Google Pixel 5aレビュー:ミッドレンジスマホ王者の風格

GIZMODO

最低限があればいい。

そんな人にオススメ。私はふだんはiPhoneを使っているのですが、ソフトウェアの翻訳のお仕事でAndroidが必要になることが多いので、Pixel 3をサブ機にしています。とても使いやすくて気に入ってます。特に背面の指紋認証は指が届きやすく、反応も良し。ベーシックなところもとてもいいです。その後継機種ということで、米GizmodoのSam Rutherfordがお送りする最新のPixel 5a のレビューを翻訳してみました。


Pixel 3aのリリースからミッドレンジスマホ商戦に本腰を入れてきたGoogle(グーグル)。廉価スマホの代名詞的な立ち位置を獲得した感がありますね。肝心の端末のほうも性能がどんどん向上しています。Pixelだけでしか使えないソフトに加え、大きくなった画面、耐久性の向上、耐水性保証…とPixel 5aにはうれしい追加機能が盛り込まれています。これがまたグーグルっぽさに拍車をかけていて、Motorola(モトローラ)でもない、OnePlus(ワンプラス)でもない、まさにミッドレンジスマホの王道を行く機種に仕上がっています。価格も450ドル(日本国内価格:5万1700円〜)に抑え、Pixel 5aはグーグルが今まで展開してきたスマホでも、最も価値ある機種になりそうです。

デザイン:良い意味でベーシック

今までのPixel Aシリーズの中でも、Pixel 5aほどシンプルなスマホはありません。2400×1080 のOLEDディスプレイ、ステレオスピーカーが付き、カメラはパンチホールのセルフィーカメラにふたつのリアカメラ、USB-Cポート、背面に配置された指紋センサー…。現行スマホに期待される機能はすべて盛り込まれています。特筆すべきは、Pixel 5aには 3.5mmのヘッドホンジャックがある点(残念ながらmicroSDカードのスロットはなし) 。

Google Pixel 5a

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Photo: Sam Rutherford

これは何?:グーグルから2021年リリースのミッドレンジスマホ。

価格:450ドル(日本国内価格:5万1700円〜)

好きなところ:廉価。驚くほどのバッテリー持ち時間。カメラの品質。新しい防水機能。シンプルなデザイン。グーグルPixelだけのソフトウェア。ヘッドホンジャックがある。

好きじゃないところ:ワイヤレス充電がない。サイズが大きくなった。ミリ波に対応していない。

だからといってアップグレードがまったくないわけではありません。Pixel 5aにおいて、この半導体不足の中でグーグルは非常に賢い戦略を敷いています。 対角の大きさが6.34インチのPixel 5aは、Pixel Aシリーズのスマホの中でも最大サイズ。テスト環境では800ニトをたたき出した輝度も自慢です。小さなスマホ好きの方には申し訳ないけど、画面が大きくなってゆったりしたPixelも悪くないです。

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Photo: Sam Rutherford

筐体についても刷新しており、金属製のシャーシにマットブラックのプラスチックシェルを載せた外観は、ソフトなタッチが心地よい一方で強度もレベルアップ。また、Pixel Aシリーズのスマホでは初の防水規格「IP-67」 を搭載。生活上で水を使う場面でもスマホを惜しみなく使えるし、トイレに落としても大丈夫。さらに、Pixel 5aに搭載された2台のリアカメラはどうやらPixel 5と同機種のよう(この点については後半で追記します)。つまり、欲しい機能、または必要な機能がすべてが付いているミッドレンジスマホと言ってもいいかもしれません。ただし、ワイヤレス充電は付いていません(あればいいなと思いますが、まあなくても機能的には妥当でしょう)。

ひとつ注目したいのは、Pixel 5aには充電アダプタが同梱されるという点。次の機種では充電アダプタが同梱されない可能性があります。 他のスマホ製造会社と同様、グーグルも電子廃棄物を削減する目的で同梱物を減らすことを計画しています。多くの人たちがすでにUSB-Cケーブルを所有しているため、同梱物は無用の長物となる可能性が高くなってきています。時代の流れと言ってもいいでしょう。アダプタの同梱はこれが最後かもしれません。

パフォーマンス:チップは1年前のもので十分

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Pixel 5a の側面ボタン。Photo: Sam Rutherford

世界的な半導体不足の煽りを受けたのはプロセッサ。だから新しいSoCにアップグレードする代わりに、Pixel 5に使用したクァルコムのSnapdragon 765Gをそのまま採用しています。機能的にはこれで十分。だってミッドレンジなんだからパワーハウスじゃなくてもいいわけだし、765G(メモリ6GBとストレージ128GB)はベンチマークを支えるのに十分。TCL 20 Pro 5G などの他のミッドレンジと比較しても遜色ない内容です。マニアのゲーマーでもない限り、アプリやゲームをスムーズに使いこなすには十分。それだけあればミッドレンジに期待されるものはすべて網羅できます。

ひとつだけ難を言うならば、ミリ波が使えなくなる点。Pixel 5ではmmWave(ミリ波)とサブ6GHz 5Gの両方をサポートしていました。同じチップを使用しているのにもかかわらず、Pixel 5aがサポートするのはサブ6GHzだけ。サブ6GHzが使えるのはうれしいですが、ミリ波で使える1000Mbps+ ダウンロードスピードの恩恵は受けられないというわけです。

