クイズ大会は、1問ごとにストップさせると雑談にちょうどいい

デイリーポータルZ

横道にそれるのはいつだって楽しい

早押しクイズのピリついた空気が好きだ。コンマ何秒のひらめきや押しの早さを競うあの雰囲気、あのスピード感。

一方で、クイズ素人である筆者からすると、もう少し「さっきの1問」についてゆっくり話を聞きたい!と思うこともある。

そこで今回は出題ごとに話を掘り下げていくクイズ大会を開いた。結論、「クイズを1問ごとに止めると、雑談が捗るなあ」というのが参加メンバーの総意だ。

この記事をすべてのクイズ好き、おしゃべり好きに捧ぐ。

この記事は、ほぼ雑談で構成されています。

北向:…というわけで、今日は1問解くごとにダラダラしゃべりたいと思います。
林:感想戦をいちいちやって良いわけですね。
北向:あ、そういうことですね!
江ノ島:クイズ答えてて思うこと、ありますよね。
井上:なんで答えられたか、もうちょっと言いたい、みたいな。今日はドヤ的なことをして良いわけですよね。
北向:存分にしていいです!

さて、いきなり登場人物が増えたので紹介したい。今日のメンバーは以下のとおりだ。

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林 雄司

デイリーポータルZ編集長。大体のことに詳しい

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井上 マサキ

ライター。『クイズバトル!!99人の壁』で100万円を獲得したりする

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江ノ島 茂道

ライター。食べ物が好きだがクイズも好き。けっこうな数のクイズ本を所持している

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北向 ハナウタ

筆者。高校生クイズを見るのが好き。
今回は出題者です

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以前書いた『高校生クイズをみんなで観ると楽しい』でも集まったメンバーです

北向:正解者に1ポイント、誤答はそのターンお休みになります。とりあえずやっていきましょうか!

今回の企画は下記ツイートに触発されスタートさせたものだ。クイズを順番に追っても冗長になりそうなので、気がついた点があったクイズから抜粋して紹介していく。

答えにたどり着いた経緯は様々で楽しい

「どこでそんなことを知るに至ったか」を聞いていくと、その人の生い立ちや、何に普段興味を持つのかが見えてくる。

北向:問題。8月に行われる東北四大祭といえば、青森のねぶた祭、秋田の竿燈まつり、仙台の七夕まつりと、山形の何という祭でしょう。
井上:花笠まつり!

江ノ島:あ~~それだ~。
井上:ぼく山形に住んでたことがあって。
林:花笠まつり、他の祭りに比べて地味じゃないですか(個人の感想です)?
井上:確かに「青森のねぶた、秋田の竿燈、仙台の七夕」の3つで「東北三大祭り」って言われるんですよ。
林:へえ~。
井上:で、四大祭りになると花笠が入ってくる、みたいな。
北向:そうなると「四大祭り」と問題で言われた時点で、「花笠まつり」が答えになる可能性は高くなるかもですね。

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Zoomで早押ししてます

北向:江ノ島さんも山笠まつり知ってたんですね。
江ノ島:だいたい、桃鉄で覚えますね~。
北向:そうか!日本の地理や名産品とかって桃鉄で覚えているひと結構いますよね。
井上:出雲そばとか、何度買い占めたことか。
北向:8,000万円で買い占められますからね。
井上:1,000万円の物件8つですからねー。

井上さんが山形に住んでいたのは知らなかったな。井上さんは住んでいた経験から、江ノ島さんは桃鉄から、同じ知識でも、当たり前だけど人によって知識を得るきっかけは様々だ。

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クイズに強いと桃鉄はほんの少しだけ有利

北向:問題。小説『オズの魔法使い』でカカシが欲しがったのは知恵ですが、ライオンが欲しがったのは何でしょう。
井上:勇気かな。
北向:正解です!

