TikTok 内の人気ハッシュタグ、ユニリーバがスポンサーに。初のグローバル展開で世界規模のキャンペーンへ

DIGIDAY

TikTokは、ユーザーのあいだですでにトレンドであるハッシュタグのスポンサーとなる広告主を探している。

従来、広告主がトレンドになっているトピック、つまり#BookTokや#CleanTokといったハッシュタグとの結びつきを築くには、独自のコンテンツを制作する必要があった。だが、いまや勢いを得てバイラル化している話題とブランドの結びつきを、公式なものにすることができる。もちろん対価を払えばの話だ。

価格は不明(TikTokは詳細な情報を開示していない)だが、こうしたハッシュタグのスポンサー契約が安くはないのは明らかだ。なにしろ、TikTokのトレンドバナーに表示される一般的なブランドハッシュタグは、わずか6日間の掲載で15万ドル(約2170万円)もするのだから。

「我々はずっと(コミュニティ主体のパートナーシップに)関心をもっていたが、大量に展開できるものではない」と、TikTokで英国およびアイルランドのコンテンツパートナーシップを担当するルーシー・バンクス氏は語る。「極めて希少性が高く、また一体性や我々のアジェンダとの整合性が求められる。コミュニティから本当に愛されるものでなければならない。そして、こうした取り組みをともに進める相手は、ここ以外にないという完璧なパートナーでなくてはならない」。

ユニリーバがTikTokで最大級コミュニティのスポンサーに

こうした厳格な基準を考慮すると、これまで提携が比較的少なかったこともうなずける。実際、最初の提携は約1年前、AmazonがTikTokの文学コミュニティをターゲットに#BookTokのハッシュタグのスポンサーとなったものであり、この時の展開は英国のみだった。

そして当然ながら、今回のパートナーシップ第2弾はもっと大規模だ。TikTokは、同アプリで最大級のコミュニティである#CleanTokハッシュタグのスポンサーとして、ユニリーバ(Unilever)と世界規模の契約を結んだ。このハッシュタグは、クリエイティブエージェンシーのグラビティロード(Gravity Road)およびメディアエージェンシーのマインドシェア(Mindshare)のサポートを受けている。

これにより、ユニリーバがTikTokで最大級のコミュニティに直接アクセスし、インサイトを得ることが可能になった。#CleanTokの再生回数は実に793億回を超えており、このうち350億回は2023年3月までの12カ月間に再生された。比較対象として、同じくTikTokで最大級のコミュニティとされる#BeautyTokの再生回数は、現在のところ499億回にとどまっている。

「人々が掃除についてインスピレーションを得る場所はここ(TikTok)だと確信している」と、ユニリーバのホームケアブランドで最高マーケティング責任者を務めるエドゥ・カンパネッラ氏は述べる。「インスピレーションを得たからといって、必ずしもすぐに購入につながるわけではない。我々はTikTokのオーディエンスのあいだでのブランド力を高めたいと考えている。そして、我々の取り組みのすべては、最終的にコンバージョンにつながる」。

効果測定の課題にも取り組む

このパートナーシップは、英国、ベトナム、トルコなど10の市場で2024年1月までの40週間にわたって継続される予定であり、現在は「Sunday Reset(日曜日のリセット)」や「Cleaning Conundrum(お掃除の難問)」といったTikTokのグローバルトレンドを意識した、共同制作のさまざまなシリーズコンテンツが発信されている。さらに「#CleanTok Awards」と称して、コミュニティで最も役に立つ魅力的なコンテンツやクリエイターを表彰する独自の試みもおこなわれている。

ユニリーバのスポンサーシップを受けた#CleanTokハッシュタグには、10の市場を合わせて約100人のクリエイターが参加を予定。彼らは全員が掃除のエキスパートというわけではないが、家の掃除は誰にとっても重要だという考えから、コメディアン、美容ブロガー、フィットネスブロガーまでもが参加する、極めてインクルーシブなコンテンツとなっているのだ。

こうした各クリエイターの効果測定は、それぞれのパフォーマンスが大きく異なるために難しいものになるだろう。だが、ユニリーバにとって今回のキャンペーンは、ソーシャルメディアとの過去最大級のパートナーシップであり、測定の問題についても解決に向けた努力がなされている。

「このパートナーシップは、リーチ単価の改善を目指す大規模プロジェクトとともに動いている」と、カンパネッラ氏は言う。「そのため、可能なかぎり効率化をめざすアプローチで、このキャンペーンの測定を行っている」。

TikTokの狙いはコミュニティとブランドの結びつけ

つまり、これはブランド構築の手段なのだ。ハッシュタグは、人々がTikTok上で特定の話題を手早く検索するための手段ではあるが、TikTokは検索行動そのものを収益化するつもりでハッシュタグを売りに出したわけではない。

むしろ同社はこの契約を通じて、プラットフォームで最も活気あるコミュニティとブランドを結びつける、キューピッドの役割を演じようとしているのだ。この方法は必ずしもスケーラブルとは言えないが、TikTokならではのやり方でクリエイターを活用して稼ぐ、収益性の高い方法になるかもしれない。

メカニズム(Mekanism)のパートナーおよび最高ソーシャル責任者を務めるブレンダン・ガハン氏は、「このケースにおいて(TikTokは)コミュニティに積極的に参加し、クリエイターのエンゲージメント増加の取り組みに直接的に手を貸すことで、(ほかのSNSとの)差別化をはかっているようだ」と指摘する。「対照的に、YouTubeやメタ(Meta)はコミュニティの重要性を強調しつつも、それらを活性化させる取り組みはパートナー任せにする傾向にある」と、同氏は述べた。

[原文:TikTok’s on the hunt for brands to reach its most popular communities as Unilever leads the way

Krystal Scanlon(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:島田涼平)

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