女優を次々毒牙に 榊英雄の鬼畜 – 渡邉裕二

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映画『蜜月』公式サイト

今月25日から公開される予定だった映画「蜜月」の上映が中止になった。その理由は、同作を手がけた榊英雄監督による出演者への「性行為強要」というのだから前代未聞の出来事である。

キッカケは〝文春砲〟。映画出演やワークショップに参加した女優に対して、「監督」という立場を利用して性行為強要を繰り返してきた過去が暴露されたのだ。映画関係者が言う。

「榊の監督した映画作品に出演したり、ワークショップに参加したりした4人の女優がレイプまがいに性的関係を強要されたと告発したのです。それも映画出演をちらつかせて関係を迫ったと言うのです。その告発について榊は、一部は否定しながらも、その事実はあっさりと認めてしまったわけですから、もはや〝容疑〟とは言えません。

榊の行為は強要というよりも鬼畜そのもの。監督という優位的な立場を悪用しての行為は許されるものではありませんし、さらに驚くのは今回、中止になった映画『蜜月』です。何と、その内容は女性の性被害をテーマにしたもので、もはや悪い冗談としか言いようのない話です」

榊は、昨年4〜5月に名古屋テレビ(メ〜テレ)で放送したジャニーズの5人組アイドルグループA.B.C-Zが主演する学園ドラマ「ワンモア」(全7話)や来月15日から公開を予定している山田裕貴と安田顕のダブル主演映画「ハザードランプ」などを監督してきた。

一方で俳優としても活動。10年前にテレビ朝日で放送していた「特命戦隊ゴーバスターズ」に司令官役で登場した他、NHK大河ドラマ「西郷どん」や「いだてん〜東京オリムピック噺〜」などにも出演している。まさに監督と役者の〝二刀流〟で活躍する注目株だったのだが、実際のところは「監督としても俳優としても一般的な知名度は低いので、ビジネスにはなりにくい」(映画業界関係者)と評価は低かった。

榊英雄監督は「性に飢えた鬼畜」

それにしても、榊の所業は日本映画界に汚点を残す結果となった。

告発した4人の女優の中で2人は東京・渋谷の道玄坂にある居酒屋で飲食を共にした後、暗がりの路地に引きずり込まれての性行為だった。

「1人は強引に下着を脱がされ避妊具もせずにレイプまがいの性行為をされたと言います。もう1人は口淫だったようですが、その後、JR渋谷駅で別れる間際にポケットからクチャクチャになった1000円を取り出し、彼女に手渡すと何も言わずに立ち去って行ったそうです。もはや映画監督と言うより性に飢えた鬼畜です。しかも、否定の仕方も(手渡したのは)1000円ではなく5000円だった、と言うのですから言い訳にもなっていません」(芸能記者)

ワークショップでは女優志望の女性の中で気に入った子がいると、(俳優でもあることから)芸能界での力を誇示したり、自身の映画出演や演技指導を口実に事務所に呼び出したりし、性行為を要求していた。

「榊にとってワークショップや映画製作というのは手っ取り早く相手を探せる場でしかなかったのです。彼は、俳優として恵まれなかった時に、女優の片岡礼子から『自分で監督したら主演になれる』と言われたそうで、それが映画監督になるキッカケになったようですが、思い込みが激しいのか、いつの間にか自分の監督する映画なんだから何をやってもいいと思うようになってしまったのかもしれませんね」(前出の芸能記者)

かつて「おはスタ」(テレビ東京)でも活躍し、現在もタレントとして活躍する1人は「榊さんって、本当にヤバい人だったようです」と前置きした上で、自らの体験を振り返った。

「『アクターズ・ヴィジョン』と言う映画俳優を育成するワークショップで榊さんと知り合ったのですが、エレベーターの中で2人になったら突然キスをしてきたことがありました。ビックリして『無理!無理!』って叫んだら、『お前、女優になりたいんだろ』って。

で、思わず開催者の名前を出したら、急に笑い顔になって『冗談だよ、冗談だから』『そんなに怒んなよ』なんて言い出したんです。でも、エレベーターの中で…信じられますか? 後で、いろいろな噂を耳にしたのですが、ワークショップには沢山の女優志望者が参加していたので、今思うとゾッとしています」

ちなみに、榊は2005年にシンガーソングライターの橘いずみ(現在は和と改名)と結婚、2人の娘に恵まれている。

「橘いずみは、尾崎豊さんや浜田省吾を手がけてきた当時、ソニー・ミュージックエンタテインメントの須藤晃さんのプロデュースでデビューしたことから、音楽業界では〝女・尾崎豊〟などとも言われていました。今回の騒動で、榊は『不倫行為に関しては妻にも謝罪し、許してもらっております』なんて言っていましたが、榊の行為は不倫とかではではなく、レイプであって犯罪です。場合によっては強制性交の容疑になり、逮捕も免れないのではないでしょうか」(芸能関係者)

