消費者は支出を通して社会的アドボカシーを行うことに慣れてきている。MACコスメティクスは、6月9日に自社のビバグラムチャリティプログラムを利用して社会的アドボカシー活動を拡大する。MACのビバグラムチャリティイニシアチブは1994年に始まり、当時は偏見などのなか、HIV・エイズプログラムへの資金調達に注力した。
消費者は支出を通して社会的アドボカシーを行うことに慣れてきている。MACコスメティクス(MAC Cosmetics)は、6月9日に自社のビバグラム(Viva Glam)チャリティプログラムを利用して社会的アドボカシー活動を拡大する。
HIV・エイズのアドボカシーを推進するチャリティ
MACのビバグラムチャリティイニシアチブは1994年に始まった。当時はまだ偏見や誤った情報が蔓延していたが、ビバグラムはHIV・エイズプログラムへの資金調達に注力した。これまでに同社のエイズ基金のために5億ドル(約697億円)を集めている。現在、チャリティプログラムの一環として、MACは約6本のリップスティックをそれぞれ19〜22ドル(約2650〜3100円)で販売しており、売上の100%がビバグラムに寄付される。MACコスメティックスは6月9日に史上初の「Day of Giving(寄付の日)」を催し、世界中で販売されている200を超える種類のリップスティックの売上100%がこのチャリティに寄付されることになる。MACコスメティクスはその際に最大50万ドル(約6967万円)が集まると予想している。
Advertisement
Glossyが以前報じたように、企業の社会的責任プログラムは2020年以降劇的な変化を遂げている。レアビューティ(Rare Beauty)、イヴ・サンローラン・ボーテ(YSL Beauty)、ロッティロンドン(Lottie London)といった企業は、メンタルヘルスや自殺、親密なパートナーによる暴力、そして最近では10代のホームレスなどこれまでタブーとされていたテーマに取り組んでいる。ビバグラムは、2019年、HIV・エイズのほかに、女性と少女とLGBTQコミュニティのための健全な未来と平等の権利の支援へと取り組みを拡大している。
MACコスメティクスのグローバルCMO、エイダ・ミダシルウ=ルボワ氏は次のように語っている。「資金を集めるだけではなく、(この24時間の募金活動は)ビバグラムとその活動についての会話を生み出し、また、我々の目的への意識を高めて、アクティビスト(としての顧客)をさらに募る機会となる。コミュニティの力を活用すれば社会を変えることができる。これこそ、事業を行う中でMACが貫いてきたものだ」。
MACは、ソーシャルメディアチャネルやeコマースサイトでカウントダウンを行ったり、当日には店舗のメイクアップアーティスト1.3万人が顧客に伝えたりして、寄付の日を宣伝する予定だ。同社にはソーシャルメディアチャネル全体で1億2500万人を超えるフォロワーがいる。ミダシルウ=ルボワ氏は、この24時間プログラムは、顧客に危機意識を感じてもらい、CSRプログラムへの情熱を高めることが目的だと語っている。
「MACはもはや(CSRイニシアチブを持つ)唯一のブランドではない。なので、MACが及ぼしている影響と、(CSRが)常に当ブランドの一部であることを消費者に理解してもらう必要がある」と同氏は述べている。「また、当社は消費者のコミュニティと関わる方法をどのように開発してゆけばよいかを引き続き模索してゆく」。
MACの先進的な取り組みの数々
近年、MACのこのような先駆的な取り組みにはキース・ヘリング財団とのNFTローンチがあった。NFTは8万ドル(約1111万円)で販売され、収益の100%がビバグラムに寄付された。著名なアーティストであるヘリング氏はHIV・エイズの合併症により1990年に亡くなっている。MACは、2019年、ビバグラム25周年を記念してユーザー生成コンテンツの使用を導入、モデルのウィニー・ハーロウ氏がそのキャンペーンの顔を務めた。また、同年、ビバグラムの拡大を発表した際には、シンガーソングライターのトロイ・シヴァン氏、トランスジェンダーのファッションモデル、リア・T氏、ドラァグクイーンのアクエリア氏をはじめとするアーティストやインフルエンサー、活動家25人がビバグラムの「マクティビスト(Mactivist、MACの活動家の意)」として起用された。
「我々はこれまでにやったことがないことに挑戦しており、(今回の試みは)重要なマイルストーンだ。そして、これが顧客コミュニティとどの程度うまく調和するのか、また、この機会によって当社のNGOパートナーをどのように活性化できるかを確認したい」とミダシルウ=ルボワ氏は述べた。
[原文:How MAC Cosmetics is expanding its Viva Glam charity]
EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)
※登録ボタンをクリックすると規約に同意されたものとします