カメラ:値段以上の価値あり

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Pixel のカメラアプリ。Photo: Sam Rutherford

グーグルのPixel Aシリーズが他のミッドレンジスマホを凌駕するところはカメラ。Pixel 5とはカメラの配置がほぼ同じであるにも関わらず、Pixel 5aのカメラは価格のもっと高い他のスマホと比べても優れています。グーグルがズームレンズの開発にもっと力を入れてくれればうれしいんですが、グーグルの「Super-Res Zoom」は画像の質を下げずにズームできるのでまあまあ使えます。

光がありすぎる場面では、Pixel 5aの12メガピクセルのワイドレンズと16メガピクセルのウルトラワイド・アングルレンズは、一貫してリッチで露出の高い画像を撮影でき、Samsung(サムスン)のGalaxy S21と機能比較した場合にも劣ることはありませんでした。近くのレストランでテスト撮影をしましたが、Pixel 5aとS21では、いずれも鮮やかな色彩の生き生きした写真を撮ることができました。 ただ、ズームインしたときに、Pixel 5aの写真は、下のフライドポテトの写真を見ていただけばお分かりのように、よりシャープに細部を捉えています。でも、私の印象に残ったのは直射日光下で撮影した花の写真です。 S21の写真も悪くはありません。ただ彩度が過度に強調され、細かい部分をキャプチャしきれていません。

また、暗くなるとPixel 5aのNight Sightプロセシングが機能してくれます。この機能は数あるスマホの中でも秀逸な機能で、特に光があまりない環境でその真価を発揮してくれます。夜に街の様子を撮影したとき、Pixel 5aとS21の写真はいずれも甲乙つけがたいものでした。その中でも目に留まったのは、近くの庭園で撮った写真。人間の目ですら細かい部分を見わけるのが難しい環境で、Pixel 5aはシャープに細部まで驚くほどカラフルに映し出していました。S21では黄色くなってしまっている部分もうまく色味を抑えています。

で、Pixelのソフト面は?

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Pixel 5aのUSB-Cポートは下部に、ヘッドホンジャックは上部に。Photo: Sam Rutherford

それでは、ソフトウェアはどうでしょう。通常Android携帯について書くとき、私はあまりソフト面には触れません。だって今ではどんなスマホでもベーシックなとこはしっかりと抑えられているから。ただし、グーグルは違います。Pixelだけでしか使えない機能が多々あるのです。「Personal Safety」アプリに、「Call Screener」「Live Captions」 などなど。これだけを見ても、Pixelは最先端のAIパワーを余すところなく提供してくれるスマホといってもいいでしょう。この3年間でOSやセキュリティはアップデートを繰り返しています。数年もすればアップデートをやめてしまう会社が多い中、サポートも十分だと言えます。

バッテリーの持ち時間:素晴らしいの一言

正直言って、Pixel 5aのバッテリーの持ち時間は驚異的に長いです。動画の流しっぱなしテストをしたときには、壊れているのかと思ったほどです。なので同じテストを3回行って、ようやく機能の素晴らしさに感嘆することになりました。平均的なバッテリー寿命は18時間18分。Pixel 5aはこれまで見てきたスマホの中でも、バッテリーの持ち時間が最も長いスマホです。少なくとも今年見てきたスマホの中では最長の時間を誇ります。大きな画面は万人が好むものではないのですが、サイズが全体的に大きくなったということは、バッテリーを載せる場所も大きくなったということ。Pixel 5aにおいては、この仕様変更は吉と出たようです。

ミッドレンジの価格帯、これを買わずして何を買う?

実は今までやってこなかった比較で、ぜひやってみたいものがあります。それはPixel 5aとXiaomi(シャオミ)やOppo(オッポ)などの中国製の高スペックスマホとの仕様比較。でも、やってこなかった理由は明確なんです。これらのスマホは同じカテゴリではないから。5万円以下で買える高スペックスマホは確かにありますが、米国ではこれらの中国製は正規では手に入りません。なので米Gizmodoでは比較するのもナンセンスというわけ。

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Pixel 5a のカラバリはブラックのみ。でもグーグルでは楽しいケースを販売してます。写真は「Likely Lime」。 Photo: Sam Rutherford

世界の半導体不足が引き続き懸念されるため、Pixel 5aは米国と日本(ソフトバンク)のふたつの市場でのみ発売されます。ということはPixel 5aのライバルは、中国のVivo(ヴィーヴォ)でもなければRealme(リアルミー)でもないというわけ(日本でもこの2ブランドは正規販売されていません)。ただ、少し比較してみると、中国製のスマホはプロセッサとメモリに比重を置いている一方で、Pixel 5aはシンプルさと操作性に重きを置いています

Pixel 5aはスマホにあるべき最も重要な基礎を備えています。優れた画面、素直なデザイン(5aから防水付き)、考え抜かれたソフトウェア、最近のスマホの中では抜きん出て長いバッテリーの持ち時間。むしろ、他のスマホを購入する理由が知りたいくらいです。

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