鮮度が重要。「 Super-Fresh 」成分がスキンケアの最新セールスポイントに

DIGIDAY

つい最近まで、製品に独自の成分を含めること、それがブランドが新しいものを消費者に提供しているということを示していた。その例には、最高濃度のビタミンCを含むオーストラリアのプラムや、もっとも刺激がないように処方されたレチノールがある。しかし、新しいブランドの一派にとっては成分だけを取り上げても解決策にはならない。なぜならそれが皮膚に浸透して機能しなければ意味がないからだ。だが、「フレッシュな」スキンケアを従来の容器で届けることは不可能だ。ブランドは超新鮮なソリューションのためにはクリエイティビティを駆使しなければならないことを学んだ。面白いことに、彼らが選んだ手段はそれぞれ大幅に異なっている。

鮮度を損なわないパッケージングのエクスポーネント

エクスポーネント(Exponent)は、4月にローンチしたばかりの新しいスキンケアブランドで、「初めての正確な用量で詰め替え可能なパッケージ」をデザインした。このパッケージは、10%のL-アスコルビン酸など一般的に非常に不安定な成分の活性粉末をセラムのベースとブレンドする。ユーザーは使いたいときにセラムベースと粉末を混ぜて新鮮なセラムを作るというわけだ。

創業者のリズ・ホイットマン氏は次のように述べている。「当社ラインの全体的な前提は効果的なスキンケアをどんな用量ででも提供するということ…鮮度はそのための手段だ。使うときに調合することによって最適な濃度が提供でき、スキンケアの真のメリットが実感できる」。

エクスポーネントは4製品(88ドル、約1.2万円)でローンチした。それらは、ブライトニングブースト・ビタミンCパウダー(Brightening Boost Vitamin C Powder)ファーミングフィルター・CoQ10抗酸化パウダー(Firming Filter CoQ10 Antioxidant Powder)カームリバイバルグリーンティー・レスベラトロールパウダー(Calm Revival Green Tea Resveratrol Powder)クリアカムバック・プロバイオティクス酵素パウダー(Clear Comeback Probiotic Enzyme Powder)である。どれも、68ドル(約9200円)のクアドラプルヒアルロン酸ハイドレーター(Quadruple Hyaluronic Acid Hydrator)と合わせて使うことができる。製品は同社サイトで販売中。

エクスポーネントの前提をリサーチするにあたり、ホイットマン氏は、まず、ビューティ小売店でもっとも売れているビタミンC、レチノール、CoQ10を含む20の臨床ブランドの製品を購入して独立系研究所に送った。調査結果の「見出し」には、0日目から60日目、つまり「わずか8週間で製品は有効成分の約40%を失った」と記されていたと、同氏は述べている。

容器にこだわったオピュラス

クラリソニック(Clarisonic)の発明者、ロブ・アクリッジ博士は、彼にとって2番目のプレステージ美容デバイスであるオピュラス(Opulus)を2020年に発表した。博士によると、オピュラスは「機器」なのだそうだ。それは製品をブレンドするだけではなく、「永遠のボトル」としても機能する。オピュラスは自社サイト、サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)、ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)で販売されており、レチノールは1カ月分が395ドル(約5.3万円)だ。

アクリッジ博士の最初のインスピレーションは食品だった。「超高級なチョコレートショップでまわりを見回してみた。どれもが芸術作品のようで、食感や味や香りが異なっている。なぜスキンケアも同じようにできないのかと思った」。同博士は既存システムには数カ月かかると嘆く。契約メーカーが製品を開発し、パッケージに入れて実際のメーカーに発送し、その後おそらく倉庫に置かれる。「流通にはこのように長い流れがある。実際に消費者の手に渡るまでに、消費者が製品を店頭の棚から取って購入するまでに6か月、1年以上かかる可能性がある」。

ホイットマン氏と同様、アクリッジ博士は違う方法を模索した。「肌は毎日変化している。3カ月ごとに製品を買わせる代わりに、活性化されたばかりのフレッシュな製品を提供することがなぜできないのか」。

直前に調合したものを届けるマンデーボーン

テニ・パノシアン氏が立ち上げたマンデーボーン(Monday Born)はインフルエンサーによるブランドだ。マンデーボーンの鮮度へのアプローチはこれまた異なっている。製品は従来の容器に入っており、製品の提供に関しては変革はない。しかし、製品は事前に予定されたドロップでのみ入手可能なので、顧客は事前に購入を計画する必要がある。製品は親会社のウェブサイトbeaubble.comで販売されている。

5月に、ビューブル(Beaubble)の共同創設者であるパノシアン氏とヒーキョン・ソヨン氏に話を聞いた際にはまだ製品は販売されていなかったが、一部は(インタビュー時から)一両日中に販売されることになっていた。パノシアン氏によると、毎日使わなくてもよい乳酸ベースのセラムと比べて、スージングエッセンスのように毎日使う製品は頻繁に製造されて販売されているという。このビジネスモデルには環境に対するメリットももちろんあるが、パノシアン氏は「持続可能なブランドは存在しない。持続可能性というのは自分が環境に与える影響を減らすことがポイントだ」と認めている。

食品をヒントにしたライトウォータースキンニュートリション

ライトウォータースキンニュートリション(LightWater Skin Nutrition)は、オピュラスと同じように食品からインスピレーションを得たブランドだ。5月23日に発売されたのは、デイクリームとナイトクリームの2製品で、それぞれ使い捨ての小袋に入っている。皮膚科医で共同創業者のロックス・アンダーソン医師は次のように述べている。「防腐剤、香料、刺激物は入っていない。その理由は製品が新鮮だからだ。従来のスキンケア製品は何年も棚に置かれることになるので、防腐剤を入れなければならない」。

消費者の反応を静観

ある意味、これらのブランドは程度の違いはあれど顧客に習慣を変えて順応することを求めているといえる。上に挙げたブランドが新規であることを考えれば、購入、購入の事前計画、自宅でアマチュア化学者になることに関して、消費者が対応する気持ちがどれほどあるかはまだ不明である。

ホイットマン氏によると、消費者の判定は3つの重要な要素に依るということだ。1つめの要素は「実際の見返り」、つまり「ほかの方法と比べて、ブランドが消費者にその方法の実践を求める真の重要な理由」がなければならない。エクスポーネントの場合は、同社の臨床結果がその理由であり、同社サイト全面に謳ってあるとホイットマン氏は述べている。第2には、「その方法はできるだけ便利でなければならない」。また例に挙げるが、エクスポーネントには用量を自分で管理するのが楽しいという消費者からのフィードバックが届いている。粉末とジェルが混ざったときに(容器から)カチッという音が聞えて「不思議な満足感がある」というユーザーからの意見があると、ホイットマン氏は述べている。3つめは価格設定についてで、「消費者から期待される価格、つまり価格設定が適切ならばそれはボーナスポイント」。

いまのところ、これらのブランドのほとんどがD2Cであることを考えると、スキンケアの「鮮度」が顧客から期待されるようになるまでにはまだ時間がかかりそうである。

ホイットマン氏と同じように、パノシアン氏はマンデーボーンの顧客が喜んで順応してくれていることを目にしている。「顧客維持率は業界平均で約22〜23%だが、当社は50%を超えている。なので、これまで行ってきたことをやり続けるべき、というのが私が信じるところだ」。

[原文:‘Super-fresh’ ingredients are skin care’s latest selling point

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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