ワコムのすべてが進化した液タブ。1/4インチネジ穴搭載で自由に拡張できる

「iPadでいっか〜」を上書きする、ワコムの本気。

デジタルイラスト向けツールを手掛けているワコムの、液晶タブレット「Wacom Cintiq Pro 27」。プロ向けのCintiq Proシリーズであり、ワコムの技術が結集した至高の一台となっています。

ディスプレイ、ペン、それからスタンドにいたるまで、あらゆる点が改良&進化。最近のデジタルイラストはiPadなどのタブレットを使うのがメジャーになりつつありますが、ドッシリ構える液タブならではの魅力もまだ健在だなと感じました。

最高のディスプレイと一新された本体設計

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ディスプレイはリフレッシュレート120Hzに対応し、素早く線を引いてもしっかり追従してくれます。画面サイズは26.9インチ、解像度は4K、表示色は10億7374色、HDRガンマ対応。映像業界基準のDCI-P3カバー率は98%、印刷業界基準Adobe RGBカバー率は99%です。

ちなみにワコムの人に聞いたところ、映像などのグレーディングにも耐えうる色再現性とのこと。輝度が高くないため(液タブは目への健康を考えてあえて最大輝度を下げている)HDR表示には向いていませんが、このディスプレイはレタッチ作業にも使えますよ。

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ベゼルは約20mmとかなり狭くなりました。ワコムの液タブはベゼルが太めだったのですが、ここが狭くなったことで省スペース性に繋がりましたね。実際に絵を描く時はベゼルに手首を置いて作業できるので、太いベゼルが一概にダメってわけでもなかったんですけど。

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本体側面にはグリップ型のExpressKeyが搭載。4つのボタンがあり、握るようにボタンを操作できます。これも今までのExpressKeyは本体上部にあったりリモコン式だったりしましたが、前のめりで絵を描くと自然と画面を握る体勢になるので、かなり理に適った配置。

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背面には端子類。電源端子のほか、映像ポートにはUSB Type-C、HDMI、Mini DisplayPortが、データを読み込むポートにはUSB Type-CとUSB Type-Aが用意されています。写真右側が映像ポートですが、接続するPCがType-Cオルタネイトモードに対応しているなら、ケーブルはUSB Type-C 1本で完結します。

36通りものカスタムが可能な新しいペン

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描画のためのペン「Wacom Pro Pen 3」は、ペン本体のほか、形状が異なるゴムグリップ、重量バランスを変えるための真鍮製バランスウェイト、サイドスイッチの有無を変更できるボタンプレート、それから替芯も通常のものと柔らかなフェルト芯の2種類を同梱しています。なんと豊富な…!

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芯にもこだわりがあり、従来の替芯よりも1mm長くすることで、描画の際にペン先が見やすくなっています。ペン先の形状も従来品よりシャープになっているため、描画においての視認性が大きく向上。これが嬉しい絵描きさん、多いでしょ?

使いやすいペンのサイズ感って人それぞれで、軽いペンが好きな人もいれば太くてずっしりしたペンが好きな人もいます。そこの好みをバランスウェイトやグリップの有無でカスタムできるわけですね。ペン1つとってもこのこだわり、ワコムの本気が感じられますねぇ。

これは神アイディア! 1/4インチネジ穴の搭載

ディスプレイやペンの進化もスゴいのですが、個人的にもっとも「それだよそれぇ!」と思ったのがコレ。

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カメラなどでおなじみの1/4インチネジ穴が、ディスプレイ上辺に2箇所、左右それぞれ1箇所の合計4箇所搭載されているッ! これは本当に素晴らしいアイディアで、マイクを配置すれば雑談しながらお絵かきできるし、カメラやライトを搭載すれば手元配信もしやすい。タブレットを配置してサブディスプレイ的に使うのもいいじゃないですか。

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また、別売の拡張テーブルを使えばキーボードを置くことも(これ最高!)。机に液タブを置くとスペースが狭くなるので、キーボードや資料を置くスペースに難儀することがあります。そのスペース問題、これで解決できちゃうんですよ。キーボードのショートカットキーと液タブ操作を両立させたい人も、この配置で解決できると思います。

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製品発表には『ペンギン・ハイウェイ』の監督を努めたスタジオコロリド所属の石田祐康監督もいらっしゃったのですが、まさにキーボードのショートカットを使いながらお絵かきしていました。キーボードの他にも、例えばiPadスタンドを繋いで動画を流してもいいし、資料を配置してもいいし。やはり1/4ネジ穴、神!

作業スタイルを決められるスタンド

「Wacom Cintiq Pro 27」は別売のスタンドやアームが必須の製品になります。スタンドは2種類ありまして、1つは専用設計された「Wacom Cintiq Pro 27 Stand」。

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高さや角度、回転などがグリグリ変えられる、とてもフレキシブルなスタンドです。金属らしい質感も高級感があり、普通に液タブとして使うならコレが推奨品ですね。

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もう1つは「Flex Arm Adapter」。これは「Wacom Cintiq Pro 24 / 32」専用のエルゴトロン製アームで、今回の「Wacom Cintiq Pro 27」でも使えます。また、VESAマウント対応なので他のモニターアームに繋いでもOK。ディスプレイを縦向きに使いたい場合は、サードパーティ製が選択肢になります。

「ワコムは道具屋であり、究極的には線を作る会社」

代表取締役社長兼CEOの井出信孝社長が述べていたこの言葉が、僕の中に残っています。タブレットやアプリで絵が描ける昨今、液タブはiPadなどよりも用途が限定的ですよね。でも、「ワコムのペンを使うと筆が走る」という体験のために、ワコムは道具としての使い心地にこだわりたいと述べていました。いいねぇ、アツいねぇ。

「Wacom Cintiq Pro 27」の価格は、ディスプレイ本体のみで48万1800円。「Wacom Cintiq Pro 27 Stand」と合わせて購入すると、55万4180円。もちろん液タブは本体のほかにPCも必要になるので、総額としては…なかなかパンチがあるかと。

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でも、「筆が走る」体験のためなら、プロアマ問わずアリな製品なんじゃないだろうかとも思いました。広いキャンバスで伸び伸びと線が描けるってのは、13インチのタブレットのお絵かきとは違う喜びがあるものです。液タブは10年くらい使えるし、その10年でどれだけ楽しく絵が描けるかとも思えば。

それに、スタンドで良い感じの体勢を作れば腰痛予防にもなりそうだし、ガジェットは替えがきくけど自分のカラダはそうはいかないからね…! 「Wacom Cintiq Pro 27」なら、今まで以上に線の世界に没頭できるかもしれませんよ。

Source: Wacom

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