TikTok 広告は高効果で、富裕層ユーザーの利用時間も長い:米・調査企業ディスコの発表より

DIGIDAY

TikTokにとって、良いニュースが続いている。最初の良い知らせを伝えたのはロイターだ。SNSプラットフォームTikTokのユーザー数が瞬く間に10億人の大台を突破と報じた。次の良い知らせが伝えられたのは、イベント「TikTok World」だ。バイトダンス(ByteDance)を親会社に持つ主催者のTikTokは、このイベントで、アドバタイザーやクリエイター、インフルエンサーにとって魅力的な新しいイノベーションをいくつか発表している。

そんななか、消費者動向に関する調査を行う企業、ディスコ(Disqo)が、TikTokについての新たな情報を発表した。ディスコによると、TikTok広告は平均的なSNSプラットフォームよりも追尾力があるだけでなく、その広告を見たユーザーがアクションを起こす傾向が高いことがわかったのだ。さらに、TikTokの富裕層ユーザーは、その利用時間が長い傾向も明らかになっている。

「消費者から、『広告は好きじゃないし、かかわるのも嫌だ』というセリフを耳にすることがよくある」。そう話すのはディスコでプロダクトマーケティングのバイスプレジデント、アン・ハンター氏である。「そうした環境下でも、人々の心をつかみ、人々が楽しめる広告フォーマットが作られたとなれば、単なる『TikTokの成功』では片づけられない――これは、広告の新たなあり方を考えるうえでも意味がある」。

TikTokのレゾンデートル

ハンター氏の説明によると、TikTokはさまざまなタイプの広告機会を提供している。インフィード広告からオーバーレイ広告、さらにテイクオーバー広告やインフルエンサーのプレースメント広告も取り扱う。その種類の多さと、従来の広告よりも邪魔にならないコンテンツとの融合が、ユーザーに受けいられている要因のようだ。

「いろいろな意味で、この手のフォーマットは、もともとソープオペラ(いわゆる昼ドラ)で使われていた製品のプレースメント広告に戻っている。デジタルディスプレイ広告よりも、動画のデジタルプロダクトの方がしっくりくる」とハンター氏。

「ディスプレイ広告には、私たちがTikTokのフォーマットで求めているような心の揺さぶりがない。というのもそもそも、楽しむことやはしゃぐことが、TikTokというプラットフォームを使う理由、つまり『レゾンデートル(raison d’être:フランス語で[存在意義]の意)』なのだから」。

とはいえ投資に躊躇する声も

エージェンシーたちも、それに気づいている。「昨今、消費者はクリエイターとしての役割も持つようになっている――この傾向は、新型コロナウイルスのパンデミックの前から見られていたが、TikTokやFacebookのような企業が、インフルエンサーや個人のクリエイターに直接報酬を支払うようになり、クリエイター経済は一層成長をつづけてきた」。こう話すのは、エンジェーシーのエンジングループ(Engine Group)で、グローバルチーフコマーシャルオフィサーを務めるスコット・シラー氏だ。

「プラットフォームも広告主もブランドも、消費者と双方向の対話を続けなければならない。なぜなら消費者は、以前よりもパワーを手にしているうえに、彼らの習慣が常に進化を続けているからだ」。

しかし、TikTokが引き続きアドテク関連の従業員の増員に取り組んでいるとはいえ、エージェンシーの経営陣からは、まだTikTokへの全面投資には踏み切れないと躊躇する声も聞かれている。

ディスコによるリサーチの一部

ここで、ディスコの調査結果の一部を紹介する。なお、本調査は北米在住のTikTokユーザー約1万7000人を対象に、9月20~21日に実施された。

  • 回答者の3分の1近く(29%)が、TikTokならクールなプロジェクトを見つけられると回答。
  • 回答者の52%が、TikTokの広告は「楽しくて魅力的」と回答。
  • 回答者の32%が、ブランドの動画を見たあと、ビデオで見た製品やプロジェクトを検索すると回答している。動画に関連したアプリをダウンロードしたと回答したのは13%、また動画の製品を購入したと回答したのは12%。

購買力に関しても、興味深い調査結果が出ている。富裕層のユーザーも、若くて富裕層ではないユーザーと同様にTikTokを頻繁に利用していることがわかったのだ。特に世帯収入が15万ドル(約1650万円)以上の回答者の場合、53%がほぼ毎日TikTokを使用しているという。ハンター氏は、このデータを知った当初はその内容をにわかに信じられなかったという。しかし、ディスコが対象を広げて実施した調査(ユーザー数20万7000人)の行動データも合わせてチェックしたところ、TikTokユーザーは、買い物に使う金額が平均よりも8.5%多いことが確認できた。

「最初は驚いたが、本当にそうなんだと納得した」とハンター氏は話す。

年齢層が高いTikTok愛用者も(裕福である場合が多い)、若年層のユーザーと同じようにTikTokをしっかり利用している。ディスコの調査で、35~54歳の回答者のうち半数以上が、毎日TikTokを利用していることがわかったとハンター氏。「この年齢層は、若年層と同じようにパワーユーザーになる」とハンター氏はいう。「もしTikTokが若年層をないがしろにせず、年齢層の高いオーディエンスの心にも訴えるコンテンツを作ることができれば、広範なユーザーが毎日使用するプラットフォームのスタンダードになるチャンスが劇的に広がる」。

ハンター氏によると、ディスコの調査はTikTokの関与や金銭的支援は一切なく実施されている。

[原文:TikTok’s latest good news: its ads are sticky and effective, and rich people spend a lot of time there

MICHAEL BÜRGI(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)

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