脳に電気刺激を与えることで記憶力が向上するという研究結果

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2日前の晩ご飯を思い出せなかったり、試験のために必死に覚えたはずの言葉を思い出せなかったりと、人間は記憶したものを忘れてしまうことがしばしばあります。イギリスの研究者らは、記憶力の向上に「脳の特定の部位に電気刺激を与えることが有効」である可能性を示し、論文を発表しました。

Stimulation of the left dorsolateral prefrontal cortex with slow rTMS enhances verbal memory formation
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3001363


University of Glasgow – University news – Magnetic stimulation of the brain can improve episodic memory
https://www.gla.ac.uk/news/headline_812671_en.html

Magnetic Stimulation Can Help The Brain to Remember, New Evidence Suggests
https://www.sciencealert.com/a-certain-type-of-magnetic-stimulation-could-help-the-brain-remember

グラスゴー大学のサイモン・ハンスルマイヤー教授らは、人間の脳の「左背外側前頭前野(DLPFC)」と呼ばれる部位が記憶の形成に深く関わっているという複数の研究に着目。DLPFCに刺激を与えることで記憶をサポートできるのではと考え、実験を行いました。

ハンスルマイヤー氏は40人の被験者に対し、複数の単語を覚えさせるという簡単なテストを実施。被験者らに単語を記憶させたあとに別の短いタスクを行わせ、その後単語を思い出すよう指示しました。被験者らが単語を記憶する際、被験者の半数には頭頂葉に、残りの半数にはDLPFCに1Hzの反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を加えました。


その結果、DLPFCに刺激を受けたグループは、頭頂部に刺激を受けたグループと比較して、よりテストの結果がよくなったことが明らかになりました。また、実験中に記録された脳波データを調べたところ、DLPFCに与えられた刺激が注意と知覚をつかさどる頭頂葉の活動を抑制していたことが判明。ハンスルマイヤー氏は「刺激によりDLPFCが他の部位を抑制したことで、記憶力が向上したようだ」と結論付けました。

rTMSで脳に刺激を与えるという手法はうつ病などの治療に効果が期待されており、新たに記憶障害などの神経学的な症状に変化をもたらす可能性があるとして期待されています。ハンスルマイヤー氏は「脳のどの部分を刺激したら最良の効果を得られるか」という点について、今後も研究を続けていくとのこと。ハンスルマイヤー氏は「これらは複雑ですが興味深い効果であり、神経基盤をよりよく理解するためにさらなる実験が必要です」と述べました。


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