刻々と変化する状況のなか、広告主たちが買い物客にリーチするための方法を求めるようになった。それにつれ、フルファネルマーケティングに関する話は、業界全体における、ざわめきから熱狂へと変化している。
COVID-19のパンデミックによる不確実性、高まるデータプライバシーの変化、そして混み合ったデジタル市場において広告主は買い物客に見てもらうため、彼らが存在する場所に広告を表示させるため、より多くの方法を展開しようと試みている。
この2年間、婦人服ブランドのアスリータ（Athleta）は、オンラインコミュニティとモバイルアプリのアスリータウェル（AthletaWell）を通じて、買い物客とのダイレクトな関係構築に取り組んできた。同社の最高デジタル責任者、キム・ウォルドマン氏によると、これはブランド認知度を高めるだけでなく、顧客に関する洞察をより有効的に活用するのに役立つという。
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米DIGIDAYは最近ウォルドマン氏に会い、マーケティングとコミュニティ構築の交わりについて、そして同社にとってモバイルとオンラインコミュニティの次は何かについて話を聞いた。
このインタビューは、読み易さを考慮し若干の編集を加えている。
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――アスリータはどのようにして同社のデジタルエコシステムを強化しようとしているのか？
我々は、自社でデータを収集し、顧客と双方向の対話を構築することよりもさらに一歩踏み込んで、顧客が実際に意見を提供し、ブランド自体の参加者になるように招き入れることを考えている。この夏ローンチしたアスリータウェルというコミュニティプラットフォームは、その重要な例だ。
顧客とダイレクトな関係を築くというのが根幹だ。このアプリは、あたらしい毎日のコンテンツとパーソナライズされたプッシュ通知を使ってコミュニケーションの頻度を上げることで、それを可能にしている。また、デジタルとリアルのあいだを統合する役割もある。どこに行っても人々は携帯電話を手にしており、アプリはそのなかで、ホーム画面に表示されている。オンラインでの買い物から実店舗での買い物へと移行し、その店舗でどのような商品が手に入るか、ウィッシュリストを作成するなど、その環境でユーザーを支援することを考えると、非常に重要な橋渡しになる可能性を持っている。
――現在進行中のパンデミックは多くの不確実性を生んでいる。デジタルマーケティングへのアプローチにどのような影響があるか？
我々の場合、必ずしもパンデミックと結びつけて考えることはしていない。しかし、さまざまな理由から、フルファネルマーケティングがますます重要になってきていると思う。上位ファネルとブランド認知のためのメディアへの投資が下位ファネルのパフォーマンスにどのような影響を与えるかについて、より多くの時間を費やして考えている。
明日の売り上げを伸ばすことでなく、フルファネルのブランドバリューについて、またそれをより多くの顧客にどう伝えるか、について考えることでもある。これは、即時のセールス戦略を考えることに加えて、ブランドストーリーを伝えるうえでのより包括的なアプローチだ。
――では、デジタルマーケティングとコミュニティー構築の取り組みが、いまなぜ重要なのだろうか？
もっとも重要な道筋は、ブランドとしての現在位置と、2023年までにビジネスを倍増させ、成長を加速させるための道筋だ。長いあいだ、我々はカタログファーストのビジネスであったが、いまではデジタルウェブに注力している。そのことは確かに我々のメディア戦略の判断材料となっている。従来のマーケティング環境は進化している。我々のメディアミックスを適切に考え、顧客とどのようにマーケティングを行うかを考えることが重要だ。
――新しいイニシアティブによって、どのような成果が得られたか？
ブランド認知度が大幅に向上し、過去18カ月で顧客ファイルを倍増した。また、より多くのロイヤルティ戦略を推進してきた結果、当社の売上の半分以上がロイヤルティプログラムによるものとなっている。我々は、新しい顧客を意識させることから、どのようにして追加的な支出を促進するかに至るまで、フルファネルで非常に多くのことを考えている。
アプリのプッシュ通知は、顧客とのコミュニケーション手段としてますます重要になってきている。我々にとって、それは大きな投資分野だ。我々のアプリをダウンロードした顧客は、アプリを持っていない同様の顧客に比べて、より簡単にブランドとつながり、50％近く多くの売上を記録した。
我々は以前からモバイルアプリを持っていたが、ここ2年ほどのあいだに、我々にとって非常に重要なものになってきた。アプリのダウンロード数はこれまでの3倍以上になり、この秋にはアプリを再ローンチしている。
KIMEKO MCCOY（翻訳：塚本 紺、編集：黒田千聖）
