そか、こういうことができちゃうんだ…。
先日、X(旧Twitter)がポストに含まれる記事のリンクに、見出しと要約を合わせて表示する機能を削除しました。
そのとたん、偽ニュースがあふれかえってます。
これまでは記事のタイトルと要約は報道機関しかいじれませんでしたが、改正後のX上にはニュースの写真と媒体名しか表示されないので、見出しも内容もいちいち手入力です。
手間ではありますが、元記事の見出しとリード文のコピペで済みます。が、ここまでユーザーまかせになってしまうと、いじりたくなるのが人間の性(さが)。架空の見出しや要約と、ニュースの画像をドッキングさせるのが流行っちゃってるんですね。
今回の改正はジャーナリズム専門家の間では評判がよくありません。英カーディフ大学でジャーナリズムを教えるKarin Wahl-Jorgense教授もWashington Postにこう不満をあらわにしています。
見た目重視の改変とイーロン・マスクは説明しているが、報道機関によるXの利用を阻害する大きな流れの一部と見ることができる。
記事のクリックスルー率には大打撃だろう。利用者はリンクの文脈がわからないので、クリックする理由もないからだ。
一方、見出しを消す決断をくだした当のイーロン・マスクはといえば、不平不満を言うユーザー叩きに躍起です。クラウド企業BoxのAaron Levie CEOが
Twitterはニュースの速報性が命だったのに、その大切なバリュープロポジション(企業が顧客に提供する独自の価値)を大きく損なうものだ。
とツイートしたら、
メディア信じるなんてめでたいやつだな。ビフォー・アフターのスクショ見せながら物言えよ 。
と返信。
するとイーロンの挑発に乗るかのように、一般のユーザーから「イーロン・マスクの偽ニュースのスクショ」がどっと押し寄せているというわけです。
少し拾ってみましょう。
ペド(小児性愛)疑惑
写真・媒体名が本物の記事リンクにも、こんな風に地の文で嘘のニュースを並べ立てることができます。
元記事はFortuneの「イーロン・マスクがXで共有される記事のリンクから見出しを削除する計画」という今年8月の記事。スクリーンショットを取得後すぐ、このユーザーはアカウント凍結になりました。
(削除されている可能性あるので、各ポストはスクリーンショットで引用します)
2度目の訃報
え? また死んだの⁉と思ってクリックすると、イーロン・マスクの右傾化を報じるMSNBCの記事に飛びます。
エプシュタイン人脈
2014年 Vanity Fair主催パーティーで、未成年少女人身売買事件で獄中死を遂げたジェフリー・エプスタインの右腕ギレーヌ・マクスウェルと歓談するイーロン・マスク。
このあとマクスウェルはイーロンに「インターネットをぶっ壊してくれ」と頼んだとされます(買収後のXを見ると目的は遂げた感がある)。
リンク先はその事実を昨年報じたBusiness Insiderの記事です。
新たに公開されたテキストメッセージで二人の間に長年交友関係があり、ビジネス上のつきあいもあったことが判明。
というツイートは当たらずとも遠からず?
自宅から遺体と食人の証拠押収
「LAの家を売る気はない」とイーロン・マスクが言ってるよっていうNew York Postの記事もツイッタラーの手にかかるとサイコスリラーに。
頭に移植した毛が感染して急性毛嚢炎
さっきのと同じFortuneの記事。今度は地毛植毛の悲報に使われています。
ケタミンでハイになって逮捕
こちらの人はいちおう「見出しが表示されなくなったので」と前置きして、ジョークとわかるようにしていますね。
見出しの削除を伝えるCNBCの記事にジャンプするんですが、こないだWSJが報じたケタミン大量服用の続報になっちゃってますよ。
テスラのドアがちぎれる大事故でペニスがちぎれる
またFortuneの記事。だんだんなんでもありになってきたな…。1月のTesla炎上事故にインスパイアされたのかな。
3度目の訃報。今度は「窒息絶頂中に逝去」
Fortuneの記事1本で、何本でもいける。
コンビニでトイレに寄りながら「この7月11日を9月11日に変えてやるぜ」とテロ襲撃を匂わせ逮捕
座布団10枚。リンク先は、暴力扇動が野放しな今のXを嘆くBloombergの記事なので、記事の要約にはなってないけど、こういうこともできる今のXの危うさがよくわかる内容になっています。
ちょうど変更がイスラエル/パレスチナ紛争と重なったのもバッドタイミングでした。
嘘情報があまりにも多いと、今日はEUのお偉いさんがXに警告を発していましたよ。対応次第では巨額の罰金が科せられかねない雲行きです。どうなることやら…。