恒大集団の救済 中国は足踏みか – 飯田香織

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23日のニューヨーク株式市場のダウ平均株価は、中国恒大グループの債務問題への警戒感がひとまず和らいだとして前日より500ドル以上値上がりして取引を終えました。

ただ、支払いを済ませたものの未入居のマンションが160万戸あるということで中国では社会問題にも。

習近平国家主席は「共同富裕」という目標を掲げて格差是正を進めていますが、このままでは多くの一般市民が損失を負いかねないとして、仮に借金を踏み倒す場合には外国投資家が損失を負担するのではないかという見方が広がっているそうです。

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FTはXi Jinping weights future of Evergrande as he targets third term(3期目めざす中国国家主席、恒大の将来を天秤にかける)の中で、異例の3期目をめざす習近平国家主席が中国第2の不動産大手の恒大グループを破綻の淵でフラフラさせるような大きな賭けに出たと伝えています。

仮に救済せずに破綻させると、▼推定3000億ドル(日本円で33兆円超)の債務総額の大きさに加えて、▼60億ドルの理財商品を販売し、▼すでに支払いを済ませたものの未入居のマンション購入者が160万戸相当あるため、全土で多くの国民の生活が直接打撃を受けると指摘しています。

それだけに政権としては破綻は避けたいものの、国家主導で救済する前例をつくれば多額の債務を抱えるほかの不動産会社が同様の要請をしてくることを懸念しているとしています。

習近平国家主席は先月、「共同富裕」という格差是正の内政方針を打ち出したばかりで、恒大の創業者で中国で5番目の金持ちを救済するわけないということです。

BloombergはMajor Evergrande Backer Chinese Estates May Sell Its Shares(中国恒大の大株主、全保有株の売却の可能性も)の中で、中国の恒大グループの大株主の華人置業グループが23日、3170万ドル相当の恒大株を売却したこと明らかにした上で、すべての保有株式を売却する可能性を示したと報じています。

香港証券取引所に提出した資料では、恒大の発行済み株式総数の0/82%にあたる1億0891万株を約3170万ドルで売却し、残る5.66%も手放す可能性を示唆したということです。

これまで支持してきた大株主の退出により、33兆円を超える負債総額と言われる恒大が投資家の信頼に失っている証だとしています。

WSJはEvergrandeIs in Crisis, but a Risky China Still Beckons to Investors(恒大危機にもかかわらず、中国は依然として投資家に手招き)の中で、海外投資家の中には恒大グループの経営破綻が長期的に見れば金融市場にとって健全だという見方がある一方で、リスクが拡大していると見る向きもあると伝えています。

市場関係者は、中国政府が恒大の少なくても一部の債務についてデフォルトさせ、外国投資家がその損失をかぶることになる一方で中国のマンション購入者やサプライヤーを救済すると見込んでいるとしています。

恒大を破綻させた場合のリスクについては、新型コロナウイルスの感染拡大から立ち直りつつある中国経済を持続的に成長させようとしるさなかに金融システムをぐらつかせるだということです。

これまで中国の経済、政治、規制をもと積極的に投資を進めてきたヘッジファンドも最近の急な規制強化について中国の政権内の対立がもとで、習近平国家主席が3期目を目指す来年の共産党大会に向けて経済的なショックが続くと予測しているといいます。

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