井上:うちの息子の年長のときの発表会が『オズの魔法使い』だったんですよ。
林:おー。
井上:息子はカカシ役でしたね。
江ノ島:どういう話なんですか。
井上:オズの魔法使いに会えば、欲しい物が手に入る、みたいな感じで…最後は…どうなるんだっけな。
江ノ島:意外と結末知らない話とかありますよね。
北向:金太郎とかおれぜんぜんストーリー知らないですよ。
井上:森のクマと仲良くなって終わるんですよ。
北向:え、かなり規模の小さい話なんですね!?

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井上さん、人生経験+クイズ知識で無類の強さ

林さんはなんでも企画に取り入れようとしている

北向:問題。日本の証券街の代名詞ともなっている、東京証券取引所がある日本橋の町名はなんでしょう。
林:兜町(かぶとちょう)
北向:正解!

林:兜町らへんの定食屋って出てくるの早いんじゃないかな、って調べようとしたことありますね。
全員:大笑
北向:この街の人たちは価格変動が気になるから。
林:ランチをゆっくり食ってたら大損しちゃうから(個人のイメージです)…10秒くらいで出てくるんじゃないかって。
林:兜町の昼飯事情、調べたいですね。
井上:サラメシとかでやってそうですね。
林:あー、やってそう。
井上:「兜町に昼が来た~っ」って。
林:サラメシって中井貴一のナレーションで成り立ってますよね。

サラメシは中井貴一。それはそう。

北向:問題。アマゾン川で年に一度…
林:ポロロッカ!
北向:林さんが早かった、正解!
井上江ノ島くぅ~~~
北向:ふたりとも悔しそうだ。

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悔しそうなふたり。江ノ島さん、山みたいになっちゃったな

Q.アマゾン川で年に一度、河口から上流に向け、流れが逆流する現象を何というでしょう。
A.ポロロッカ

林:ポロロッカってスーパーありませんでした?
江ノ島:はじめて聞きました。
林:ポロロッカ食品館って小さなスーパーがあって、おれ、それがとにかくおかしくて。なんでアマゾン川の逆流をスーパーの名前にしたのか、って。
林:そのあとポロロッカはマルエツに吸収されるんですけど。
北向:へえ~。

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林さん、かなりポロロッカ食品館に詳しい

林:大井町に確か昔店舗があって、前を通るたびに(逆流…)って思うんです。
井上:ポロロッカは押したかったなー。
江ノ島:クイズ本とかでもよく出ますもんね。
林:えー、そうなんだ。

ベタ問(よく出題される問題)であることを知らなかった林さんが真っ先に答える。クイズ慣れとは別に、日ごろ疑問に思っていたことから答えを導き出せるのは強いな。

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みんな本気だ。問題を聞くのに集中して全員目を閉じている様子

北向:問題。千葉県松戸市長時代には「すぐやる課」を…
林:松本清!
北向:お!正解です!

林:その話を聞いた時に、おれは「すぐくさる課」を作ろう、って何かに書いた気がします。
井上:すぐやらないんだ。
林:マツモトキヨシの創業者ですよね?
北向:です。

Q.「千葉県松戸市長時代には「すぐやる課」をつくり評判となった人物で、自分の名前を付けた薬局が全都道府県に出店されているのは誰でしょう。
A.松本清

林さんはインプットしたあと「じゃぁ企画にするなら…」としっかりアウトプットさせているから、森羅万象が記憶に定着してるのかもしれない。わからないが。適当に言っています。

ちなみに

今回の早押しクイズは、オンラインでもできるだけタイムラグを抑えられるよう、以下の方法で行った。

1.チャットの記入欄に「!」マークを打つ(まだ送信しない)
2.問題が読まれ、わかった時点でEnterキーを押す
3.チャット欄に「!」が並ぶ。一番最初に送信されたひとが回答できる

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こんなイメージ。QuizKnock(【stay home】離れてる人と早押しクイズしたくなったらどうすればいい?【Zoomで早押し】)で採用されていたルールです。いつも配信楽しみにしてます
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話が横道に逸れ、脇の知識が増える

話の筋はたいてい道草をする。そこで得るものもあったり、なかったりする。

北向:問題。ラテン語で「大きな溝」と…
林:フォッサマグナです。
北向:お〜押しが早い!正解です!

