「ヘアケアブランドの立ち上げは私の使命だった。 セフォラ限定 だけで販売中」:アドウォア・ビューティCEO ジュリアン・アド氏

DIGIDAY

テクスチャードヘア(巻き毛)のケアブランド「アドウォア・ビューティ(Adwoa Beauty)」の事業は、創業者兼CEOであるジュリアン・アド氏自身のライフストーリーと深く関わっている。米Glossyのポッドキャストにて同ブランドの立ち上げから運営方法などを語った。

テクスチャードヘア(巻き毛)のケアブランド「アドウォア・ビューティ(Adwoa Beauty)」の事業は、創業者兼CEOであるジュリアン・アド氏自身のライフストーリーと深く関わっている。

アド氏はモンロビア(リベリア)でガーナ人の父とリベリア人の母のあいだに生まれ、1982年に米国へと移住した。美容院でスタイリストとして働いたのち、サロンオーナーとなる。銀行での仕事に数年携わる間もサロンオーナーを続け、同氏はD2Cがビジネスモデルのみならず、ブランディング自体にもディスラプションをもたらしていることに気付く。グロッシアー(Glossier)やワービーパーカー(Warby Parker)といったD2Cブランドに触発され、ナチュラルヘアやテクスチャードヘアの分野ではこのようなブランディングのイノベーションがほぼ手つかずの状態であることに着目し、2016年3月のある朝、アドウォア・ビューティの立ち上げを決意したという。アドウォアという名前は、ガーナの言葉で「月曜日に生まれた女性」を意味する同氏の伝統的な名前に由来する。

「このブランドを楽しむためには、自分の人生や経験、ビジョンから非常に強く引き込まなくてはならないと理解していた。なぜならば、情熱から生まれたものだったから」と同氏はGlossyビューティポッドキャストで語った。

アドウォア・ビューティは2019年11年からセフォラ(Sephora)のみで取り扱われており、商品は11種類ある。今年の上半期でさらにセフォラの158店舗への拡大を計画しており、米国内のセフォラ448店舗で販売されることとなる。カナダのセフォラでも48店舗で販売されており、これも全98店舗で展開される予定だ。売上の65%はセフォラで立てられており、アドウォア・ビューティの2021年のセフォラでの売り上げは、2020年と比べて200%増加した。

「どこでどのように販売するか、スマートに展開していきたいと考えている。成長はしたいが、速すぎる成長は望んでいない。早急に手を広げすぎることには、多くの問題点が伴うからだ」とアド氏。「アドウォア・ビューティのことを、10万店舗で取り扱われるようなブランドだととらえたことはない。オーディエンスがこれまで経験したことのないものを、提供するブランドでありたいと考えている」。

以下はポッドキャストで語られた内容である。わかりやすさのために要約し、編集を加えている。

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思いきってブランドを立ち上げたことについて

「これは私の使命だったような気がしている。2012年にナチュラルヘアのコミュニティに参加し、縮毛矯正した髪を切って自然に伸ばすようになった。ナチュラルなテクスチャードヘアの人たちが同様のことをしているのを、YouTubeやインスタグラムで見たからだ。これがきっかけで、私はビューティの世界に戻るパッションを取り戻した。ただのスタイリストであるよりも、充実感があった。『ベラ・キンクス(Bella Kinks、『美しい縮毛』の意味)』という名前のブログを立ち上げ、数々のブランドやインフルエンサーと協力し始めた。ナチュラルヘア業界と同様、我々は非常にアンダーグラウンドな存在だった。私がビューティ業界に参入した1994年から、製品はまったく変わっていなかった。グロッシアーやキャスパー(Casper)、ワービー・パーカーが立ち上がり、あらゆるものがパッケージやブランド、マーケティングを見直され、再び新しくなったが、このような変化は黒人がオーナーを務めるナチュラルヘア用ブランドでは起こっていなかったのだ」。

セフォラ限定のブランドであること

「セフォラと実直な会話をできたことから、彼らに引き付けられた。『5万SKUを持ちたいとも、半年ごとに新しいコレクションを作りたいとも思わない。あんなことも、こんなこともしたくない』と述べたところ、彼らも私にそれを望んでいないと言っていた。この業界における私の課題だと感じていたことを認めてくれ、『あなたらしくあってほしい、それを私たちが展開していきたい』と初めて言ってくれた。ビジネスはビジネスだということは理解しているし、何を読んでも『顧客がいるところに出ていくべき』と書いてある。自分たちの流通を非常にスリムに保ってスマートに成長していくことは、速く成長する必要性を凌駕する。だから現在のところは、セフォラだけで販売するのだ」。

自己資金でブランドを運営している理由

「正直なところ、私がそのような意思決定をしたというわけではなく、資金を得ることができなかったのだ。最初の年にウェブサイトだけで100万ドル(約1億円)を稼ぎ、『これならば大丈夫そう』と銀行から融資を受けようとしたら、半ば当然のように断られた。セフォラとの取引を開始する際も、注文書を提示してもお金を貸してくれなかった。これまでの売掛金がないとか、事業規模がまだ小さすぎるとか、融資してもらえない理由はいくらでもあった。いまは資金を調達できる立場になったが、(ブランドの財務面での)ポテンシャルを知ったことで『自分たちでできるのではないか』と考えている。今後おそらく、どこかのタイミングで資金調達が必要になることはあるだろう。その可能性は否定しない。でも現時点では、資金調達をする前にどこまで自分たちで伸びていけるかを試してみたい」。

[原文:Julian Addo on launching hair-care brand Adwoa Beauty: ‘It was my calling’

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子、編集:黒田千聖)


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