ヘアエクステンションが次の革新的な イノベーション 分野になる:【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

ヘアケアはビューティとウェルネスのもっとも主要なカテゴリーのひとつに成長している。その結果、スカルプケア、ボンドビルディング、そして今ではヘアエクステンションのサブカテゴリーにハロー効果がもたらされている。

ヘアエクステンションブランドが増加中

ヘアエクステンションは、ディスラプションが必要な次のビューティサブカテゴリーとして新たに注目を集めている。その理由には、テクスチャードヘア(巻き毛)やカーリーヘア向けプレミアムヘア製品に対する消費者の要望と、ソーシャルメディアを通じてエクステンション製品の露出が増えたことが挙げられる。ブランドはエクステンション関連で新しい製品やコミュニケーションスタイルを取り入れており、新規ブランドも登場してこの分野への露出が増加している。リバンドル(Rebundle)は非プラスチックの人工ブレイド(編み込み)を提供しており、これには生分解性もある。インサート・ネイム・ヒア(Insert Name Here、以下INH)は、トレンドに対応した人毛と人工毛のエクステンションを販売している。この2年間で英国拠点のルカ・ヘア(Ruka Hair)、Z世代向けのウェイブ(Waeve)、エシカルな調達のラクシー・ヘア(Luxy Hair)など、多くのエクステンションブランドがローンチ。『ザ・リアル・ハウスワイブス・オブ・ビバリー・ヒルズ(The Real Housewives of Beverly Hills)(邦題なし)』に出演しているエリカ・ジェイン氏は、2021年12月、エクステンションブランドのプリティ・メス・ヘア(Pretty Mess Hair)を立ち上げている。

頭皮の健康を考慮したリバンドルの台頭

リバンドル(Rebundle)の共同創設者、キアラ・イマニ・メイ氏が2020年に同ブランドをローンチしたのは、頭皮の炎症という重要な問題を解決するためだった。プラスチックベースの人工エクステンションは頭皮を刺激する傾向があり、合成(つまりプラスチックベース)エクステンションの廃棄はビューティ業界にとって主要な環境問題であるとメイ氏は述べている。また、ウィッグとヘアエクステンションの世界市場は2023年までに100億ドル(約1.2兆円)を超えると推定されている。人工毛の需要はますます高まっているが、それによって環境問題はさらに悪化している。人工毛や使用されている化学物質にはかゆみや赤みなどのアレルギー反応を引き起こしたり、使用法を誤ると不快感を引き起こす可能性がある。

このような需要に対して、セントルイスを拠点とするリバンドルは植物ベースの素材であるバナナ繊維から作られた100%生分解するヘアエクステンションを販売している。同社は安全で清潔な素材のみを使用していると述べている。リバンドルの人工毛は最高400度(約摂氏204度)の熱に耐えることができ、カールもできる。一般的なプラスチックベースの人工毛ではこれはなかなか簡単にできることではない。ヘアエクステンションスタートアップの同社は、1月にシード前資金調達で140万ドル(約1億7000万円)達成を発表しており、以来、追加で30万ドル(約3680万円)を調達している。

「いろいろな女性たちにエクステンションの経験について話を聞いて、エクステンションの使用につきものの不快感は誰もが感じているとわかった。それは当たり前のものとして業界から受け入れられるべき基準ではないと思った」とメイ氏は述べている。

リバンドルには今春に発売予定の新しいタイプの編み込みヘア6点があり、3.5オンス(約100g)のバンドル1束は23〜30ドル(約2900〜3700円)だ。同社は毛髪の太さに応じて4〜10束の購入を提案しており、また、スタイリストによる編み込みを希望する顧客のために複数の都市におけるブレイドを担当するスタイリストの名簿を提供している。現時点ではリバンドルはブランド認知度を高め、インスタグラムとTwitter全体でオンラインコミュニティを成長させることにフォーカスしている。これまでのところはまだ有料広告に投資していないが、口コミで認知度が高まっている。メイ氏は現在の売上高や予測売上高については共有してくれなかった。

リバンドルの共同創業者、ダニエル・ワシントン氏は次のように述べている。「リバンドルを拡大して、顧客に当社の製品を実際に触ってもらえるようなリアル体験の提供を目指している。多くのストーリーを伝え、当社のプラットフォームを利用して、これまで気づかれなかったり明らかにされなかったような問題点(頭皮の炎症など)に光を当てていきたいと思っている」。

黒人女性による起業で黒人女性向けの製品を

多くの点でヘアエクステンション分野内で起こっているイノベーションは不可避であっただろう。ヘアカテゴリーは全体的に激変しており、新規ブランドは質の高いボンドビルディングやスカルプケア、カラーケア製品を多く提供している。また、自然のままのテクスチャードヘア(巻き毛)分野の可視性、そして特に黒人女性の間に盛り上がる起業家精神は、黒人の消費者とヘアのニーズを髪に関する会話の最前線に引き上げた。

「今では、テクスチャードヘアやアフロヘアの人に対するこれまでにはなかったレベルのインクルージョンが存在する。以前は、ビューティ業界が考える『イノベーション』のレベルに到達できるビジネスを創出する機会を持つことができなかった」とワシントン氏。「今ではもっと耳を傾けてもらえるようになり、(黒人の髪に対する)ケアの必要性があること、購入意欲のある消費者がいることが理解されつつある」。

