6月に初の メタバース ビューティウィーク開催:自社ブランドのイメージとマーケティングの実力をテストする機会

DIGIDAY

メタバースファッションウィークは3月31日に終わったが、別の消費財イベントがメタバースで予定されている。それは、メタバースビューティウィーク(Metaverse Beauty Week、以下MBW)だ。6月12日から16日まで初めて開催されるこのイベントは、没入型ソーシャルプラットフォームのディセントラランド(Decentraland)、Roblox(ロブロックス)、スペイシャル(Spatial)で催される。クリエイティブエージェンシーのカルトLDN(Cult LDN)が企画し、小売業者をはじめ有名な美容ブランドやニッチな美容ブランドが参加する予定である。

メタバースビューティウィークの詳細

イベントの主催者はメタバースファッションウィークから学んだことを取り入れて改善することを約束している。「ディセントラランドのメタバースファッションウィークにインスピレーションを受けて、かなり前から(MBWを)計画してきた」と述べているのは、カルトLDNのCEOでメタバースファッションウィークの共同創設者であるブライディ・リップスコム氏だ。「メタバースファッションウィークの成功はゲーミフィケーションにあった。一方、我々は、(メタバースファッションウィークで)あまりうまく機能しなかった実際の店舗の文字通りの複製ではなく、体験を(優先)している」。

MBWではコンテストが行われ、実際の賞品やデジタル賞品が与えられるという。また、ゲーム内アバター用のヘアや美容機能、エモートなどを含むウェアラブルNFTも提供される。サンプルやギフトなどの美容の伝統的なアクティベーション要素も増える予定である。

複数のプラットフォームの相互接続性を活用

カルトLDNは、MBWの主な開催原則は相互接続性であると述べている。つまり、複数のプラットフォームが連携してブランドとユーザーが同じイベントにアクセスできるようにする機能である。

「イベントには相互接続性が考慮されている。なぜなら、それこそが最終的に美容ブランドのエクスペリエンスの規模を確認できるところだからだ」とリップスコム氏は述べている。カルトLDNは、2021年12月にクリエイティブチームからのNFTコレクションをリリースしてWeb3に進出、チューリング・トラスト(Turing Trust)のチャリティーのために資金を調達した。2022年11月には、デジタルファッションプラットフォームのドレスX(DressX)でウェアラブルコレクションを作成し、スペイシャルで付随イベントを開催した。

メタバーススペースでのブランドマーケターの広告支出、特に2022年のディセントラランドでのメタバースファッションウィークにおける広告支出がMBWのアイデアを推進している。今年のメタバースファッションウィークの参加者数は2022年の初回よりもはるかに少なかったものの、このイベントは依然ブランドマーケティングの機会であり、デジタルスペースに関与する若い顧客層に関するデータを収集する機会でもあった。2022年のファッションウィークには10.8万人が参加した。開催期間の5日間で7000点以上のウェアラブルが購入され、合計で約7.7万ドル(約1022万円)を売り上げた。今年のデータはエンゲージメント、つまりユーザーがブランドのスペースに滞在した時間とエンゲージメントに注目されていた。

ファッション業界との比較

美容業界はファッション業界に比べてペースの速いイテレーションとテストに適しているため、MBWは(美容業界の)ブランドの目標ともっと自然に適合するかもしれない。

「イテレーティブな文化は美容業界の本質に内在している」とリップスコム氏は語っている。「そして、美容業界のイノベーションサイクルは進歩的なマーケターを業界に惹きつけている。ビューティ(ブランド)は新しいマーケティング手法をいち早く取り入れていることも多い」。 同氏は、カルトLDNを通じて多国籍美容会社のコティ(Coty)と10年以上、また、ファッションブランドのバーバリー(Burberry)とナイキ(Nike)、美容ブランドのカバーガール(Covergirl)とエレミス(Elemis)とも協働している。

デジタル環境で美容体験をどう実現するかが課題

MBWの詳細はまだほとんど発表されていないが、主催者は、関連するテクノロジーの急速な進化に合わせて異なるイベント形式をテストしていると述べている。カルトLDNのCCOでMBWの共同創設者であるキャット・ターナー氏は「我々は環境が許す範囲でしか動けないため、概念的なアイデアの多くはまだ技術的に実現できていない。ディセントラランドやスペイシャル、Robloxと緊密に協力して、6月には(それらプラットフォームの)動きの早いテクノロジーの最先端のものを利用したい」。

イベントまでのこれからの2カ月で、参加プラットフォーム全体でIRLのグローバルブランドのイベントをMBWイベントに統合する計画だ。「可能な限り、メタバースで匂いを嗅ぐ方法などに対処したい」とターナー氏。「サンプルや製品を試すにはどうすればいいのか?美容の体感的な側面をデジタル環境という制限がある中でどのように実現できるかを検討中だ」。

マーケティングの実力を測る機会

ブランドにとって、メタバースビューティウィークは専用の環境で自社ブランドのイメージとマーケティングの実力をテストする機会となるだろう。

ターナー氏は次のように述べている。「ブランドや小売業者も適切なタイミングで対応するように努めている。6月開催なので、その時点でブランドが何を行っているかが重要だ。そうすれば、ブランドは(MBWで特集する)経験と製品を、ほかのタッチポイントで行っていることと(調整して)その時点における自社ブランド戦略に関連性があるようにできる」。

このイベントは、ブランドのプラットフォーム上だけではなく、イベント前とイベント開催中にMBWソーシャル全体で宣伝される。MBWの主催者は、Twitterのような(コミュニティの)ネイティブプラットフォーム上でのWeb3コミュニティとのエンゲージメントや、インスタグラムやTikTokの従来のオーディエンスに対する教育と障壁の打破にも注力するという。

「従来のチャネル上で10年間消費者とコミュニケーションをとってきた」とターナー氏は語っている。「我々にとって、成功とはスケールと理解、そして楽しみだ。 最終的には自己表現のルールブックを書き直すことだ」。

イベント後には、小売業者、ニッチなブランドや大手ブランドは、カルトLDNが取得したデータを通して、顧客データや足取り、エンゲージメント、購入ジャーニーにアクセスできるようになる。参加を希望する人はMBWページで登録できる。全プログラムは今後数週間にわたって発表される予定である。

[原文:Exclusive: Metaverse Beauty Week is coming

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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