大企業で新規事業立ち上げは困難 – 幻冬舎plus

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年功序列、終身雇用など、かつての日本の働き方が崩壊する一方で、まだまだ学生たちの間で健在といわれる「大企業神話」。それは何十年前と変わらない「人気企業ランキング」にも表れています。株式会社スタートライズ代表取締役社長、清水宏さんの『新卒はベンチャー企業へ行きなさい』は、そんな「大企業神話」にとどめを刺す一冊。就職活動を控えている学生はもちろん、転職を考えている社会人にも読んでいただきたい本書より、一部を抜粋してご紹介します。

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大企業では絶望的に難しい「0→1」の体験

ベンチャー企業で働く醍醐味は、なんといっても新しい事業新しいビジネスモデル新しい技術といった、これまでに無かったビジネスを体験できる環境にあるということです。

このことを私は、「0→1」を体験できると表現しています。

(写真:iStock.com/SARINYAPINNGAM)

まず、「0→1」は、まだ世の中に無い商品やサービスを提供できるビジネスを立ち上げることを表しています。

この「0→1」を体験できる環境を見つけることは少々難しいかもしれません。というのも、この段階を体験できる企業の規模は社員が20名前後のベンチャー企業ですが、既に成長軌道に乗ってキラキラしているところはもはや「0→1」の段階を終えている場合が多いためです。

それでもベンチャー企業であれば、自ら「0→1」を体験できる事業を立ち上げるチャンスや、まさに立ち上げようとしているプロジェクトチームに参加するチャンスは、一般の企業よりはずっと多いでしょう。大企業では絶望的に難しくなります。

ベンチャー企業以外の一般企業では、新規事業を立ち上げられる立場にあるのは幹部クラスだけです。

まれに、この幹部が立ち上げた新規事業に一般社員が参加できるチャンスがありますが、これは「0→1」を体験できているというより、その体験をしている幹部や先輩社員たちに乗っかっているだけで、自ら立ち上げているわけではありません。ですからこれといったスキルが身に付いているわけではありません

なんだか貴重な体験をしたという興奮状態を共有できたかもしれませんが、それだけです。たいした仕事はさせてもらっていないのですね。

残念ながら、これでは経験したとは言えません。

入社歴も年齢も役職も関係なく「0→1」を体験できるベンチャー企業

似たような状況に、好景気に乗ったことで自分が伸びていると錯覚してしまうことがあります。

たとえば最近の例では、人材紹介業界などです。

(写真:iStock.com/metamorworks)

現在、この業界では人手不足が追い風となり、営業が工夫をしなくても簡単に受注できてしまいます

特に若い営業担当者は、売り上げが伸びて数字に表れていますから、それに合わせて自分のスキルも高まっていると勘違いしています。単にブームに乗っているだけなのですが。

ですから、あと数年してこのブームが去ったとき、彼らには何も残っていないでしょう。そうして業界が不況になって、いざ転職しよう、あるいはリストラが始まったときに、自分のバリューが自分で思っていたほどに高く評価されていなかった、ということを思い知らされる人がたくさん出てきます。彼らは本当の意味で「0→1」を体験していないので、これといったスキルが身に付いていません。

それでは私の会社の場合はどうでしょうか。

弊社では、入社歴や年齢、役職に関係無く、新しい製品やサービスを立ち上げることが可能な環境を用意しています。

但し、なんでもかんでも新規ビジネスとして立ち上げられるわけではありません。まず、新規事業を立ち上げるべきかどうかについて、次の2つの条件を満たしていることが前提になります。

  • ある分野でNo.1になれる可能性があること
  • 収益が出始める段階が予想できていること

これだけです。特にある分野でNo.1になれる可能性については、ビジネスの規模は問いません。大手企業であれば、巨大な組織を維持するために、ビジネスの規模もはじめから大規模にせざるを得ませんが、ベンチャー企業の場合にはそのような制約はありません。小さく始めて育てていくことが可能です。

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