候補者の選挙区替え 立民を批判 – 常見陽平

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「草の根民主主義と言っていた政党が、草刈りをしているようにみえる」「15区に移れば、井戸まさえさんは国会議員になれるのですか。長妻さんは、立憲民主党は井戸さんを国会議員にしてくれるのですか」私は長妻昭氏にこう問いただした。感極まり、涙が流れていた。久々に人前で泣いた。

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すでに本人からも発表されたとおり、立憲民主党井戸まさえ氏は東京4区から15区に選挙区が変わる。総選挙直前の発表に、ただただ戸惑っている。いや、一番戸惑っているのは本人だろう。2015年に東京4区の総支部長になってから、彼女はいつも駅前に立っていた。弱い人の立場を理解し、数々の論争でオピニオンを発していた。党内の不祥事に関しても、同調圧力に屈せず発信を続けてきた。大学院で学びなおし、博士号も取得した。

支持者に対する地元での説明会が開かれるというので、10月11日18時に私は蒲田にある事務所に訪れた。井戸まさえ氏と立憲民主党の東京都連会長の長妻昭氏が登壇した。

長妻氏によると、なんとしてでも議席を増やしたいということ、4区は強い現職がいるということ、野党統一候補で闘う流れになっていること、15区は候補者が保守系中心でリベラル系がいないために選択肢になりやすいことなどを説明した。印刷物など資金面でも、さらには幹部の演説などの応援もするという。4区には共産党の新人が立候補する。15区には共産党は立候補しない。

理解はした。しかし、納得はいかない。

では、今まで地元で、近いところで応援してきた人の立場はどうなるのだろう。政党の総支部がなくなることをどうみるのか。会派を離脱した柿沢未途氏への刺客として立てられたようにも見える。

そもそも、本気で女性議員を増やそうとしているのか。東京の選挙区において立憲民主党の女性議員は少ないと言わざるを得ない。実際、そんな質問が出たが長妻氏は「公募はしているが応募が少ない」という。

しかし、このような冷遇ぶりをみていたら、応募が少ないのは当然である。ただでさえ、様々な理不尽を強いられる。当選する、し続けるのは至難の業なのである。複雑な心境になってしまった。「女性議員を増やそう」という掛け声が、不幸な女性をむしろ増やしてしまっているのではないかと(読解力のない人に誤読されないために明記しておくが、だから女性議員を増やすなと言っているわけではない)。

「出馬する」ということがこれほど大変なことなのかと、私は思い知らされた。世襲、芸能人はラッキーだ。優遇される。選挙区、政党、タイミングや体制などの条件について、思い通りにして出馬できる人はラッキーだ。

泡沫候補、諸派と呼ばれる人たちに対する見方も変わった。彼ら彼女たちは、出馬したんだ。できたんだ。しかも自分が望む選挙区で。もちろん主張には賛同できないことも能力・資質が怪しいこともある。とはいえ、彼ら彼女たちは自分で舞台をつくって「出馬」している。

小川淳也氏の映画は『なぜ君は総理大臣になれないのか』だった。井戸まさえ氏は、その前にしばらく国会議員になれていない。

立憲民主党には、ますます複雑な想いを抱いてしまったが、私はこの、大変に不器用で、運のない井戸まさえ氏を応援したい。大田区から、勤務先の市川から何度もクルマを飛ばして駆けつける予定だ。心から同情し、たたかう市民として魂を戦闘的に高揚させたのだ。

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