経済対策は費用対効果を示すべき – わたなべ美樹

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在任1日でも100万円支給され、国民の批判を浴びた国会議員の文書通信交通滞在費(文通費)。「1日だけ」で支給される点ばかり取り上げられるが、領収書なしで、「何でも使えること」自体を問題にすべきだ。民間同様、必要な分だけ領収書で清算するのは当然のことだ。国会議員が自分たちに都合の良いルールを作っている象徴だ。

立憲民主党の代表選が行われたが、今回の新代表でこの国が変わることはないだろう。

ニッポン放送の企画で、新党を作るならどんな党を作るか問われた。私は、1円の使い道にこだわる「新党・経営日本」そんな党を作りたいと話した。税金の使い道の費用対効果、投資対効果にこだわり、全議員が経営者か元経営者。ある程度資産がある経営者が政治に携わることで、パーティー券や寄付金はいっさいもらわない。議員報酬も返上する。よって、支持団体や既得権もない。

その上で、国民の全体最適を追求し、国家経営を行う。与野党のキャスチングボートをこの政党が握れば、この国は経営を意識し変わるだろう。万一、日本が財政破綻したら、そんな経営者集団の政党が求められてもおかしくない。

岸田文雄政権は「新しい資本主義」を掲げており、55兆円規模の経済対策を表明している。原資があるならすべて賛成だ。しかし財源は赤字国債(借金)頼みとなる。原資はどこから出るのか、どれほどの期間で、どれほど還元できるか、費用対効果が示されていない。国内総生産(GDP)をどう上げ、国民1人1人にどんなリターンがあるか、KPI(重要業績評価指標)で示してほしい。

今月18日、復興推進委員会で「政府の経営感覚のなさ」を指摘した。本気で復興を目指すならば「人口を元に戻す」、「地域の雇用を増やす」など数値目標を明確にして資金を投じるべきだ。政府案内で、被災地の経営現場を視察した。

復興の象徴として紹介された、養殖場のホシガレイが1キロ3000円、ジビエの鹿肉は1キロ8000円で売られたのを見て「この値段では商売にならない」と声を挙げた。「被災地には事業整備をはじめ、莫大(ばくだい)な復興財源が投入されているわけで、それに対して投資対効果をしっかり見て経営というものを入れていくべき」そう指摘した。

ワタミが岩手県陸前高田市で運営する「ワタミオーガニックランド」は修学旅行とキャンプの集客にしぼりこむ経営戦略をとる。「雇用」と「納税」で本当の意味で陸前高田市の復興に全力を尽くす。

政府の委員会で、苦言を呈することは官僚や政治家には嫌われるだろう。しかし、私を任命してくださった菅義偉前首相は「経営者の視点でモノを言ってくれ」と委員を託していただいた。その約束は果たしたい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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