NFT へのアプローチを変更したD2Cブランド、ミーアンディーズ:顧客コミュニティからの反発のその後

DIGIDAY

D2Cの下着ブランドのミーアンディーズ(MeUndies)は、2月、人気のボアード・エイプ・ヨット・クラブ(Bored Ape Yacht Club、以下BAYC)コレクションからNFT1点を購入することについてツイートした。同社の忠実なユーザーベースを構成する多くの人々はこれに不満を感じ、すぐに猛反発。その数日後、ミーアンディーズは、NFTについて触れたツイートの一部を削除し、それ以上の発表は行わなかった。

NFTから製品のプリントを作る意図

だが、1カ月を超える沈黙のあと、同社は3月10日にNFTに対する意図について語り、NFT分野から撤退するという決定を発表した。ミーアンディーズには同社専門のオープンフォーラムであるミーアンディーズのサブレディットがあるのだが、そこで公式のミーアンディーズアカウントが「当社のNFTについての更新情報」というタイトルの長い声明文を投稿した。

この投稿によると、ミーアンディーズはNFT1点を購入して、それを下着のプリントにする意図があったという。

また、声明文は次のように述べている。「プリントを作ろうと考えた。BAYCは、そのためのライセンスを獲得できる数少ないNFTコレクションのひとつだった。我が社にとって、NFTの購入は、コストと戦略の点でほかのライセンス契約やパートナーシップ契約と似ているものだった。そのようなプリントはとても人気があり、当社の目的にとってBAYCは適切だと思われた」。

顧客が懸念した、NFTの環境への影響

また、声明文では、ミーアンディーズはNFTの環境への影響に関するリサーチを行っていなかったと述べられている。この点は最初の発表に反対した人々の主な懸念事項であった。その発表後、同社は、気候に関するアドバイスを提供する企業のウォーターシェッド(Watershed)に相談して、何をすべきかについてアドバイスを求めた。最終的に、ミーアンディーズは同社の持っているNFTを販売し、その全収益を環境への取り組みにつぎ込み、画像をプリントには使用しないことになった。

「持続可能な企業であることは我が社にとって重要だ」と声明文にある。「それは持続可能な布地からスタートし、ネットゼロ炭素排出量を目指す計画を立てることにつながった。NFTと仮想通貨が環境に与える影響を完全に理解した後、この分野に関与することは当社の目標や価値観と一致していないことを痛感した。コミュニティの意見に耳を傾けて、この決定を明確にできた」。

サブレディットのコミュニティの高い関与

ミーアンディーズは、2015年という早い時期にRedditを採用し、Redditはサブスクライバーとやりとりする重要な方法のひとつになった。同ブランドが運営するミーアンディーズのサブレディットには1400人以上のサブスクライバーがいる。サブレディットを介したキャンペーンでは、ほかのチャネルを介したマーケティングと比較して購入のリフト値は最大15倍になったことがある。

ミーアンディーズのRedditコミュニティは、同社のNFTの方向性に関してもっとも反対の声をあげていたコミュニティのひとつだった。同ブランドのサブレディットは部分的に同社に運営されているが、ユーザー投稿についてのルールはほとんどなく、NFTへの反対意見はフォーラム全体で広く存在していた。2月には、同社の決定を嘆いた投稿が数十件あり、更新情報があったかどうかを尋ねたり、サブスクリプションをキャンセルするというものもあった。NFTプロジェクト終了に関するミーアンディーズの声明に対する反応においてさえも、安心したというコメントからまだ納得していないというものなど顧客から様々な意見が寄せられた。

あるユーザーからは次のようなコメントがあった。「NFTなんぞに手を出さないと決めてくれてよかった。だが、最初の決定をする前にリサーチをしていなかったこと、そして反発があったがゆえにリサーチをしたことは遺憾だ」。

NFTはブランドや企業に広く受け入れられているが、平均的な消費者はその使用について依然として複雑な思いを抱えている。NFTに対する批判は幅広く、その理由として、環境問題やネズミ講に似た構造、物質的な価値の欠如が挙げられている。

ミーアンディーズはもともと1月下旬に約28万ドル(約3340万円)でNFTを購入した。NFT追跡プラットフォームのオープンシー(OpenSea)によると、購入者はShok_1というユーザーだという。これは、おそらくTwitterのハンドル名に@shok1を使っている、同ブランドのCEO、ジョナサン・ショークリアン氏だと思われる。同社がNFTに対する意図を撤回したにもかかわらず、ショークリアン氏が最初のNFTの発表に対する反発をからかうようないくつかのツイートを気に入ってリツイートしていると、ミーアンディーズのサブスクライバーたちからは指摘されている。この記事に対してミーアンディーズのコメントを求めたが、返答はなかった。

[原文:MeUndies reverses course on NFTs after customer backlash

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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