BLOGOS終了 時代とのズレ原因か – 中川 淳一郎

BLOGOS

イラスト&題字 まんきつ

2022年3月31日をもって論壇サイト・BLOGOSが更新を停止、5月31日でサイトをクローズし、12年7ヶ月の歴史の幕を引く。BLOGOSの果たした役割や問題点等については、先日、私・中川淳一郎と常見陽平で語り合った。

「訪問はするけど読んでいなかった」ブログポータルサイト『BLOGOS』とは何だったのか 中川淳一郎×常見陽平対談

BLOGOSとは一体どのようなサイトかといえば、解説ページには「日本初、提言型ニュースサイト」を謳い「政治家から中学生までの意見がフラットに並ぶ面白さ」とある。そして3つの約束として「フィルタがかからない生の声を伝えます」「意見を発信できる土壌を作ります」「『提言』が生まれる場を目指します」とされた。

BLOGOS サービス終了のお知らせ
BLOGOS サービス終了のお知らせ

私も自分のライブドアブログを転載させてもらうほか、「今月のあっぱれ」という連載では、その月に目覚ましい活躍をした人々に張本勲氏のごとく「あっぱれ!」を入れた。その対象は、NHK紅白歌合戦のスタッフ、ガチャピン、ブロガー全般、私の知り合いの女性ライター、そして『サンデーモーニング』を降板した張本勲氏、そして今回は最終回ということでBLOGOS本体に「あっぱれ」を入れる。

どこがホメポイントかといえば、私自身は「なんだかよく分からんが雑多過ぎてまとまっていない」という点が案外好きだった。あと、人気のある記事が、私の志向に案外合っていたのだ。左派からすれば「ネトウヨめ!」と言いたくなるだろうが、実際は中道左派的な音喜多駿氏の記事が人気になったり、橋下徹氏のツイートまとめも同様に人気になったりしていた。

私は理想論者ではなく、超現実論者であり、自分では中道左派から中道右派をウロウロするタイプだと思っている。要するに、「アベは許せない!」や「立憲民主党はパヨク!」という結論に向けた原稿を書くのではなく、その都度是々非々で原稿を書くし、意見も言う。だからこそ左派からは「ネトウヨ!」と罵られ、ネトウヨからは「パヨク!」と言われてしまうのである。

BLOGOSについてはバリバリの左派も右派もいたものの、ランキングの上位に来るような意見は案外是々非々的でかつ明確な思想を決めていない人々のものだったように感じられる。そして当然左右両側もランキング上位入りしていたため、冒頭の多様な意見のプラットフォームを目指す、と解釈できる「約束」については守られていたといえよう。

編集部が付けた15文字程度の短縮タイトルも要点を簡潔にまとめており、読みたい、という気持ちをそそるものがあった。だが、ブログの著者としては「私の意図はそこにはない」と言いたくなることもあっただろう。そうした場合、撤退をチラつかされて編集部もその点は困っていたのではないだろうか。私のように、自分の文章に対して一切の愛情もプライドもない人間からすれば「あとはどうぞ自由にやってください」というスタンスなのだが、案外、この「著者対応」ってヤツがかなり大変だったのでは、とも思うのである。もちろん、「このブログ記事は転載してもらいたくなかった」といった意見もあったことだろう。

転載すべきでない記事を載せた長谷川豊事件

BLOGOS編集部

とはいっても、編集部は闇雲に全部を転載しているわけではなく、「オピニオン」「貴重な体験」「鋭い分析」といったブログ記事を選んでいる。当然、私が書くニンテンドー3DSの『三國志』攻略法などは載らないし、食べたものを紹介するだけのブログも出ない。こうした編集作業はされていたのである。

ただし、2016年、フリーアナウンサーの長谷川豊氏が「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」という優生思想とも取れる主張をした時のブログを掲載したことについては、長谷川氏のみならず、転載先であるBLOGOSも非難された。後に削除・謝罪文の掲載という流れになった。ネットでは「お前のブログでやれ」「チラシの裏に書いておけ」という言葉があるが、多くの人はBLOGOSを公的なニュースサイトと捉えていたのである。私もこの件については長谷川氏との関係性に対する忖度はあったかもしれないが、明らかに炎上案件だったため、掲載のボタンを押した担当者は危機感が弱かったかもしれない。

私自身も自分がブログに書きなぐった文章が転載された時は「これを載せるか……」と思ったことはあるが、「これは載らないだろう」と思ったブログ記事はほぼ載らなかった。その面では明確な編集方針はあったといえよう。そして「これは載るだろう!」と自信満々だった2021年7月のコロナの政府分科会・尾身茂会長を批判する文章は掲載されなかった。BLOGOSでランキング上位を取るであろう感触はあったのだが、掲載にさえ至らなかった。

理由を田野幸伸編集長にメールで聞いたところ「『バカ』という言葉が多過ぎます」とのことだった。ガハハハハハハ、いつの間にか編集方針で基準を変えていたのですね。より健全なサイトを目指したことは理解します!

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