新型コロナウイルスが空気中でどれぐらい感染力を保つのか決定する要因が明らかに

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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の主要な感染経路の1つは、空気中に漂うウイルスを含む粒子を吸い込むことによるエアロゾル感染です。このエアロゾルに含まれるウイルスがどれぐらい生存して感染力を保つのかを決定する要因がなんなのかが、イギリス・ブリストル大学の研究によって明らかになりました。

Scientists discover critical factors that determine the survival of airborne viruses | News and features | University of Bristol
https://www.bristol.ac.uk/news/2023/june/airborne-viruses.html


Scientists discover critical factors that determine the survival of airborne viruses
https://phys.org/news/2023-06-scientists-critical-factors-survival-airborne.html

ブリストル大学化学大学院のアレン・ハドレル博士らの研究チームは、次世代バイオエアロゾル技術を開発。吐き出されたエアロゾルを模した浮遊粒子を作成し、低湿度(湿度40%)と高湿度(湿度90%)の環境で、温度、粒子の組成、硝酸などの酸性蒸気の存在といった環境要因がウイルスの感染力にどういった影響を与えるのか、40分間にわたり測定しました。

その結果、変異株は両方とも、低湿度環境では最初の5秒で感染力が約55%低下。また、40分後にはいずれの変異株も湿度に関係なく感染力が95%以上失われたことがわかりました。

調査では、酸性蒸気を除去した場合、感染力の減衰速度は劇的に増し、2分後には感染力の90%が失われることもわかりました。硝酸蒸気を加えると、感染力は改善しました。


ハドレル博士は「今回の研究結果は、吐き出された高pH(アルカリ性)のエアロゾルが、ウイルスの感染力喪失を促進していることを示しています。つまり、エアロゾルのpH(水素イオン濃度)に影響を与えるようなガス、たとえば漂白剤などは、ウイルスが空気中でどれだけ感染力を保つかにも影響を与えるということです。酸性蒸気はウイルスの感染力を維持する働きがあり、アルカリ性蒸気を発生させるアンモニアは、反対の効果をもたらす可能性があります」と述べました。

研究に携わったジョナサン・リード教授は「我々の発見は、環境要因が新型コロナウイルスやその他のウイルスの空中安定性にどのように影響するかについての理解を広げ、感染を減らすためのよりよい安全性と緩和戦略を設計するのに役立ちます。我々はさらに、二酸化炭素が新型コロナウイルスの感染リスクに及ぼす役割やpHの役割を探求するつもりです」と述べています。

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2023年06月21日 19時00分00秒 in サイエンス, Posted by logc_nt

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