ねじったり伸ばしたりと「動き」をエネルギーにできる新デバイスが開発中、水中でも利用可

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風や波、物体の動きといった力学的エネルギーは地球上に豊富に存在し、将来的なエネルギー源になる可能性があると考えられています。新たにノースカロライナ州立大学の研究チームが、力学的エネルギーを電気に変換でき、かつ水中でも利用可能なデバイスを開発しました。

A Soft Variable‐Area Electrical‐Double‐Layer Energy Harvester – Vallem – – Advanced Materials – Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.202103142

Using Liquid Metal to Turn Motion into Electricity – Even Underwater | NC State News
https://news.ncsu.edu/2021/08/liquid-metal-energy-harvester/

Liquid metal encased in hydrogel makes a promising energy-harvesting device | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/09/liquid-metal-encased-in-hydrogel-makes-a-promising-energy-harvesting-device/

ノースカロライナ州立大学の化学者であり生体分子工学のエンジニアであるMichael Dickey氏とMatt Shipman氏が開発した環境発電機は、ガリウムインジウムという2つの液体金属を、柔らかく弾性のあるヒドロゲルで包んだもの。

ヒドロゲルに使われている水には、つまりイオンが含まれており、金属の表面に集まったイオンはコンデンサーに似た電気二重層を形成するとのこと。ヒドロゲルをねじるなどして金属を変形させると表面積が増え、誘導する電荷が大きくなります。これをデバイスに接続させることで電気を利用できるわけです。

新開発されたデバイスがどんなものなのかは以下のムービーから確認可能。

Energy Harvesting Using Liquid Metals – YouTube
[embedded content]

まずはヒドロゲルをケースの上に広げて…


UVランプの下に置きます。


ヘラですくうと、液体だったものが、てろんとしたゲル状になっていました。


この上に液体金属をのせていきます。


さらにゲルになる前の液体をのせて……


再びUVランプの下に。


これで、ゲルの中に液体金属が閉じ込められた状態に。ランプの下から取り出してヘラですくいます。


ヒドロゲルは柔らかく弾性があるので……


かなりの長さにまでなります。中に入っているのは液体金属なので、ヒドロゲルの変形に伴い、形が変わっていきます。


ねじってもOK。


金属のワイヤと接続することで環境発電を実現します。


電気二重層コンデンサ(ELCD)を使ってエネルギーを作り出す技術はこれまでも開発されてきました。Dickey氏の開発したデバイスのユニークな点は、その柔軟性と、水中でも利用可能という点にあります。デバイスは非常に柔らかく、ヒドロゲルは元の長さの5倍にまで延ばせる柔軟性を持つため、さまざまな用途が考えられるとのこと。また水に強いことで医療・人工皮膚・海洋研究など、他のデバイスでは実現できない用途が考えられます。加えて、製造が非常に簡単だという点もポイントです。

ただし、このデバイスはまだ概念実証のレベルであり、安定性やエネルギー変換効率といった点で課題を抱えています。Dickey氏は今後、このデバイスを使って風、海、波といった環境からエネルギーを生み出す具体的な方法とともに、デバイスの電力密度を高める方法を調査していくとのことです。

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