今週のメルマガ前半部の紹介です。サントリーの新浪社長が経済同友会のセミナーで「45歳定年制度」を提案したことが大きな話題となっています。
というか「45歳でクビになったらどうやって生きればいいんだよ!」みたいにいきってるオッサンが多数派のように見えますね。ま、はっきりって最高にダサいですね(苦笑)
だって「私は給料分の貢献できていないので再就職難しいです」って自覚してるってことでしょ?いい年こいて今まで何やってたんですかね(苦笑)
大人なんだから「45歳定年?面白い!!今までの社会経験で本当にやりたいことが見えてきたので、もう一度就活する気持ちで頑張るぜ!」ぐらいのことは言えっつうの(笑)
最近「親ガチャで人生決まるから努力したってしょうがない」という若者をたたいてる人が多いんですが、筆者に言わせれば「配属ガチャ、上司ガチャ、会社ガチャ」のせいにして自分では何にも努力してないオッサンの方がはるかにダサいです。
日本の労働生産性が主要先進国で統計取り始めて以来40年以上最下位というのは割と有名な話ですが、そりゃそんな大人を会社の中でいっぱい養ってるんだから当然ですね。ま、70歳雇用努力も義務化されちゃいましたからそういう人たちの賃金は今後どんどん下がるでしょうけど。
さて、その45歳定年制度ですが、本当に実現するんでしょうか?実現するとすればいつごろでしょうか?そして、実現後にはどういう社会になるんでしょうか。すべてのビジネスパーソンに関係する重要なテーマについて、今回はまとめておきましょう。
45歳定年制度は導入されないけど45歳あたりで人材は流動化する
結論から言うと、“45歳定年制度”は絶対に実現しません。なぜかというと実社会でいろいろな政策を議論している人たちの間でだれも取り上げていないからです。
いずれ実現しそうな政策というのはすでに水面下で熱い議論が行われているものですね。あ、ちなみに解雇規制緩和については細々ながら続いていますね(苦笑)
ただし、そう遠からず「45歳あたりで転職するか、それともそのまま現職で頑張るか」というテーマ自体には、すべてのビジネスパーソンが正面から向き合わねばならなくなるでしょう。
なぜか。それは日本企業には「55歳定年の時代に採用したバブル世代あたりの中高年」を70歳まで雇用し続けることはどう考えても不可能だからです。
4月に施行され、企業へ70歳雇用の努力義務を明記した高年齢者雇用安定法の改正がトリガーだったというわけです。
で、企業はすでに40代以降の流動化に舵を切っています。パナソニックの最大4000万円割増退職金が有名ですが、ああいう黒字リストラがそうですね。
なんて書くと「でもああいうのは無視してしがみつけば問題ないだろう」なんて思う人もいるでしょうけど、はっきり言って甘いです。
高額の手切れ金を会社が用意してくれるということは、裏を返せばそれが「会社の提供できる精いっぱいのラストチャンス」だということです。今後は組織に残ってもベテランだからとか功労者だからみたいな配慮は一切しないということなんです。
昇給はもちろんないし、年相応の管理職ポストを用意してくれるなんてこともない。今後は若くてガッツのある年下の上司の下で一兵卒としてガンガン使い倒していくからね、という意思表示でもあるわけです。
そう考えると、普通の人間だったら「これからのキャリア、人生をどうするか」について真剣に向き合わざるを得ないでしょう。
コロナ禍であっても各社とも想定以上の応募が集まっている背景には、こうした事情があるのです。
【参考リンク】ホンダ、「2000人早期退職」にみる組織変革の真意
まとめると、45歳定年制度というのは制度としては実現しないけれども、実質的に既にスタートしているということですね。そういう意味では新浪さんの発言は政策提言というよりビジネスパーソンへのアドバイスといった色合いのものだと筆者は考えています。
話は変わりますけど、10年ほど前に東大の柳川先生が40歳定年制度を提唱して話題となったことがあります。
「人生100年時代、いずれ70歳まで就労しなければならない時代が来る。そうなると40歳くらいで一度定年し、二度目の就活するくらいの覚悟で臨むべき」というもので、制度ではなくあくまで個人の心構えの話ですね。
まさにそうした状況が実現してしまったわけです。
「早期退職なんて手を上げる奴はアホ、定年まで会社に居座るのが正解」って人は別にそれでいいですけど、会社でこれまでかいた以上の汗をこれからかくことになるのは間違いないでしょう。