ヘアエクステンションへの高まる関心

また、ソーシャルメディアによって、ビューティの異なる表現方法と実験方法としてのエクステンションに関する会話が推進されている。WWDによると、オンライントレンドを追跡するエージェンシー、トレンダリティクス(Trendalytics)は「シールヘアエクステンション」が過去52週間においてTikTokで5番目に人気のあるヘアケア検索だったということである。シールヘアエクステンションは週に平均2万回検索され、これは前年比で29%の増加だ。アルタビューティ(Ulta Beauty)のスタイリスト、デイヴィッド・ロペス氏によるとシールヘアエクステンションは現在ある数十種類のひとつであり、もっとも短時間で装着できるものだという。また、Alibaba.comは過去1年間に販売されたもっとも人気のあるビューティサブカテゴリーのひとつはヘアエクステンションだったと報告している。TikTokによって、ビーズや小さなチューブを使って小さな束を髪に付けるマイクロリンク(キャップ)のようなエクステンションサービスが広く知られるようになった。

高品質の人毛製品に注力するインサート・ネイム・ヒア

「エクステンション分野に対して全体的な関心も高まっているが、トレンディなスタイルという要素にも関心が集まっており、エクステンションの普及が推進されている」と述べているのはINHの共同創業者、シャロン・パク氏だ。「当社のポニーテール事業はその良い例だろう。INHをローンチしたときハイポニーテールが人気だったので、すぐにいろいろなポニーテールスタイルに拡大を始めた」。

ポニーテールのエクステンションのほかに、INHは人工毛で地毛に挿入するタイプの大きな1本のU字型ストリップのUクリップ(U-Clip)ヘアエクステンションと、個別に挿入できる複数の部分からなる人毛のレミー(Remy)エクステンションを販売している。ロペス氏によると、エクステンションには規制がないが、レミーエクステンションの品質は高く、柔らかく長持ちするということである。Uクリップの小売価格は74〜94ドル(約9200〜1.2万円)、レミーは189〜278ドル(約2.3〜3.5万円)。INHの共同創業者であるジョーディン・ウィン氏は、エクステンションを初めて使う顧客は廉価なUクリップに関心を寄せているが、エクステンションの経験者はレミーを購入していると述べている。パク氏によると、INHの新規顧客の75%はこれまでヘアエクステンションを試したことがない人たちだという。

ウィッグとエクステンションのブランド、INHは2019年にローンチした際にはZ世代とミレニアル世代の若い層にフォーカスしたが、それはこの新規顧客グループがいろいろなヘアスタイルを試すことに熱心だったからである。当時、同社の主要なブランディングと製品の柱は実験と変革だった。INHが製品ベースを拡大しブランド認知度を高めるにつれて、年齢の高い層のミレニアル世代から注目されるようになり、マーケティングは問題を解決する製品の提供と(顧客の)自信に焦点を当てたブランディングにフォーカスするように進化していった。

エクステンション分野の背後にある複雑な歴史

エクステンションと同分野の製品とブランドの革新に対する消費者の関心が高まっているにもかかわらず、エクステンションは依然として複雑なビューティカテゴリーだといえる。ウィン氏は、2022年のINHの大きな焦点は、テクスチャーとカールのパターンの選択肢を拡大することだと述べている。 とくに黒人コミュニティには、エクステンションに関して豊かな、そして複雑な歴史がある。エクステンションの歴史は古代エジプトにまでさかのぼる。その豊かな歴史にもかかわらず、黒人女性の消費者とエクステンション分野は、何十年にもおよぶ体系的な人種差別と黒人の髪に関する政治的側面ゆえにビューティ業界全体からの注目や配慮の対象にはならなかったのである。

INHは、2月、黒人のビューティインフルエンサー、レイ・ボイス氏(@ItsMyRayeRaye、インスタグラムのフォロワー150万人)と協働して、ポニーテールエクステンションスタイルと、エクステンションとポニーテールを組み合わせた「ハーフアップ、ハーフダウン」ルックを制作した。ウィン氏とパク氏が投資家に黒人女性に対してもっとインクルーシブでありたいという同社の意欲を伝えたとき、伝統的に「黒人女子のためのブランドと白人女子のためのブランドが存在し、その2つはまったく異なるものだ」だと言われた。このコメントによって、個人やあるグループだけのためのブランドではなく、「オールインクルーシブなビジョン」を構築するために両氏はさらに刺激されたと述べている。INHは顧客の人口統計データを持っていないが、パク氏によると顧客からはテクスチャーとカールのパターンを増やすように求められているということだ。

エクステンションヘアケア製品の必要性

パク氏は、INHは2022年はヘアケアにもフォーカスすると述べているが、これはヘアエクステンションの次の革新となる可能性が高い。同社は2021年の終わりにエマージェンシー・リバイバル・スプレー(Emergency Revival Spray)という人工毛のもつれをほどくためのスプレーを発売した。パク氏によると、これは現在、D2Cのeコマースサイトでトップ3を誇るベストセラーになっているそうである。また、ボンドビルディングのブランド、K18は、ビューティ・インダストリー・グループ(Beauty Industry Group)と提携して、エクステンションキットの一部としてヘア・リペアマスクを提供している。ロペス氏は、エクステンションは頭皮には付けられていないため、そのヘアには頭皮の天然の油脂のメリットを受けないと述べている。エクステンションのヘアは多くの水分を必要とし、またからみをほどいたり再装着する必要もしばしばあるそうだ。

メイ氏は次のように述べている。「私が予想しているのは、消費者がもっと良い製品を求めるようになり、当社のような企業に説明責任を負わせるようになるだろうということ。消費者が、企業側から購入決定をもっと入念に考える責任を負わされるのではなく」。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Hair extensions are the next hair subcategory to get disrupted

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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