュレートの新商品をプロモーションする、ゲティールのTwitter投稿

シミュレートが食料品配達アプリをマーケティングツールとして使用したのは、これが最初ではない。同社は以前、高速配達アプリのジョーカー(Jokr)を使用して、同様のアクティベーションをテストしたことがある。同社は2月、D2Cチャネルを通じて、植物由来の骨なしバッファローチキンウイングの限定版プロトタイプを発売した。「ジョーカーと提携し、商品の発表から15分後にはユーザーの手元に届くよう手配した」とワッツ氏は述べている。この演出は大きな関心を集め、参加者のユーザー生成コンテンツが生み出されたと同氏は語る。同氏によると、ジョーカーは、「アプリ内サイネージやソーシャルなど、消費者とのタッチポイント全体にわたって追加サポートを提供した」ことで、このコンセプトを実現するために支援してくれたと語っている。

このコラボレーションにより、同社は新商品の発売に即時配達アプリを使い続けるようになった。同時にこのアクティベーションは、ゲティールへのトラフィック増加も促進した。新商品のテンダーズのプロモーション期間、シミュレートのすべての商品は、現在60以上のSKUを持つゲティールの軽食(Quick Meals)カテゴリーの売上高の23%を占めた。

リサイクルを促進する動機付けに

即時配達を使用して新しいサービスを開始したもうひとつの若いブランドの例として、D2Cスニーカー新興企業のサウザンドフェル(Thousand Fell)がある。同社は5月、スーパーサークル(SuperCircle)というテキスタイルのリサイクルプラットフォームを立ち上げ、ゴリラズと提携してニューヨーク市でテスト運用を行った。

ゴリラズの利用者は、0.01ドル(約1.27円)のサウザンドフェルのリサイクルバッグを自分のカートに追加することができる。配達業者が到着すると、利用者はリサイクルしたい衣類をバッグに入れ、ゴリラズの配達業者がそれを引き取りスーパーサークルに返送する。ゴリラズのこの活動により、同社はこれまでに7000ポンド(約3180kg)以上の衣類を収集してリサイクルした。

サウザンドフェルとスーパーサークルの共同創設者であるスチュアート・アーラム氏は、「我々は、大多数の人々が、その選択肢があるなら、使用済み衣服やスニーカーのリサイクルしたいと考えていることがわかった」と述べている。このため同ブランドは、新しいリサイクルプラットフォームのプロモーションのキックオフとして、15分配達をテストすることを決定した。

「ゴリラズは、消費者がリサイクルに関心を持つときに直面する最大の障害に関して、ソリューションを考え、実行するのを支援してくれる完璧なパートナーだった」とアーラム氏は語る。「サウザンドフェルがゴリラズ経由で衣類を引き取った場合、顧客は次の購入に使用できるクレジットを受け取ることができ、これはリサイクルを行う上での大きな動機付けとなる」。

同氏は、このような種類のアクティベーションはサウザンドフェルにとって、自社のサステナビリティ活動を広げるための方法だと言及している。「サウザンドフェルのコミュニティは、長いあいだこのようなものを求めてきたので、当社はこのパートナーシップによって簡単にリサイクルを行う機会を顧客に与えられることに大きな期待を持っている」と同氏は述べている。

「広告」としての可能性

インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)の主席アナリストを務めるアンドリュー・リプスマン氏は、ブランドにとって、これらのキャンペーンは、即時配達アプリでテスト・実行しやすいものだという。「過大な期待はできない」と同氏は述べている。同氏は、独占キャンペーンは、新興企業が今年初めに高速配達プラットフォームで行い始めた商品サンプリングの延長線上のものだと指摘する。

またリプスマン氏は、ゴーパフやジョーカーのような業者が顧客獲得の競争を繰り広げるなかで、広告が利益を上げるためのもっとも手っ取り早い方法のひとつになると予測している(利益を上げられるようになるならの話だが)。「サービス側にとって、こうしたコラボレーションは、より関心を集められるような品揃えを提供してトラフィックを増やすための方法だ」と、同氏は述べている。実際にゲティールやゴリラズのようなアプリはここ数カ月にわたり、厳選された品揃えに焦点を当てたマーケティングに磨きをかけている。たとえばゴリラズは、黒人歴史月間(Black History Month)トークショーを開始し、黒人が創設した食品ブランドとして、ピップコーン(Pipcorn)のジェン・マーティン氏や、パーテイク(Partake)のデニス・ウッダード氏を登場させている。

高速配達カテゴリーは成熟の過程にあり、考慮すべき点もまだ十分に抽出されていない状態だ。新規ブランドにとって、これらのプラットフォームは現在のところ即時のマーケティングおよび販売チャネルとして機能していると、リプスマン氏は述べている。

実際に、ユーザーが商品により簡単にアクセスできるようにする新しい方法を試すことは、シミュレートにとって「最優先事項」だと、ワッツ氏は認めている。

同氏は次のように述べている。「当社はほとんどの15分配達プラットフォームと、商品のドロップから、バッグの中への物理的な追加まで、さまざまな役割に関して協力してきた。当社はこの新しい部門の探求を続けることに熱意を持っている」。

[原文:How startups are using rapid delivery apps like Getir for marketing and hype]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Simulate

Source

タイトルとURLをコピーしました