Q.ラテン語で「大きな溝」という意味がある、本州の中央を南北に横断している地質構造線を何というでしょう。
A.フォッサマグナ

林:最近記事で書いたからね~(フォッサマグナに気づきたい

江ノ島:フォッサマグナは声に出して言いたいやつですよね。
井上:これはね、そうそう。
江ノ島:必殺技っぽくていい。

林:フォッサマグナのマグナ、マグナカルタのマグナと一緒なんすかね。なんか世界史で出てこなかったですか。
井上:でましたでました。
北向井上大憲章。
林:大か、マグナが。
北向:マグナムとかも同じ語源なんですかね。
林:あ、そうだ。サイゼリヤのマグナムボトルとかの。おーそうだ。
北向:あれ1本空けると翌日後悔しますよね。

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調べたところ、ラテン語で「Magna」が「大きい」「偉大な」という意味だそうだ。マグナムも同様にラテン語が由来で、地震の「マグニチュード」も語源は同一らしい。へえー!

北向:問題。職場の標語として用いられる「ホウ・レン・ソウ」とは、報告、連絡とあと1つはなんでしょう。
井上:相談
北向:正解~、この問題はみんなわかったって感じですね。
林:社会人のね、基本ですからね。

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井上:なんかでも「報告、連絡、相談が来るようにしろ」みたいな感じなんですよね、ほんとは。
林:あ、そうなの?
北向:あー上司側の心得。
井上:するのも大事なんだけど、されるような環境をちゃんと、という話もたしか含まれていたはず。

林:健全な精神は健全な肉体に宿る、っていうのも誤読なんですよね。うろ覚えですけど。
井上:間違って伝わっているものありますよね。
北向:神は細部に宿る」とかもそうでしたっけ。
林:あれもそうなの?
北向:わかんないですけどたしかそう。(あとで調べたら微妙なニュアンスでした)
井上:みんなわかんないまま言ってる。
林:わかんないけど、「酒は百薬の長」も間違いなんですよね。
井上:そうなんすか、ほんとはなんなんすかみんな。
林:「百薬の長にならず」みたいな…。

ぜんぶあやふやなまま全員喋っているので何も参考にしないでください。何も知識が増えない会話もある。

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正式名称を「適格請求書等保存方式」…までで「インボイス制度」と答えた井上さんが詳しく制度を説明してくれる様子。「制度はんたーい」とのこと

イノシシの問題が八代亜紀を経由して冷やしトマトへたどり着く

知識が増えるのも楽しいけど、クイズは雑談をするのに最適だ、ということがわかってくる。以下、毒にも薬にもならない話ばかりだ。

北向:問題。肉食禁制の古代に魚であるから食べても良いとされていたため、別名を「山くじら」と言われていた動物は何でしょう。
林:イノシシ
北向:正解!

井上:山くじらか〜。そっか、肉食べちゃだめってときに「魚なんで」みたいに言い逃れを。
井上:…くじら、魚じゃないですけどね。
北向:ほんとだ、哺乳類だ。言い訳がヘタすぎる。

林:八代亜紀の「サカナは炙ったイカでいい(船唄)」も、あれサカナじゃないな、と思いましたね。
井上北向大笑
井上:酒の肴(さかな)なんですよね、子供の頃に聴くとさっぱりわからない歌詞。
林:そうしたらあの部分ベーコンでも良いんですよね。

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井上:冷やしトマトでも良い。
北向:曲の雰囲気が変わるなあ。

北向:問題。「おい、地獄さ…
井上:蟹工船
北向:正解!全員早かった!

Q.「おい、地獄さ行くんだで!」という書き出しで始まる、プロレタリア文学の代表としても知られる小林多喜二の小説は何でしょう。
A.蟹工船

全員早々にボタンを押したが井上さんの押し勝ち。

井上:これ有名ですもんね。小説イントロとして。
林:プロレタリアート文学とか、書き出しがうまいですよね。

井上:…書き出しって、全然うまく書けないですよねぇ。
北向:ライターとしての悩みの話だ。
井上:おれ、本文を全部終えてから書き出し(リード文)書きます。
北向:あ、おれもです。
江ノ島:気持ち悪くならないですか、最初から埋めていかないと。
北向:江ノ島さんは上から順に書いていく派ですか?