2017年にハリウッドで起きた映画監督からの性被害告発

ハーヴェイ・ワインスタイン/Getty Images

その一方、榊の性行為強要は映画業界では「氷山の一角」なんて声もあるが、今回のように「告発」の原動力となった背景には2017年に米国から起こった「#MeToo」運動が大きい。

この運動の契機となったのは米ハリウッドの元大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインからの性被害だった。

「2017年10月5日にニューヨーク・タイムズのweb版がワインスタインによる悪質な性暴力、セクハラ疑惑を報じました。被害にあった女優のグウィネス・パルトロウやアンジェリーナ・ジョリー、ユマ・サーマンなどが実名で被害経験を語り始め、その後、実に90人以上がワインスタインからの性被害を訴える事態に発展、その動きは映画界のみならずエンターテインメント業界全体に広がりました。

さらに、そこに拍車をかけたのが女優のサルマ・ハエックがニューヨーク・タイムズに寄稿(2017年12月)した体験記でした。映画「フリーダ」(2002年公開)の製作時にワインスタインから性暴力とハラスメントを受けたのですが、その内容は『シャワーを一緒に浴びようと求められたり、マッサージやオーラルセックスをしてあげようと言われた』などと生々しく描き、精神的な苦痛とその後のトラウマが詳細にわたって記されていました。

そのような告発によってワインスタインは被告人となり、2020年3月にニューヨーク州裁判所は禁錮23年を言い渡しています。そうした意味で言うなら榊の犯してきた行為というのは、ワインスタインの日本版とも言えます」(芸能関係者)

いずれにしても、それまでマインドコントロールのように「当たり前」だと思われていたことが、1人の勇気のある告発によって「それは間違いだった」と言うことに気付かされる時代になったのである。

「ワインスタインは自分の行為について『合意があった』と無罪を主張していましたが、法廷では『私は非常に混乱している』とも述べていました。自身の行動は反省していても、最終的に自分に都合のいい発言をする。おそらく榊も同じでしょう。彼の元を訪れる女優は多かったはずで、いつの間にか映画監督と呼ばれることに心酔し、自分には力があるんだと勘違いしてしまっていたのだと思います」(プロダクション関係者)

監督映画が予定通り公開される事に違和感

映画『ハザードランプ』オフィシャルサイト

一方、ここで気になるのは榊が監督してきた映画作品である。

「蜜月」はさすがに公開が中止になったが、前述した山田裕貴と安田顕のダブル主演映画「ハザードランプ」は予定通り公開されると言う。

同映画の製作委員会は公開に際して「報道されている性加害、ハラスメントは、事実であれば決して許されないこと」としながらも「映画は多くのスタッフ、キャストなど関係者の労力と協力の下、共同作業で製作されております。関係者の尽力に報いるためにも、また映画の公開を望んでくださっているお客様のためにも、映画『ハザードランプ』を劇場公開したいと考えています」とホームページで公開した。

しかし、この製作委員会のコメントに対し、業界関係者の中には「(榊監督に対しては)断固非難すると言いながら、実は目を逸らし、出来るだけ曖昧に済ましてしまいたいという無責任な考えを持っていることを露呈させてしまった」と疑問を投げかける声も多かった。

例えば、アーティストや俳優が覚醒剤使用などで逮捕されるとよく耳にするのが「作品には責任はない」と言う意見だ。しかし、

「覚醒剤を使用して作品作りをしていたら、それは作品にも関係してくると思います。少なくとも覚醒剤の力を借りていたわけですから、関係ないとは言い切れないのではないでしょうか」

業界関係者は、そう指摘すると、今回の「ハザードランプ」の製作委員会の対応についても、

「映画製作は多くのスタッフによる共同作業であることは確かですが、実際には『映画は監督のもの』と言われています。結局のところ、自分達の都合が悪くなると他の出演者、スタッフ、さらには観たい客もいるなんて言い出す。しかし、それは社会通念に照らし合わせても非常識です。

そもそも、コメントの中で榊監督の行為を『事実であれば』としているところも無責任です。少なくとも榊は認めているわけですからね。例えば高校野球でも、もし選手が不祥事を起こしたら、その高校の野球部は甲子園はもちろん、どのような試合でも出場は辞退、活動も停止です。それが社会的責任でもあります。ところが、今回の映画の場合は製作スタッフや出演者でもなく、もっとも要の監督です。さらに言うなら監督の起こした責任は製作委員会の責任でもあります」

結局は、映画界の現場の認識の乏しさが、榊のような輩を野放しに、強いて言えば性被害者を生み出してしまっていたのかもしれない。

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