菅直人氏はヒトラー発言説明せよ – たかまつなな

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私は、twitterが分断をあおる装置になることを危惧しています。そして、特に政治家は、分断をあおることに対して抑制的である必要があると思います。エビデンスに基づかない議論することは極めて危険です。

■ヒトラーは民主主義で誕生した

ヒトラーは選挙を通じ、民主主義によりうまれました。ヒトラーは大統領選挙では負けましたが、国民がナチ党を選挙で選びました。(選挙はヒトラー個人を選ぶものではなく、さらに言えばナチ党の得票率も33%程度だとされています。)その後、憲法を停止したり、政治家やジャーナリストを弾圧をしていきました。そして、映画やラジオなどを通じ人々を扇動しました。

ヒトラーを礼賛することは絶対に許されませんが、二度と歴史を繰り返さない教訓としての発言はしてもいい、むしろタブー視してはいけません。だからこそドイツでは、ホロコーストの悲劇を二度と繰り返さないよう政治の授業、教育に力をいれているのです。

日本も、第二次世界大戦の時に、メディアが戦争反対といえなくなりました。大手メディアは大本営発表に従うしかなくなり、反対するメディアは売れなくなるか、廃業するしかなくなってしまいました。また、治安維持法により、政府に都合の悪い考えを取り締まるようになりました。

歴史を振り返ると、最初は反対の声をあげることができたのに、いつの間にか反対の声をあげられなくなっていることが多いことに気づかされます。だから、歴史から学び、警鐘を鳴らすことが必要だと思います。

■政治家がヒトラーに例えることの危険性

ですが、私は、政治家が、安易に誰かをヒトラーと例えることを危惧しています。

それは今回の菅直人さんだけではなく、他の政治家についても同様です。

●菅直人のヒトラーを思い起こす発言

今回、菅直人元総理が特定政党をヒトラーを思い起こすとした発言は重いと考えています。菅直人さんはこのようにツイートしました。

「橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」

しかし、一応否定的な文脈とはいえ、安易にヒトラーやナチスに例える発言は過去にも多くあります。

●麻生太郎のナチスに手口を学んだらどうか発言
 3年前、麻生太郎さんは副総理の時に、憲法改正に絡み戦前ドイツのナチス政権を引き合いに「手口を学んだらどうか」と発言しました。

●橋下徹
 2015年、藤井聡京都大大学院教授からナチス・ドイツの指導者、ヒトラーになぞらえて批判されたことについて、「ちょびひげを生やして、あんたの顔がヒトラーじゃないか」と言い返した。
(特にこれは明らかにルッキズムに基づく差別的発言です)

これらの発言は全部問題だと思います。

ヒトラーは、最終的に大量虐殺をしました。その「悪行」を例に持ち出すとすれば、どのような意図で、どのようにヒトラーと一緒で、最終的には日本社会がどうなることを危惧してその発言に至ったかなどを説明すべきです。

■ポピュリズムへの対抗法

ある発信が、ポピュリズムやフェイクニュースだと思った時、ポピュリズムで対抗してはいけないと考えています。地道ですが、事実やファクトチェックを積み重ね、丁寧に説明をすること。それが大切だと考えています。でなければ、その対抗は別の差別やポピュリズムを生むと思います。

私は、維新をつくった橋下徹さんが現在政治家をやめたとはいえ、大阪都構想の解説をテレビでするなどということは政治的に中立ではなく、今の橋下さんを起用するテレビの多くはバランスを欠いていると感じています。もっと多様なバックグラウンド、考え方を持つ専門家を起用するなどしてほしいです。私もかつて、橋下さんと対決という形で番組などにキャスティングされたことがあります。私自身は、学術会議や持続化給付金が性産業に支払われないこと、若者の政治参加について、おかしいと思うことについて、根拠をもって反論しました。もちろん、弁がたたなかったことや不勉強さから完璧にはできなかったと思いますが。

ですが、喋りがうまい=ヒトラー、という単純な側面を取り上げるだけだと、それは多くの政治家やお笑い芸人、ビジネスマンがヒトラーということになります。どこのどういう点がヒトラーであり、問題があるのかを説明しなければならないし、さらに、政治家という立場のある人の発言は重いです。

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