共同通信社
立憲民主党の枝野幸男代表は7日、福山哲郎幹事長の定例会見の場で福山幹事長に先だって会見をおこない、「立憲民主党が総選挙で政権交代を果たした場合に、初閣議でただちに決定する事項」として7つの項目を発表した。
発表された内容は、補正予算の編成(新型コロナ緊急対策・少なくとも30兆円)、新型コロナ対策司令塔の設置、名古屋出入国管理局で起きたスリランカ人のウィシュマさん死亡事案や、「赤木ファイル」、森友・加計・「桜」問題などの疑惑解明をめぐるものなど多岐にわたる。
枝野代表は7つの項目を発表した意図について、「政権が替われば何が変わるのか、初閣議でこれだけ変わると国民のみなさんに知っていただくことにつながる」と説明している。
【発言全文】
今日は定例の幹事長の会見に先立ちまして、私の方から発表を1件させていただきたいと思います。総選挙が具体的に近づいてまいりまして、今後も順次政権公約を発表してまいりたいと思いますが、事実上その第1弾となります政権発足後初閣議でただちに決定する事項について発表させていただきたいと思います。
これは政権が替われば何が変わるのか、まず初閣議でもこれだけ変わると国民のみなさんに具体的に知っていただくことにつながるのではないか、ということでまず、この点について整理をさせていただいて発表させていただくことにいたしました。
まず1つめには補正予算の編成を初閣議で指示をいたします。2つ目には新型コロナ対策の司令塔を設置をいたします。3つ目にはすでに概算要求などが出ております2022年度予算編成の見直しを指示をいたします。4つめに日本学術会議人事で、任命拒否されている6名の方がいらっしゃいます。この初閣議でただちに任命をいたします。5番目にスリランカ人ウィシュマさん死亡案件における監視カメラ映像と関係資料の公開を決定をいたします。6番目にいわゆる「赤木ファイル」の関連文書の開示を決定します。7番目に森友・加計・「桜」問題真相解明チームを政府に設置をいたします。
以上の少なくとも7点を政権が変われば間違いなく新しい政権としてただちに決定できるということをみなさんにお約束をさせていただきたいというふうに思っております。もちろん初閣議でこの7点だけを決めるわけではございませんが、現時点国民のみなさんの関心も高い、そして明確にお約束ができる7点を選ばせていただきました。
1個ずつ若干の補足をさせていただきますが、すでに新型コロナウイルス感染症の感染防止と事業・生活支援のため、緊急かつ当面の手当てとして新しい持続化給付金など少なくとも30兆円規模の補正予算、それについての概要を用意するようにと(泉健太)政調会長と江田(憲司)経済調査会長に指示をしているところでございます。これがまとまりましたら改めてこれも発表することになると思いますが、そこでの方針に基づいて、財務大臣及び各省に指示をいたすことを決定いたします。
2点目でございますが、司令塔。官邸に総理直轄で官房長官をトップとする新たな司令塔、仮称「新型コロナウイルス対応調整室」を設け、その下で権限と役割を整理するとともに、専門家チームも見直し、強化をいたします。政権公約でお示しをさせていただくことになる、従来から申し上げている仮称「危機管理防災局」。役所を作るということには一定の時間がかかります。まずはただちに動き出さなければなりませんので、この対応調整室を中心とした司令塔をまず目の前の危機に対応した上で、感染状況が落ち着いてきたところでこれを危機管理防災局に発展させたいと考えております。
予算編成ですが、すでに概算要求などが出ております。選挙、そして特別国会の時期が11月の半ば以降と想定されます。そこからの来年度予算の編成をゼロから見直すということは大変困難がありますけれども、しかし今進んでいる国民生活に寄り添っていない、時代錯誤の予算編成は抜本的に見直さざるをえません。従いまして、財務省及び各省に対して、概算要求を抜本的に見直すことを決定をし、指示をしたいというふうに思っております。
ウィシュマさん死亡案件の映像と関係資料についてはもう説明するまでもないと思います。この間国会として、野党として政府に求めてまいりました。残念ながら編集されたビデオの一部が遺族に示されただけであります。ご遺族の方にまず全面的にご覧いただいた上で、ご遺族の立場から大変悲惨な部分があるのではないかというふうに残念ながら予想されておりますので、ご遺族のお許しがいただける部分については全面的に公開をしたいというふうに思っております。
「赤木ファイル」についてはまさにまっ黒けの“のり弁当状態”での公開であります。ほぼ全面的に公開をするということで、これについての真相究明の第一歩が明確になるというふうに思っております。
最後は説明の必要がないと思います。政府としてチームを作って、改めてきちっと調査をおこなう。当然のことながら、我々の考える公文書管理と情報公開の基準に基づいて対応させていただきます。
今後発表する政権公約に掲げる各政策、法案、予算措置等も初閣議後、順次もちろん実施をしてまいります。なお立憲民主党としての目玉政策となると予想されているような項目が入っていないではないかというご指摘があろうかと思いますが、これは初閣議で調整なく指示、決定が明確にできることについてお示しをさせていただいています。
例えば我々は選択的夫婦別姓を目玉の公約の1つとして掲げるつもりでおりますが、これについては例えば普通にやりますと基本法の改正ですので、法制審議会の審議を経て、法務省のプロセスを経て政府として決定するというプロセスになります。そうしたプロセスを飛ばしていいものかどうか、あるいは場合によっては閣法ではなくて議法でやることも考えてはいいのではないか。こうしたことは政権獲得段階でその時点で任命される法務大臣とも、あるいは各党とも調整しながら決めていくということになりますので。
この初閣議で何らかの決定をするのではなくて、そうした調整を速やかに解消するということになりますので、そうしたものについては入っていない。つまり国会予算等の具体的な中身を伴うことについては、今回あえて入れていない。我々、私も(福山)幹事長も官房長官、副長官として閣議や政府のプロセスをすでに経験をして、十分承知をしておりますので、その中で初閣議で明確に決定できることということをピックアップさせていただきました。私の方からは以上です。