人それぞれ、文章を書いていく順の話に。

北向:書き出しって記事の総括をギュッとさせるイメージがあるので、全部話が見えないと書けないんですよね。
林:確かに話変わっちゃいますもんね、けっこう途中で。

林:発言から始める書き出しあるじゃないですか。あれやりたいけど、なかなかできないですよね。

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林:みたいなやつ。書きたい…。
北向:やりたいですね。
林:あとはトビラの、

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林:とか、なー。
井上:捧げたいですね。
北向:捧げたい。

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江ノ島さんはクイズ戦士だ

江ノ島さんは、誤答を恐れない勇敢な姿勢で大会を盛り立てた(ちゃんと正答もしてます)。

北向:平方根の覚え方で「富士山麓オウム鳴く」といえばルートいくつでしょう。
江ノ島:ルート3
北向:あー違います!
井上:ルート5ですね。
北向:正解です!

江ノ島:ルート3ってなんでしたっけ。
北向:「人並みにおごれや」かな。
江ノ島:「皆殺し」みたいなやつなかったでしたっけ。
全員:
林:そんなのあったっけ?

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学校で皆殺しなんて物騒な覚え方させるだろうか

北向:あー、そうだ、「嫌なヤツ(18782)+嫌なヤツ(18782)=皆殺し(37564)」になるやつだ。
井上:トリビアで紹介されたやつ。
江ノ島:ぜんぜん違った。

北向:問題。有名な合戦場で、天王山があるのは京都府ですが、天目山があるのは何県でしょう。
江ノ島:京都…?
北向:あーはずれ…!
江ノ島:京都か奈良!
北向:ふたつ言う!笑
井上:往生際の悪さがすごい。

江ノ島さんは最前列で勇猛に闘う戦士だ。かすり傷など気にせずどんどん立ち向かっていく。

最終問題は江ノ島さん有利だったが…

北向:そろそろ最後の問題にします。
井上:最終問題は50,000点とか?
北向:じゃあそれにしましょう!

北向:「なぜ山に…  
北向:早い!江ノ島さん。
江ノ島:あー!押したけど、やべえ、知ってるんすよ、そうなんすよ。登山家のひとなんすよ…マウニーみたいな…
北向:残念…! 続けて押していたのが井上さん。
井上:ジョージ・マロリー
北向:正解!
江ノ島:あーー

Q.「なぜ山に登るのか」という問いに「そこに山があるからだ」と答えた逸話で知られる、イギリスの登山家は誰でしょう?
A.ジョージ・マロリー

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江ノ島:なぜ山問題だ! 井上:超ベタ問題ですね。

北向:ちなみにこのクイズは江ノ島さんの記事から抜粋した問題でした。
江ノ島:なんの記事ですかそれ!なんの!
林:そんな記事ありました?
江ノ島:そんなこと書いてる記事なんてないですよ。

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あるよ

北向:趣味の一番楽しいところを体験したい』。
江ノ島:あー。

クイズ大会の勝負の結果は井上さんが50,011点で他を圧倒した。

井上:自分やらしいなー。
林:自分で最終問題を5万点にして、自分で押して。
井上:いやー「なぜ山」は反射神経で押しちゃうんですよ…。

 

やっぱりクイズは楽しい

江ノ島:クイズ大会楽しいなー。
林:雑談がしやすいですね。「雑談するぞ!」って構えるとどうしていいかわからないけど。
井上:「悲しい話をしてください」とかトークテーマを設けられるより良い。
林:緊張するよなあ。
江ノ島:テーマが抽象的だからいいのかな。
井上:名詞だからいいのかも。やー楽しかったです。

クイズも楽しい、雑談も楽しい。筆者もプレイヤーとして参加してみたいので誰か第2弾やってください。

参考図書:TVクイズ番組攻略マニュアル2 フレームワークジェイピー著

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